「人工呼吸器」若者に“譲るカード” コロナ第2波に備える医師の意図は

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2020年06月04日 08:00  AERA dot.

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写真人工呼吸器や人工肺を若い人に譲る意思を示す「譲カード」
人工呼吸器や人工肺を若い人に譲る意思を示す「譲カード」
 新型コロナウイルスの「第2波」が懸念される中、人工呼吸器や人工肺が不足したら、自分がつけている器具を若い人に譲る意思を示す「集中治療を譲る意志カード」が話題になっている。通称「譲(ゆずる)カード」だ。

 発案したのは、大阪大学人間科学研究科未来共創センター招聘(しょうへい)教授の石蔵文信氏(64)。循環器専門の現役医師であり、救急医として集中治療室で治療にあたった経験を持つ。

 石蔵氏は意図をこう語る。

「新型コロナにより、人工呼吸器が足りなくなったらどうするか。医師だけでなく、患者さんやその家族にも考えてほしいという思いを込めて作りました」

 新型コロナによる医療崩壊の危機が叫ばれた4月上旬にカードを作成。石蔵氏が会長を務める「日本原始力発電所協会」のホームページから自由にダウンロードできるようにした。

 石蔵氏によると、今年2月、自身にがんが見つかった。全身に転移していたという。余生を意識する患者の立場にも立たされた。

「もし健康だったら、カードを作ろうとは思わなかったでしょう。医師と患者の両方の立場に立った時、もし人工呼吸器が足りなくて医師が悩んだら、僕のほうを取っていただいてもいいですよ、という意思表示をしておきたかったのです」

 ただ、高齢者らに対する「命の選別」になりかねないという意見もある。

「患者が急激に増えたイタリアでは、人工呼吸器が不足し、高齢者から若者につけ替えられました。日本でも医療資源が不足したら、集中治療室の医師はどうするか判断を迫られることになります。現状、医師は医療をしなければならないので、人工呼吸器を外せません。(外したら)遺族から訴えられたり、殺人容疑で告訴されたりする可能性があります」

 脳死後や心臓が停止した死後の臓器提供については、臓器提供意思表示カード、健康保険証、運転免許証などの裏面にある記入欄で可否を示すことができ、本人の意思が尊重される。

 一方、「譲カード」は、臓器提供意思表示カードのような効力はない。

「あくまでも任意であり、効力はありませんが、少なくとも遺族が訴えることはないと思います。入院して人工呼吸器をつけてからでは、意思表示できません」

「第2波」で再び医療現場が逼迫(ひっぱく)する事態になったら、どうするのか。慎重な議論が求められる。(本誌・岩下明日香)

※週刊朝日  2020年6月12日号

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このニュースに関するつぶやき

  • 日常使いと勘違いするな。老人と若者が共倒れの危機なら年寄りは引くべきだ。津波も年寄り背負わず若者は走って避難だ!
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  • これの一番の間違いは、優先順位は、年齢ではないって事! 年寄りが、若者に譲るという表現は、絶対ダメ!
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