豊田真由子氏、「このハゲ〜!」パワハラ騒動からの復活ーー「努力は報われる」と語る彼女に助言したいこと

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2020年06月05日 00:12  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「自分の子どもには、『努力は報われる』と伝えたかった」豊田真由子
「婦人公論」6月9日号(中央公論新社)

 めぐり合わせが良いというか、それとも「持ってる」というべきかーー。

 元厚生労働省官僚で元衆議院議員・豊田真由子氏が『バイキング』(フジテレビ系)に新型コロナウィルスに関して解説を行うコメンテーターとして出演したときは、一瞬目を疑ったが、豊田氏、実は米ハーバード大学大学院で公衆衛生学を学んだ感染症対策の専門家だという。ヘアスタイルを変えたせいかに若返ったように感じたし、コメントもわかりやすかった。

 今から4年前の2016年、衆議院議員であった豊田氏は、秘書の男性に対する暴言や暴行を「週刊新潮」(新潮社)に報じられた。「このハゲ〜!」という豊田氏の怒声が、YouTubeチャンネル「デイリー新潮」で公開されると、パワハラの動かぬ証拠としてあっという間に拡散された。豊田氏はバッシングされ、自民党から離党。衆議院議員選挙に無所属で出馬するが、イメージダウンは避けられなかったようで、落選している。

 以来、マスコミの前から姿を消していた豊田氏だが、新型コロナ関連のコメンテーター業が高評価だったからだろうか、「婦人公論」6月9日号(中央公論新社)で現在の心境を語っている。進学校として名高い名門女子校から東大法学部に進み、官僚に。言うまでもなくスーパーエリートであるが、その一方で気弱な素顔が見え隠れする。政治家に転身してからは、早朝に駅の前に立ち、そこから国会へ。その後は、党の政策会合、その後は地元に戻る。夜は会合で出席者全員にお酌をして回り、話を聞く。夜中に帰宅して資料を読み込むので睡眠時間は2〜3時間。二人のお子さんを持つ豊田氏は、これらに加えてお子さんと時間をもうけなくてはならなかったそうで、肉体的にも精神的にもギリギリの生活を送っていたと言っていいだろう。

 こんな時、凡人や要領のいい甘え上手であれば、会合に優先順位をつけるとか、嘘をついて出席しないなどのズルをするのだろうが、豊田氏は自身のことを「少しも手を抜くことができない」と言っていた。「やれることは全てやっておきたいし、最善を尽くしたい(そして、能力が高いので、こなせてしまう)」という完ぺき主義者なのかもしれないが、存在するタスクを全てこなさないと前に進めないという意味では「タスクの奴隷」と見ることができるのではないか。

 スキャンダルにより議員でなくなり、激しいバッシングにさらされた豊田氏は希死願望にとらわれるが、それを救ったのはお子さんの存在だったという。豊田氏はお子さんへの思いを下記のように語っている。

「自分の子どもには、『努力は報われる』と伝えたかったのですが、私は日本中から全否定された人間です。『たとえ一生懸命頑張ったとことで、こんなふうに全部崩れてしまうのだったら、努力する意味なんてないじゃないか』と、子どもは心のどこかで思っているのではないかと、悩んでいました」

 しかし、コメンテーターとして復活できたことから、やはりお子さんには「努力は無駄にならない」と言えるようになったと述べている。

 社会的制裁も受けたが、コメンテーターとして返り咲き、イメージも回復してきた。なにせ能力の高い人なので、今後、違う道もまた拓けてくるだろう。パワハラは褒められたことではないが、かといってそのペナルティーを一生背負うのは妥当とは言えない。しかし社会復帰できてよかったねと言いたい一方で、「努力は報われる」とお子さんに伝えるのは、正しいのか考えてしまう。

 「新潮」によると、パワハラを告発した秘書は、支持者のバースデーカードの宛先とカードの名前が違うという、かなり初歩的なミスを犯している。もともとポンコツな人を採用してしまったのかもしれないが、豊田氏が「努力する」ことで、秘書の担う仕事量が増え、要求されるレベルも高くなって疲弊し、その結果、ミスが頻発した可能性もないとは言えないのではないか。「文藝春秋」(文藝春秋社)で、豊田氏は辞めた秘書の数を15人程度と話していた。これが多いのか少ないのか私には判断がつかないが、秘書は機械ではないので、自分の思うように動いてくれないことは確かである。スーパーウーマンの豊田氏が今後どんな仕事をするのかはわからないが、「努力は報われる」と信じて努力を続ける限り、豊田氏の下に付く人は、強い緊張状態を強いられることは間違いないだろう。

 豊田氏に必要なのは、「努力が報われる」と信じることよりも、「努力してもできない人もいる」と知ることではないか。世の中の大半は「できない人」であり、そういう人との付き合い方を覚えなければ、今後もパワハラだと訴えられる可能性はなくならないように思う。

 しかし、努力で人生を切り開いてきた人にとって、努力しないことはかなりの苦痛を伴うことだろうし、「できない人」の気持ちも理解しづらいのではないか。回復期を迎えている豊田氏だが、同時に人生最大の“難問”に直面しているのかもしれない。

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  • っつか、その努力とか根性みたいな精神論の行き着いた先が、アレなんじゃないすかね。  ミスをした人は、努力と根性が足りないぞと。
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