人気アイドルグループ・IDOLiSH7の最新曲「DiSCOVER THE FUTURE」が、2020年5月27日に配信された。昨今の社会状況もあり、カップリング曲も含めた形態での発売は延期。いち早く表題曲が配信された形だが、発売日当日にはオリコンデイリーデジタルシングルランキングでは1位を記録。好調なスタートを切った。
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IDOLiSH7はこれまでも明るく元気で前向きな楽曲をリリースしてきたが、今回の「DiSCOVER THE FUTURE」は過去最高にそのポジティブさが表れていると言っても過言ではないだろう。グループの象徴でもあるセンター・七瀬陸が、朗らかに夢を語るような表現でボーカルをリード。他メンバーのソロパートでそれぞれの強い個性を示し、7人の歌声が合わさった時に“IDOLiSH7の歌声“となる形は、彼らのスタンダードなスタイルである。
疾走感のある快活なメロディに、「DiSCOVER THE FUTURE」のタイトルどおり、“明るい未来を一緒に探しにいこう“と誘うタフなメッセージの歌詞が乗る。1番のAメロのソロパートでは、歌詞にメンバーそれぞれの名前の漢字が使われており、個性に寄り添ったフレーズとなっているのもファンには嬉しい発見だ。
夜明けを待つように鳴らされるギターリフから、自然と熱い気持ちが湧き上がるコーラスが続き、徐々に日が昇っていくようなCメロの重厚さはIDOLiSH7の新境地とも感じられるし、寄り添うような優しい歌声は親しみやすい彼ららしい表現とも言える。
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このように7人の個性の糸が編み上げられた分厚い楽曲となっているが、その「個性」もまたこの曲のテーマのひとつ。自身の未来や個性、夢を星になぞらえ、〈誰かの真似してみたって 自分っていう根っこは 決して変わらないから〉〈生まれた時から みんな Only One!〉〈Shining stars 星のように 僕らはそれぞれのカラーでいいんだ〉と、人それぞれが持つ本質を全肯定するメッセージは、未来を模索するすべての人たちの背中を押す。同時に、トップアイドルという輝く星を目指す彼ら自身も、この楽曲の放つメッセージに勇気をもらっているのではないだろうか。
またYouTubeではこの楽曲のMV映像も期間限定で公開されており、再生回数は50万回を越えている。蝶をかたどった指輪や、羽根を思わせる衣装、破られた卵の殻といったモチーフからもわかるとおり、自然光の中で伸びやかに歌い踊る彼らは、新たなステージに羽ばたこうとしているのが映像から見てとれる。
MVの冒頭、決意を滲ませたような表情で望遠鏡を覗く七瀬が、メンバーに囲まれ笑顔を見せる場面は、楽曲の世界観やIDOLiSH7というグループそのものを鮮烈に印象付けるワンシーンだ。それぞれの思慮深さや覚悟が垣間見えるような静かな表情も、心に強く訴えかけるものがある。対照的にメンバー同士で和やかに微笑み合うシーンで強固な絆が感じられるのも、ファンにとっては嬉しい情景だろう。
MVからも感じられるとおり、肯定感の強いポジティブな楽曲とはいえ“手放しで明るい楽曲“というわけではない。夜空に浮かぶ星に象徴されるように、彼らが手に入れようとしているのは、暗闇の中にいても決して見失うことなく追い求める光という、裏打ちがある夢と未来だ。暗い場所だからこそ、眩い光が見える。暗闇を抜けた先にこそ、明るい未来がある。あらゆる逆境を乗り越え、逆手にとってきたIDOLiSH7だからこそ、そこに説得力が生まれるのだ。
暗いニュースが続き、夢を見る気力もないという人々もいるだろう。様々なエンタメが停滞し、心の栄養が足りないと感じる人たちも多いはずだ。そのような時に、希望を持つことや未来を夢見ることの重要さを体現するのは、アイドルの大切な役割でもある。彼らの放つ“明るい未来を見つけに行こう“という勇気のフレーズこそ、今我々が必要としている言葉だ。そういう意味でも、この楽曲が今この時にリリースされたことは、とても運命的で意味深く思えるのである。（草野英絵）
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