コロナ禍で混沌とするドラフト戦線。現地点での上位候補は?

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2020年06月05日 06:21  webスポルティーバ

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 2020年のプロ野球ドラフト展望を語るにあたっては、いくつもの「クエスチョンマーク」をクリアしなくてはならない。

・大学野球の秋のリーグ戦が予定どおり開催されるか?

・大学野球の秋のリーグ戦が開催されたとしても、プロ野球のスカウトが視察できる状況になっているのか?

・一部メディアで報道された高校球児対象のトライアウト合宿は実施されるのか?

・ドラフト会議の日程(11月5日予定)は社会人の都市対抗野球大会(11月22日〜12月3日)よりあとになるのか? また、大会そのものも開催できるのか?

 新型コロナウイルス感染症の終息の見通しは完全には立っていない。上記のイベントがすべて中止になる可能性すらある。

 また、6月19日開幕のプロ野球にしても、感染状況によっては中断される可能性もゼロではない。シーズンがまともに送れなければ、プロ側も戦力の見極めが困難になり、戦力外通告を受ける選手が減るかもしれない。となると、当然ドラフト会議で指名する人数にも影響してくる。

 生命が脅かされる状況であれば、スポーツが二の次、三の次になるのはやむを得ない。現時点でのドラフト戦線は最悪の事態を想定したほうがよさそうだ。

 近年の清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)、根尾昂(大阪桐蔭→中日)、佐々木朗希(大船渡→ロッテ)は高校2年秋時点で「1年後のドラフトの目玉になるだろう」と目されていた。だが、今年の高校生は好選手こそいるものの、昨秋の時点で目玉になりうる大物はいなかった。

 本来であれば今春以降に急成長を見せ、ドラフトの主役になる人材が現れても不思議ではなかった。今春の選抜高校野球大会には、投手なら中森俊介(明石商)、高橋宏斗(中京大中京)、小林樹斗(智辯和歌山)、川瀬堅斗(大分商)。野手なら西川僚祐(東海大相模)、内山壮真(星稜)、来田涼斗(明石商)、細川凌平(智辯和歌山)といった好素材が出場予定だった。

 また、夏の甲子園という高いレベルで自分の力を試す舞台を失い、大学進学や就職に進路を転換している有望高校生は例年以上に増えているようだ。

 昨秋時点での評価が軸になるなら、今年は大学生がドラフトの主役になるだろう。とくに野手に魅力的な選手が数多くいる。

 底知れないスケールを感じさせるのは、佐藤輝明(近畿大)だ。身長187センチ、体重92キロの体から悠然と構え、バットを天に突き上げるようなスイングには夢がある。足が速く、肩も強いため大学の大先輩である糸井嘉男(阪神)と重ねる報道も目につく。

 だが、佐藤の場合はハイレベルな走攻守のなかで打撃の豪快さが突き抜けた個性になっている。昨年時点で「間違いなくドラフト1位で指名される選手になるでしょう」(日本ハム・大渕隆スカウト部長)という評価もあった。

 とはいえ、昨年時点で本人も「ホームランはもうちょっと打ちたかった」と語ったように、3年間を終えてリーグ戦通算本塁打は11本。関西学生リーグでは群を抜いているものの、やや物足りない数字に映る。最終学年での大爆発を期待したいところだったが、機会は限られそうだ。

 中央大の五十幡亮汰と牧秀悟も能力は高い。五十幡は中学時代の100メートル走、200メートル走の全国チャンピオンでサニブラウン・ハキームに直接対決で勝っている面ばかり取り沙汰されている。だが、スローイングの強さも天下一品で、打撃もバットを短く握るスタイルながら強くコンタクトできる。「肩の強い赤星憲広(元阪神)」というイメージだ。

 一方の牧は五十幡に比べると地味に映るが、確実性の高い右の中距離打者で打撃技術は高い。厚みのある肉体もあり、宮敏郎(DeNA)のような成功イメージが浮かぶ。

 春先のオープン戦では五十幡、牧ともにスカウト陣の前で状態の高さをアピールしており、1位指名の可能性もあるだろう。

 ほかにも、捕手としても野手としてもポテンシャルの高さを感じさせる古川裕大(上武大)もドラフト上位戦線に浮上しても不思議ではない。バネを感じさせる動きと身体能力の高さはプロ向きだろう。

 大学生投手は右ヒジを痛めて長期離脱中の山伊織(東海大)のように、体調万全ではないドラフト候補が散見される。それでも1位候補に挙がってきそうなのは伊藤大海(苫小牧駒澤大)、早川隆久(早稲田大)、木澤尚文(慶應義塾大)だ。

 伊藤は駒澤大を1年途中で中退して北海道の苫小牧駒澤大に再入学したため、今年で23歳になる。だが、150キロをコンスタントに超えるストレートは、1球見ただけでプロレベルと感じさせる威力がある。2年時から大学日本代表でキャリアを積んでおり、恵まれているとは言えない環境から自力で大学屈指の能力まで高めた点も評価される材料だろう。

 早川は木更津総合高時代から甲子園で活躍したサウスポー。大学でストレートのスピードと球威が増し、投手としてひと回りスケールアップした。とはいえ、大学3年間のリーグ戦成績は7勝12敗と今ひとつ。序盤は手のつけられない投球をしていても、中盤以降につかまる傾向があった。だが、今春時点で早川は「自分が投げて勝つビジョンが明確にできつつあります」と語るほど手応えをつかみつつあっただけに、早く公式戦での進化を見たいところだ。

 木澤はリーグ戦通算3勝と早川以上に実績が乏しいものの、体調万全なら今年大ブレークが期待できた投手だ。最速155キロの速球には角度があり、カットボール、スプリットは140キロ近い高速で変化する。強打者の内角をしつこく突ける勝負度胸も光る。これまでは肩・ヒジの故障に悩まされていたが、現在は痛みもなくケアも徹底している。

 また、今年の慶應義塾大投手陣は好投手が多く、左腕の佐藤宏樹も逸材だ。肩関節の可動域の広さが仇となり、まだ安定したパフォーマンスにはつながっていないが、指にかかったボールはMLB一流投手並みの回転数を計測する。

 例年ハイレベルな投手が出てくる社会人では、今年は栗林良吏(トヨタ自動車)が筆頭格になりそうだ。名城大時代から150キロ台をマークする速球は高く評価されていたものの、4年時は「ドラフト3位以下なら社会人行き」という縛りを設けており指名漏れ。広島が直前まで指名を検討していた逸材だった。社会人では総合力が増し、上位指名濃厚な即戦力候補だ。

 左腕では藤井聖(JX−ENEOS)の能力が高い。東洋大では甲斐野央(ソフトバンク)、上茶谷大河(DeNA)、梅津晃大(中日)の「三羽烏」の前に埋もれていたが、一部では藤井の素材を高く買う声もあった。社会人では中心投手として活躍しており、リリースポイントが高く角度のある投球が武器だ。春先は調整遅れが心配されたが、現在の中断がむしろいい調整期間になるかもしれない。

 今回はドラフト上位候補に絞って紹介したが、「冬場のトレーニング期間を経て別人のように成長した」という選手の情報も全国各地から届いている。まだ見ぬ逸材のパフォーマンスに期待を膨らませながら、コロナ禍の終息を心から祈りたい。

このニュースに関するつぶやき

  • だいたいは目星をつけてるかもしれないですね.
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  • 先のことは分からない。ただ、ドラフト会議の対象になる若い人たちが少しでも幸せに近づけるといい。彼らは、そこに人生かけてるんだから。野球選手になる前の大事なドラフト会議だ。
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