再生数13億回のママYouTuber「その正義感が人を殺めるかもしれない」

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2020年06月05日 07:00  AERA dot.

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写真長男のこうちゃん(右)となーちゃん
長男のこうちゃん(右)となーちゃん
 テラスハウスに出演していた木村花さんが、亡くなりました。生前、木村さんがネット上で度重なる誹謗中傷を受けていたことが報道され、社会問題にまで発展しました。

 私は、以前から誹謗中傷に対する問題提起をしていました(コラム:コメントが人を殺す時代のリンク)。ネット社会は文字で人が死ぬ時代です。コメントや書き込みを見て心を病んで亡くなります。誹謗中傷は集団リンチであり、殺人です。

 危惧していたことが現実となってしまいました。木村花さんの親御さんのことを思うと、本当にやり切れません。今回は、誹謗中傷の根幹となる部分のお話をします。

 木村花さんの訃報を知り、「誹謗中傷した人を絶対に許さない!」と強い感情を抱いた方は要注意です。実はその正義感が人を殺める可能性があるからです。誹謗中傷やネットでの集団リンチの根幹となるのは、「正義感」です。「自分は正しいことをしている」と思っているからこそ残酷な行動ができるのです。

 デール・カーネギー氏は著書「人を動かす」の中で、凶悪な犯罪者ほど「自分は正しいことをしている」と信じており、罪を犯したという自覚がないと書いていました。彼らは、罪悪感がないから多くの罪を重ねるのです。

 人間の残酷さの源は、正義感だと思います。これを裏付ける事件や事態は枚挙にいとまがありません。虐殺や人種差別や迫害やテロ、大量殺人などの歴史が物語っています。

 ネット上で誹謗中傷する人の多くは、正義感に突き動かされています。「自分が正しいことをしている」「良いことをしている」という強い思いが、コメントや書き込みで見えない相手に言葉の暴力をふるう理由です。さらに恐ろしいのは、現実での暴力や殺人と違い、ネットでの集団リンチは被害者を直接見ていないので、加害者が暴力を振るっていることに無自覚な点です。今回も、加害者は木村花さんが亡くなるまで追い詰めて、やっと自分の行いが招いた結果を知ったのです。

 誹謗中傷をした人々に対して、強い抗議や批判をする人々もいます。気持ちはわかりますが、これも新たなリンチの引き金となります。彼らもまた、正義感に突き動かされているからです。加害者を裁くのは司法であり、我々ではありません。無念さや悔しさや憤る感情は多くあるかと思いますが、正義感に突き動かされて残酷な行動を取ると加害者と同じになってしまいます。

 特に若年層は感受性も強く、言葉の影響を受けやすいです。被害者にも加害者にもなりやすい年代といえます。中高生からSNSに触れる世代であるため、人生の早い段階からネット社会に触れています。彼らに対して情報リテラシーの教育をしておかないと、今後、さらに誹謗中傷の加害者も被害者も増加します。現代のいじめはネット上で起こっており、その流れは加速するからです。

 YouTubeをしているとコメントが多く寄せられます。このコラムも、Yahoo!ニュースやLINEニュースなど掲載されることもあり(ありがとうございます!)多くのコメントが寄せられます。賛否両論、多くの反響があります(ありがとうございます!)。私は、自分のコンテンツに対して寄せられる意見やコメントに、特に傷ついたり怒ったり悲しんだりしません。70億人すべての人に好かれることはないし、自分の意見と違う人も、自分のことを嫌いな人も沢山いる。コメントをくれる関心を私の記事や動画に持ってくれるのは嬉しいと考えています。

 それは私が大人であり、数年ネットで活動しているからです。独特の図太さと鈍感さと合理性がなせる技です。表に出る人が最も恐れるのは無関心です。コメントがない状態の方が恐いです。多くの人や若い子は、そんな風には思いません。自分に寄せられるコメントが世間の総意だと勘違いします。世の中すべての人が自分を嫌っているという錯覚が精神を蝕みます。

 100のプラスのコメントよりも1の批判的なコメントを気にする傾向があります。ネット上は拡声器のようなもので、1の声が10や100にも感じられるのです。見えない相手に自分を否定されると、自信がなくなってしまいます。批判の件数が増えれば増えるほど、そのダメージも甚大なものになります。

 子供を持つ親として、看過できない事態です。自分の子供や家族が、ネット上での言葉に殺されたら、どんな気持ちになりますか。被害者も加害者も増やさない施策が必要です。

 誹謗中傷の対策の一つは、情報リテラシーの教育です。強い正義感が人を殺すことも周知させなければいけません。ネット上の言葉だけが世の中の総意ではないことも伝えなければいけません。自分がコメントをする際も、画面の向こうに相手がいることを意識させる必要があります。

 もう一つは、情報開示へのハードルの高さの解消です。現状、誹謗中傷に対する訴訟を起こすことは金銭的にも時間的にも、相当な労力を使います。情報開示をするにもお金と時間がかかります。サイト管理者に対して裁判所からIPアドレスを開示してもらい、そのIPアドレスをもとにインターネット業者から住所氏名等の開示をする訴訟を起こしてやっと発信者が特定されるのです。

 そして裁判で勝訴しても相手に財産がなければ慰謝料は受け取れません。訴訟費用や訴訟にかけた時間の全てがマイナスになります。この現状も、改善の余地が大いにあります。インターネットは、凶器にも利器にもなります。正しい使い方をする人々が増えないと、その弊害は甚大なものになります。










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