海の向こうの人種差別に憤るだけでなく、我々の社会にある差別を考えよう

42

2020年06月06日 15:40  HARBOR BUSINESS Online

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

HARBOR BUSINESS Online

写真(Photo by Tayfun Coskun/Anadolu Agency via Getty Images)
(Photo by Tayfun Coskun/Anadolu Agency via Getty Images)
◆多くの人が声をあげ始めた「#BlackLivesMatter」

 George Floyd の死から始まったデモ、そして怒りの声は、全米でさらに広まり、とどまっていません。

〈参照:8 Minutes and 46 Seconds: How George Floyd Was Killed in Police Custody|nytimes〉

 暴動ばかりがクローズアップされますが、多くの方々は様々な形で連帯を示しています。警察官、軍人、市長、知事など、立場を変えた多くの人が、デモに賛意を示し、何ら有効なメッセージを発しないドナルド・トランプ大統領を批判しています。

 マイケル・ジョーダン、マティス前国防長官など、これまで頑なに政治的話題に沈黙してきた人たちすら、です。

 語ろうと思えば、いくらでもこの件に関しては「冷静に」「客観的に」書くことも出来ます。しかし、今日はそれについて話すつもりはありません。

 この #BlackLivesMatter をどこか遠いものとして考え、「アメリカは怖いね」「黒人は大変だね」などと思っている人も多いかもしれません。

 しかし、今日書くのは、我々が今暮らす日本社会の話です。

◆わたしの隣の差別

 僕は京都市左京区で生まれました。左京区には北白川という場所があり、そこには京都朝鮮学校があります。小学校低学年の頃だったと思いますが、彼女たちの通学路は僕の家の近くで、鮮やかな民族衣装で投稿する学生の姿をよく見ました。

 いつだったか、というのは明白には覚えていません(Wikipediaを見ると、概ね1999年頃の話だと思います)が、この民族衣装を着用する学生はいなくなりました。

 1994年に起こった「チマチョゴリ切り裂き事件」の影響です。当時はよく事情がわからず、なんとなく寂しい思いをしていたくらいでした。

 しかし、今考えれば、1987年に大韓航空機爆破事件が起こり、1994年に核開発、1998年にはテポドンが発射され、やがて2002年には拉致被害者の帰国、と、加速度的に日朝関係が悪化する中に彼らがいたことがわかります。(この辺の雰囲気は、群像新人文学賞を受賞された『ジニのパズル』を読むとよく分かると思います)

 当時の僕にはよくわからない話でしたが、一つ隔てた場所に、暴行され、暴言を吐かれていた人たちがいたことは、容易に想像されます。

 正直に言うと、そんなことは想像できませんでした。

 京都の小学校というのは、かなり人権教育をしっかりするところでして、あんまりそういう雰囲気はよくわかっていなかったし、そもそも接点もありませんでした(もしあの時代スマートフォンがあったら、どうなっていたかわかりません)。

 想像できるようになったのは、もっとずっと後のことです。

◆憎悪と恐怖と手段

 コロナ下でもいろいろなことが置きました。

◆新型肺炎を理由に「中国人は入店禁止」 箱根の駄菓子店:朝日新聞デジタル

◆「中国人観光客の入店お断り」の件 – 「麺や ハレル家」きまぐれ日記

 アメリカでたびたび人種による殺人が起こる理由の一つは、銃規制がないことに原因があるでしょう。日本で、ジョギング中の黒人が突然射殺されるようなことはありません。

「撃たれるかもしれない」という恐怖が、「やられる前にやる」暴力という結果を生むのです。憎悪と恐怖と手段が結びついた時、悲劇が起こります。

 しかし、それは日本に人種差別がないという理由にはなりません。

 今やルワンダはアフリカ諸国でも最も治安のいい国の一つですが、かつてこの国では人口の10〰20%も亡くなるジェノサイド(大虐殺)がおきました。ドイツのホロコーストも、言うまでもないでしょう。

 実際、日本社会で普通に暮らしていて差別的な発言に出くわすことは、珍しいことではありません。(人種差別・性差別、その他諸々含めて)

 かつて下記のような発言を行った団体の代表は、今度の都知事選にも出馬します。

〈出典:朝日新聞〉

「憎悪と恐怖と手段」と先程書きました。

 かつて、関東大震災において「朝鮮人が暴動を起こしている」という流言飛語が飛び交い、結果として多くの朝鮮人が暴行を受けました。

〈出典:関東大震災で東京市民の99%が信じた「デマ」とは 『証言集 関東大震災の直後 朝鮮人と日本人』 | J-CAST BOOKウォッチ〉

 有名な話ですが、演出家の千田是也氏は「朝鮮人が反乱している」という噂を信じて杖を持って飛び出したら、自分が朝鮮人に間違われて殺されかけたそうです。(たまたま近所の人がいたので助かったとか)

 現職の東京都知事である小池百合子氏は、この件について追悼文を送っていません。〈参照:小池知事、今年も追悼文送らず 関東大震災の朝鮮人虐殺:朝日新聞デジタル〉

 我々の社会にも、憎悪と恐怖は存在します。アメリカの暴動と隔てている壁は、もしかするととても薄いかもしれない。

 だとすれば、対岸の火事ではなく、我々もまた、自らの社会が抱える問題に向き合わなくてはいけない、と思います。

 銃口は、誰かに向けられていて、ただ引き金が引かれていないだけかもしれないのです。

<文/遠藤結万>

【遠藤結万】

えんどう・ゆうま(Twitter ID:@yumaendo)●早稲田大学卒業後、グーグル株式会社(現グーグル合同会社)に入社。中小企業向けセールスとアジア太平洋地域の分析を担当。退社後、CMO株式会社を設立し、インハウス化やマーケティング戦略支援、マーケティング教育などを手がける。デジタルマーケティングについてなどを「ブログ」にて執筆・公開中。著書に『世界基準で学べる エッセンシャル・デジタルマーケティング』(技術評論社)

このニュースに関するつぶやき

  • 遺族である弟さんの演説が終わった瞬間、思わず拍手した。https://www.facebook.com/tbsnews/videos/1153361698363293/ 内容込みで、演説の上手さに目を見張った。
    • イイネ!5
    • コメント 0件
  • 米国史上、最も黒人やヒスパニックの失業率を下げたのがトランプ政権で有ることをこの記者は知らないのだろうか??
    • イイネ!37
    • コメント 6件

つぶやき一覧へ(39件)

あなたにおすすめ

前日のランキングへ

ニュース設定