何が「断腸の思い」か…安倍首相が横田滋さん・早紀江さんにとった冷淡対応! 直訴の手紙を無視、公務と嘘ついて国民大集会を途中退席

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2020年06月07日 07:00  リテラ

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リテラ

会見で横田滋氏の逝去について語る安倍総理(首相官邸HPより)

「滋さんが早紀江さんとともに、その手でめぐみさんを抱きしめることができる日が来るようにという思いで今日まで全力を尽くしてきたが、総理大臣としていまだに実現できていないことは断腸の思いであり、本当に申し訳ない思いでいっぱいだ。めぐみさんをはじめ、拉致被害者の方々のふるさとへの帰還、帰国を実現するためにあらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動していかなければならない」



 北朝鮮による拉致被害者・横田めぐみさんの父親である横田滋さんが亡くなったことを受け、安倍首相は5日夜、記者団のこんなコメントを発した。



 もっとも、このコメントには国民から批判の声が多数上がっている。「断腸の思いと言っているが、絶対に痛みなど感じてはいない」「安倍晋三は口だけ」「必ず取り戻すと言って家族会に会うたびに同じことを言ってたが、何もやった気配なし」「全力あげてきたのは改ざんで、拉致問題に全力尽くしてないだろ」



 当然だろう。拉致問題を自らの人気取りに利用し、ことあるごとに「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけ」などとアピールしていた安倍首相だが、この間、成果なんてなにもなし。それどころか、近年は拉致問題をないがしろにするような動きまで見せていた。



 たとえば、2018年に文在寅大統領とトランプ大統領が南北首脳会談、米朝首脳会談に向けて動いていたときも、安倍首相は拉致問題の解決を進展させる絶好機にもかかわらず、自らの極右イデオロギーを優先。日韓首脳会談では文大統領に「米韓合同軍事演習を予定通り進めることが重要だ」と内政干渉して融和ムードへ冷や水を浴びせかけ、平昌五輪開催中の日米電話会談後には「北朝鮮に最大限の圧力をかけつづけていく点で完全に一致した」などと発言した。そして、南北首脳会談実現に向けて動く韓国に対して、外務省を通じて「まだ時期が早い」「思いとどまるべき」と、再三にわたって圧力をかけつづけたのである。



 米朝首脳会談が開催されることが決まると、ポチぶりを発揮して手のひら返し。「米朝会談は拉致問題解決の千載一遇の機会」と、トランプ大統領の任せておけば大丈夫であるかのような喧伝をしていたが、結局、何も働きかけはできず。米朝の合意文書に拉致問題の「拉」の字さえ載らなかった。



 しかも、これはたんに結果が出なかったということではない。安倍首相はある時期から明らかに拉致問題に対して関心を失っていた。



たとえば、安倍政権は第二次政権発足時に「拉致問題対策本部」のもと拉致関連の会議体を6つも発足させているが、2015年を過ぎたあたりから、いずれの会議体もほとんど開かれることなく開店休業状態になっている。



さらに、安倍首相のやる気のなさを象徴するのが、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)などが毎年春と秋に開いている「国民大集会」への姿勢だ。安倍首相は、2018年、2019年ともに「公務」「政務」を理由に途中退席しているのだが、実際は公務も政務もしておらず、そのまま東京・富ヶ谷の私邸に直行。来客もなく自宅で過ごしていたのだ。



この冷淡な対応は、拉致運動を牽引し、それこそ総理大臣にまでのぼりつめる安倍人気の原動力として利用してきた横田夫妻に対しても同様だった。横田夫妻は安倍首相や救う会の「圧力を強めることが唯一の解決策」というスローガンのもと、北朝鮮への対決姿勢を煽る象徴的な役割を担わされてきたが、数年前から「40年経っても何もわからない状況で本当に信じていてよかったのだろうか」と疑念の言葉を口にするようになっていた。しかも、横田早紀江さんが思いを綴った長文の手紙を安倍首相に送ったにもかかわらず、安倍首相は何の返事も連絡もよこさなかったのだという。



 あれだけ横田夫妻の存在を自分の政治家としての人気取りや極右政策の実現に利用したにもかかわらず、利用価値がなくむしろマイナスと見るや、あっさりと切り捨てていたのだ。



 本サイトは2017年12月、この安倍首相の横田夫妻に対する冷淡な対応を記事にしている。これを読めば、長年「拉致問題の解決」を連呼してきた安倍首相の目的が実際は自分の人気取りと極右政策の実現にすぎず、拉致問題の解決や被害者家族の思いなんてまったく本気で考えていなかったことがよくわかるはずだ。

(編集部)



●安倍首相が横田早紀江さんの直訴の手紙を無視、2年間、返事も電話連絡もせず



 北朝鮮の脅威論がますます叫ばれる一方、なんの進展もなく膠着するばかりなのが拉致問題だ。安倍首相はこれまでも、ことあるごとに「拉致問題は最優先事項」と声高に唱えてきが、本サイトで何度も指摘してきたように、それらは政治利用とパフォーマンスでしかない。



 そんななか、驚きの事実が発覚した。拉致被害者・横田めぐみさんの母で、拉致被害者救出運動のシンボル的存在でもあった横田早紀江さんのことを、安倍首相が2年にわたって無視し続けているというのだ。



 この事実を明かしたのは有田芳生参議院議員。12月2日のツイッターにこんな投稿が掲載された。



〈横田早紀江「政府は一生懸命、知恵を練って下さっていると思いましたが、40年たっても何も分からない状況に、一体何だろうか、信じてよかったのかとの思いが家族にはあります」(めぐみさんが拉致された11月15日の記者会見)。早紀江さんが思いを綴った手紙を安倍首相に書いても梨のつぶてです。〉



 たしかに、かつては対北朝鮮強硬路線で安倍首相や救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)と完全に同一歩調をとっていたようにみえた横田早紀江さんだが、最近はその姿勢に変化が見られていた。めぐみさんが拉致された日から40年にあたる11月15日の会見では、有田氏のツイッターにあるように、「信じてよかったのか」と、後悔の念をただよわせていた。



 しかし、その早紀江さんが安倍首相に手紙を送ったのに、「梨のつぶて」とは一体どういうことか。そもそも早紀江さんと安倍首相は最近も、直接何度も会っている。たとえば今年だけでも2月22日に首相官邸で早紀江さんを含む拉致被害者家族と面会、また解散総選挙直前の9月17日には「国民大集会」に出席し、“拉致解決が最優先課題”だといつものように強調したが、その前に被害者家族と面会をしていた。さらに、9月28日の解散当日にも被害者家族を官邸に呼びつけ、トランプ大統領と被害者家族の面会の約束を取り付けたことを手柄のように披露し、露骨な総選挙向けアピールをした。そして11月6日には来日中のトランプ大統領と被害者家族が面会したが、その席には安倍首相が早紀江さんら家族とともに同席している。



 だが、表面的にはいまも緊密な交流があると思われていた安倍首相と早紀江さんだが、実際はまったく違ったということらしい。



 ツイッターについて有田氏本人に聞くと、こんな答えが帰ってきた。



「今から2年ほど前だったと思います。早紀江さんは思いを綴った長文の手紙を安倍首相に送ったのです。内容の詳細は知らないのですが、娘のめぐみさんの救出をお願いし、また自らの心情を記したようです。しかし現在に至るまで、安倍首相からの返事や電話などはありません。完全無視です。拉致問題を最重要課題と言いながら、この態度には不信感以上のものがあります」



 さらに、拉致問題を取材している大手紙記者も、安倍首相と早紀江さんの関係をこう証言する。



「家族会の面会や集会などでも、安倍首相は早紀江さんと握手するだけで、突っ込んだ話をしようとはしません。早紀江さんも“お願いする”立場ということで、本音を言えないのでしょう。手紙のことについて、安倍首相に直接きくこともしていないようです」



●少しずつ政府への不信感を語るようになっていた横田早紀江さん「信じてよかったのか」



 しかも、こうした冷淡な態度は、早紀江さん個人に対してだけではない。安倍政権は第二次政権発足時に「拉致問題対策本部」のもと拉致関連の会議体を6つも発足させているが、それから5年あまり「日刊ゲンダイ」(12月4日付)が会議の開催状況を調べたところ、いずれの会議体もほとんど開かれることなく開店休業状態になっていたという。



 ようするに、拉致問題を前面に出して国民の人気を獲得し、首相にまでのしあがり、いまもことあるごとに拉致問題の解決を強調している安倍首相だが、実際は北朝鮮への強硬姿勢じたいが目的であり、拉致問題の解決や被害者家族の思いなんてまったく本気で考えていなかったというだろう。



 そしておそらく、早紀江さんは安倍首相のこうした態度をそばでみているうちに、その本質を見抜いてしまったのではないか。



 実際、早紀江さんは前述した11月15日の「信じてよかったのか」以前から、少しずつその“本音”を語るようになっていた。

 

トランプとの面会を前に10月17日に行った会見でこう訴えている。「戦争などやらないように。平和にやるように期待している」(「サンデー毎日」11月12日号より)。また11月4日に時事通信の取材に応じた際にも、北朝鮮への対応について「制裁も必要だが、対話も必要だ。侮られてはいけないが、追い詰めるだけでもいけないのでは」「戦争だけはやめてほしい。人を殺りくして街も壊滅するのでは意味がない」と戦争反対の思いを語り、11月18日に行われた新潟市の「忘れるな拉致 県民集会」でも、トランプ面会について触れた後、「今がチャンスです。安倍総理が平壌に行って、金正恩氏とちゃんとした話し合いをしてきていただければ、どんなにありがたいだろう」と、圧力ではなく、安倍首相の訪朝と対話を望む訴えをしている(朝日新聞11月19日付地方版)。

 

これらは、明らかにトランプの強硬路線に盲従し、北朝鮮との戦争すらやりかねない安倍政権への反対意見表明と言っていいだろう。こうした早紀江さんの変化について長年、拉致問題を取材するジャーナリストはこう話す。



「2004年の日朝実務者協議で、めぐみさんの遺骨が提出され、それが偽物だと判明して以降、早紀江さんの不信感は高まっていったのですが、しかし“お願いする立場”や、先鋭化する家族会や、安倍首相を礼賛し北朝鮮への先制攻撃を叫んでいる極右団体である救う会に説得、いや、ある意味洗脳されて、本音が言えなかったのです。しかし、そうしているうちに時はどんどん流れる。現在早紀江さんは81歳ですから年齢を考えても時間がない。11月19日にNNNドキュメントで「“ただいま”をあきらめない 横田夫妻の40年 残された時間」が放送され、滋さんの体調の悪化が公にされましたが、いまや政府や救う会に遠慮している時間などないということでしょう」



●トランプ大統領との面会前に横田早紀江さんに加えられた圧力



 しかし、そうした早紀江さんの“願い”や“思い”をふみにじるような事態がいまだに進行している。3年前の14年、横田夫妻がめぐみさんの娘キム・ウンギョンさんとモンゴル・ウランバートルで初めて面会、その後「週刊文春」(文藝春秋)で面会時の写真と、有田氏による面会の様子などの記事が掲載されたが、これに対し救う会のHP には、横田夫妻による“不可解な声明”が掲載されたのだ。



 そこには写真は横田夫妻が提供したものではなく、有田氏が勝手に持参したもので、記事も有田氏が勝手に書いたという旨が書かれていた。当時、本サイトで報じたが、これは「救う会」会長の西岡力氏が横田夫妻を非難、圧力を加えたことで、横田夫妻が声明を出さざるを得ない状況に追い込まれたものだった。



 また、このとき、横田夫妻への圧力は西岡会長だけではなく、安倍首相応援団の櫻井よしこ氏や、かつて拉致問題担当相だった中山恭子参議院議員からもあったという。



 さらにトランプ大統領との面会でも、同様の “圧力”が存在した。トランプ大統領に戦争反対を伝えたいと考えていた早紀江さんに対して、安倍応援団が介入し、制止していたのだ。これを報じた「女性自身」(光文社)11月14日号よれば、10月19日クリスチャンの早紀江さんを囲む後援会的集会「祈りの会」が開かれたが、そこで早紀江さんが参加者に「トランプさんに会ったら、“戦争はしないでください”と言おうかな、それとも政治的発言は控えたほうがいいのかな」と話したところ、同会に出席していた「救う会」関係者が、早紀江さんのこの言葉をさえぎるようにこう発言したという。



〈「政治的発言はしないほうがいい。大統領に会えるのも安倍さんのおかげなんですから」〉



 この発言もまた、早紀江さんと同じクリスチャンとして、毎回のように同会に出席している西岡会長のものだったようだが、自らの排外的な政治心情を被害者家族に押し付けるグロテスクな圧力以外の何ものでもない発言だろう。

 

 そして実際、トランプ大統領と面会した早紀江さんは“戦争反対”を伝えることなく、「風邪をひいて声が出ず、あまり話せませんでした」と苦渋の選択とも思えるコメントを残している。



 これまで本サイトでは安倍首相の拉致問題の政治利用の実態を暴き、徹底的に批判してきた。しかし、その本サイトですら、早紀江さんの心情を綴った手紙を無視するほど、安倍首相が裏で冷淡な態度を示しているとは想像していなかった。



 安倍首相はこのさきも拉致被害者のことなど一顧だにせず、ひたすら米国に追随し、対北朝鮮戦争の危機をさらに高めていくだろう。 



 何度でも言う。これ以上、拉致問題と被害者家族を安倍首相の政治の道具にさせていてはいけない。

(編集部)


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