FTISLAND イ・ホンギ、イ・ジェジン、チェ・ミンファン……バンドにおけるそれぞれの役割と個性

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2020年06月07日 10:01  リアルサウンド

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FTISLAND『10th Anniversary ALL TIME BEST/ Yellow [2010-2020]』

 Five Treasure Island――。


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 “ファンにとっての宝物みたいな存在になりたい“と願って名付けられたロックバンド、FTISLAND(エフティーアイランド)。2007年6月7日、アルバム『Cheerful Sensibility』で韓国でデビューした彼ら。デビュー当時「現役高校生バンド」としても多くの注目を集め、そのキュートなビジュアルと実力派パフォーマンスで、アイドル的人気を誇るバンドへと成長した。


 2008年6月7日にミニアルバム『Prologue of FTIsland -soyogi-』で日本インディーズデビューを果たし、2010年にはシングル『Flower Rock』で日本メジャーデビュー。日本で広く受け入れられた経験が、彼らの歩みをさらに加速させ、5月に日本デビュー10周年を迎えた。ちなみに平成最後の日、日本武道館でライブを行なったのもFTISLANDだ。


 デビュー当時5名だったメンバーは、紆余曲折を経て3名に。人数が変わろうとも、彼らが守るFTISLANDという宝島が持つワクワクは健在だ。現在、全員が軍服務中のFTISLAND。彼らが完全カムバックする前に、改めてその魅力を紐解きたい。


■裏表ゼロの愛されフロントマン、イ・ホンギ
 イ・ホンギの歌声が、もし目に見えたとしたら、きっとかすれやはね、伸びやかなはらい……と躍動感のある筆文字のように鮮やかなのだろう。もともと子役として『マジックキッド・マスリ』で芸能界デビューを果たしたイ・ホンギ。その後、一般の学生になるものの馴染むことができず、徐々にやんちゃモードになっていったという。最初に覚えた日本語は「うるせぇ」だというエピソードも、実にイ・ホンギらしい。


 豪快で、潔くて、仲間想い。そんなイ・ホンギの周囲には、常に多くの友人が囲む。キム・ヒチョル(SUPER JUNIOR)を筆頭にチャン・グンソクらが集まった「チョコボールの会」メンバーとしても有名で、日本でも新田真剣佑、綾野剛をはじめ多くの有名人が彼に魅了されており、ONE OK ROCKのTakaとは楽曲コラボも実現している。


 『イ・ホンギ「Cheers」リリース記念特番!ホンギの本音BAR』(AbemaTV)では、親友として城田優が登場。初対面で、イ・ホンギは城田に「あー、悪い人ー!」と声をかけたそう。というのも、イ・ホンギがドラマ『ROOKIES』(TBS系)のファンだったことから。城田もイ・ホンギの裏表がない言動に、すぐ心を開いたという。


 インタビューやバラエティを見ても、いつだって彼はド直球だ。メンバーとの会話ではピー音が絶えないことも。しかし、だからこそ彼の歌も声も聞き手にズシンと届く。過去には家族について率直に話す番組で「僕も家が大変なときがあった。急に経済的な事情が悪くなった。子役時代、僕が演技をして稼いだお金が家の生活費だった」と打ち明け、悩める少年とその家族を激励したことも。


 また公開オーディション番組『PRODUCE 48』では、センターに立つ資質について「1人が目立つのがセンターではなくて、“私たちを見て“って見せられる人がセンターになるべき」と熱弁。悪ガキなイメージの強い彼が、どれほどの覚悟でFTISLANDのセンターに立っているのか。そして多くの人から好かれるのは、それだけ周囲に愛情を持つからだということが伝わってくる。


 かつて、FTISLANDの裏側を追ったリアリティーショー『Coming Out!FTISLAND』で、イ・ホンギはひとり占い師を訪ねていた。そこで「何をするにしても挑戦者となってしまう」と指摘されていたのが印象的だった。先駆者が整えた道ではなく自らが道を切り拓く人。


 日本でもリメイクされた『美男<イケメン>ですね』をはじめとする俳優としての活躍、ネイルアート本の出版、ファッションブランド『SKULL HONG』の立ち上げ、そしてシンセポップ、EDMといったロックバンドとは異なる音楽性のソロ活動……と、その挑戦に限りがない。イ・ホンギの今後がますます楽しみだ。


■周囲と調和して光るオールラウンダー、イ・ジェジン
 個性豊かなFTISLANDのメンバーを、真ん中でまとめているのが、ベーシストのイ・ジェジン。自信ありげな笑顔と迷いのない言動を見ていると、その器用な立ち振る舞いが生まれ持っての性格かと思いきや、「実は小学生までとにかく内気で友達もできなくて、中学に上がるタイミングを狙って印象を明るく変えたんです」と意外な過去を明かしている(参照: Rolling Stone Japan)


 そうしてできた友だちからバンドに誘われ、「ドラムとギターは難しいから、お前はベースをやれ」と言われたことをきっかけにベーシストの道へ。そして姉で女優のイ・チェウォンにオーディションを勧められて、デビューまでこぎつけることができたという。自分の進むべき道を周囲の声に耳を傾ける姿勢、素直さが、彼の人生を大きく転換させている印象だ。


 FTISLANDにおいては「僕の役割は、ホンギ兄さんのボーカルが魅力的に聴こえるようにハーモニーを重ねること」と名言している通り、バックアップボーカルとしても活躍するイ・ジェジン。エッジのきいたイ・ホンギの声色に対して、イ・ジェジンの歌声はやわらかく、重なり合うと深みをもたせながらコントラストがくっきりと浮かび上がる。イ・ジェジンの能力を一言で表すなら「調和」かもしれない。


 そんなイ・ジェジンが、兵役直前にソロデビューを果たした。その時期もまた周囲を気にかける彼ならでは。数年前より、事務所からソロの提案を受けていたものの「FTISLANDに専念したかった」という理由から保留に。しかし、イ・ホンギが入隊すること、そして自分自身も兵役が終わったらまたFTISLANDの活動に専念することを考えて「ソロをやるなら今だ」と決心したのだという。


 しかしソロとなれば、メインボーカルを引き立てる歌声ではなく、自分自身の歌声を築き上げなければならない。悪戦苦闘しているイ・ジェジンのレコーディングには、練習嫌いなイ・ホンギも駆けつけ、テクニカルなアドバイスをしてくれたと語る。だが、そんな心温まるエピソードのあとには、「ホンギ兄さんに助けてもらって本当に感謝しています。“他の曲も見てくれ“ってお願いしたのですが“面倒臭いから嫌だ“って言われちゃいました」というオチがつくのも、FTISLANDらしさだ。


 また、兵役前に開催したファンミーティングでは、脱退したギターのソン・スンヒョンにも言及。「僕は皆さんの前でFTISLANDを守ると約束したし、これからもその約束を守るために、皆さんと一緒に頑張っていきたいと思っています。いつでもスンヒョンが戻ってこられるように、FTISLANDを続けていきたいと思います」と、いつもファンが待ち望む言葉をくれるのもイ・ジェジンだ。


■3児のパパとしても奮闘中の天才ドラマー、チェ・ミンファン
 K-POPアイドルグループの“マンネ(末っ子)”といえば、笑いを誘う天然キャラや愛嬌たっぷりなムードメーカーが多い印象だが、FTISLANDのマンネ、チェ・ミンファンはドラマーというポジションからも控えめタイプに見える。我が道を行くイ・ホンギ、その傍らでベースを奏でるイ・ジェジンを、後ろから支えている印象が強い。


 いつもは兄たちに翻弄されてばかりのマンネだが、その胸のうちには誰よりも熱い思いを抱いている。俳優業に忙しくなったイ・ホンギに対してFTISLANDに気持ちを向けてほしいとぶつかり、本気の言い合いになったことも。いろいろと話しているうちに、ヒートアップし、最終的には涙が溢れてしまうことも少なくないようで、彼の深い愛情と情熱を推し量ることができる。


 実はチェ・ミンファンもイ・ホンギと同じく子役として活動していた過去を持ち、共演した実績もあったそう。そんなチェ・ミンファン少年が、ドラムと出会ったのは小学生のころ。機材などが恵まれた環境ではなかったものの、すぐにその才能が開花。誰もが「天才」と認めざるを得ないパフォーマンスを披露するようになる。彼が纏う優しく朗らかな雰囲気とは打って変わり、ステージ上で鳴り響くドラム音は重厚でたくましい。


 ドラマーとしての顔だけではなく、近年ではミュージカル作品への参加、ソロシングルのリリース、積極的な楽曲制作と、次々と新たな才能を見せて、ファンを楽しませているチェ・ミンファン。2018年1月4日には女性アイドルグループ・LABOUM出身のユルヒとの結婚予定を発表し、3児のパパという顔もバラエティ番組で披露している。


 春には訓練所からファンに向けて「思ったより僕が軍隊体質だったみたいです! グループでいつも末っ子でしたが、ここでは長男なのですごく楽しく生活しています」と頼もしい手紙も届いている。若くから活動しているためキャリアは長いが、まだ27歳と可能性は広がる一方。彼の成長が、さらにFTISLANDを面白くしていくに違いない。(佐藤結衣)


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