浮気相手が出産、不倫夫が恐れる「本妻の制裁」…「裏切りを許さない!」止まぬ嫌がらせ

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2020年06月07日 10:11  弁護士ドットコム

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不倫をされた場合、夫(妻)だけではなく、不倫相手にたいして「許せない」と怒りを向けることもある。中には、自らの手で不倫相手に制裁を加えようとする人もいるが、その「制裁」が犯罪行為となってしまうこともあり、注意が必要だ。 


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ある女性は「(夫の不倫を知った交際相手の)妻から嫌がらせを受けている」として、弁護士ドットコムに相談を寄せた。相談者は、妻子ある男性と3年近く不倫関係を続け、男性の子を出産した。



男性は相談者と一緒に暮らすため、妻とは別居。しかし、不倫を知った男性の妻は激怒し、嫌がらせが始まったという。離婚にも応じてくれない。



男性の妻は「(相談者との)子どもを認知したら殺す」などのメールを執拗に男性に送ったり、相談者と男性、子どもが暮らす部屋の前で大声を出したり、ゴミを置いたりするなどの嫌がらせを続けているそうだ。



こうした嫌がらせに、男性と相談者はほとほと困惑し、警察に被害届を出すことも考えている。相談者はどのように対応したらよいだろうか。平野武弁護士に聞いた。



●妻の行動は「行き過ぎており、『犯罪』にあたる可能性」

男性の妻の行為は「犯罪」にあたる可能性はあるのだろうか。



「男性の妻の立場からすれば、相談者に恨みを持つ気持ちは理解できますが、今回の各行為は行き過ぎており、『犯罪』にあたる可能性があることは十分注意すべきでしょう。それぞれどのような問題があるのか、説明します。



『認知したら殺す』というメールを執拗に送る行為は、『生命、身体、自由、名誉又は財産に対し、害を加える旨を告知して人を脅迫した者』として、刑法222条1項の脅迫罪にあたる可能性があります。



部屋の前で大声を出すという行為は、警察等が制止したにもかかわらず、異常に大きな声を出して、近隣に迷惑をかけたといえる場合には、軽犯罪法1条14号の静穏妨害の罪にあたる可能性があります。



部屋の前にゴミを置くという行為は、みだりに廃棄物を捨てたとして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律2条1項にあたる可能性があります。



また、迷惑行為防止条例にあたる可能性があります。迷惑行為防止条例は、各都道府県によって規定が異なりますが、例えば、京都府迷惑行為防止条例6条6号では、『汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を』『知り得る状態に置くこと』を『反復して行うこと』が禁止されており、これにあたる可能性があります」



●弁護士から「警告文」を出すこともできる

相談者は被害届を出すことを検討しているそうだ。その前に、妻の行為をやめさせるため、何かできることはあるのだろうか。



「妻の性格などにもよって方針を慎重に検討する必要があるかと思います。基本的には、まずは夫婦間で話し合いの機会を持つことが望ましいでしょう。話し合いができない状態であれば、弁護士に依頼し、妻の行為をやめるよう警告文を出すことが考えられます。



また場合によっては、裁判所に対し、嫌がらせ行為をすることを禁止する判決を求める内容の仮処分の申立てを行うことも考えられます。妻に刑事罰を与えることが目的ではないですし、お子様への影響も心配されますので、被害届を出すことは慎重にされるべきと考えます」



●有責配偶者からの離婚請求が認められるためには?

妻は『生活費(婚姻費用)を貰えなくなる』ことを理由に離婚を拒否しているようだ。離婚が認められるために、どのような条件が必要だろうか。



「有責配偶者からの離婚請求が認められるかどうかは、判例では、(1)ある程度長期にわたる別居期間があること、(2)未成熟子がいないこと、(3)相手方配偶者(今回の場合は妻)が精神的・社会的・経済的に過酷な状態とならないこと、を考慮要素として判断がなされています。



(1)の別居期間の長さは、年齢や同居期間との対比、別居に至った経緯、他の要件との関係もありますので、一概には言えませんが、過去には、10年以上別居をしていても、離婚が認められなかったケースもあります」



妻の行き過ぎた行為を理由に、離婚が認められる可能性はないのだろうか。



「今回の妻からの嫌がらせ行為だけを理由に、直ちに離婚が認められることは難しいように思われます。しかし、別居期間が短縮されるなど、妻の嫌がらせ行為が上記の要素の判断に影響を及ぼすことは考えられますし、場合によっては、夫の有責性自体の判断に影響を及ぼすこともあり得るかもしれません。



いずれにせよ、離婚が認められるかどうか、どのような条件で認められるかは、それぞれの事案の詳細な事実関係によって大きく判断が分かれるところですので、弁護士などの専門家に相談すべきでしょう」




【取材協力弁護士】
平野 武(ひらの・たけし)弁護士
1977年生まれ。京都大学法学部卒業後、2005年、司法試験合格。
大阪市内の法律事務所勤務を経て、2012年に独立して、「平野武法律事務所」開業。中小企業法務や家事事件(離婚、相続など)を中心に、精力的に事件に取り組んでいる。
事務所名:平野武法律事務所
事務所URL:https://hirano-lawoffice.jp/


このニュースに関するつぶやき

  • 正妻の気持ちは解るけど、そこまでしたら負け。相手の子に罪は無し。せいぜいふんだくって、違う人生で幸せになれば良いのに。最大の復讐は、自分が幸せになる事よ。
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