近づく開幕にワクワク…プロ野球・各球団の「伝説の一戦」【パ・リーグ 編】

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2020年06月07日 11:52  ベースボールキング

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ベースボールキング

優勝を果たし、ガッツポーズする日本ハムの大谷翔平(C)Kyodo News
◆ “新たな伝説”の誕生に期待を込めて…

 6月19日のシーズン開幕に向けて、一気に動き始めたプロ野球界。6月2日からは練習試合も解禁となり、野球ファンにとっては久しぶりに「プロ野球のある日々」が戻ってきた。


 3カ月遅れの“球春到来”へ──。新シーズンへの期待は日に日に膨らんでいく。そこで今回は、過去のプロ野球史における、各球団の「伝説の試合」を独断と偏見でピックアップ。

 ここではパ・リーグ各球団の過去の名勝負を振り返っていきたい。


◆ 西武:「神様、仏様、稲尾様」

▼ 1958年10月17日 vs.巨人(平和台)
巨|300 000 000 0 |3
西|000 000 201 1x|4


 西武の「伝説の試合」には、西鉄時代の1958年に巨人と戦った日本シリーズの第5戦を挙げる。

 この年の日本シリーズは巨人が3連勝で一気に王手。しかし、西鉄も初戦と3戦目に先発していたエース・稲尾和久を負けたら終わりの第4戦に起用し、執念で4連敗を阻止する。

 すると、なんと第5戦も4回から稲尾が登場。味方が追いついてもつれこんだ延長戦では自らサヨナラ本塁打を放ち、チームを連勝に導くという離れ業をやってのけた。

 これだけでもすでに伝説なのだが、なんと稲尾は第6戦・第7戦もマウンドへ。それも完封・完投でチームを勝利へと導き、3連敗からの4連勝で大逆転日本一。この活躍から、かの有名な「神様、仏様、稲尾様」という言葉が誕生した。


◆ ソフトバンク:「森福の11球」

▼ 2011年11月16日 vs.中日(ナゴヤドーム)
ソ|200 000 000|2
中|000 010 000|1


 「江夏の21球」から30年以上が経った秋、ソフトバンクの左腕が新たな伝説を打ち立てる。

 2011年の日本シリーズ第4戦。この試合はソフトバンクが2−1とリードを守ったまま折り返すも、先発のデニス・ホールトンが6回に無死満塁という大ピンチを招き、そこまでで交代。2番手として登場したのが、森福允彦だった。

 右の代打・小池正晃を空振り三振に斬ると、平田良介を外野フライに打ち取って走者は釘付け。谷繁元信も遊ゴロに斬り、大ピンチをわずか11球で切り抜けて見せる。

 結局、森福は2イニングを無失点に封じ、残る2イニングをブライアン・ファルケンボーグが無失点締め。見事な継投から勝利を掴み、これで星取を2勝2敗のタイに。シリーズの流れを変えた執念の投球だった。


◆ 楽天:「不動のエースがリリーフで登板」

▼ 2013年9月26日 vs.西武(西武ドーム)
楽|100 000 300|4
西|001 110 000|3


 楽天の伝説の試合は、チーム史上初のリーグ優勝を決めた2013年9月26日の西武戦。マジック2で迎えたこの試合、開始前にマジック対象のロッテが敗北したため、楽天は勝てば初優勝という大一番となった。

 しかし、先制こそしたものの中盤に西武打線につかまり、6回を終わって1−3と劣勢。優勝へのプレッシャーも感じさせた中、7回にようやく打線が目を覚まして4−3と逆転に成功。そのまま最終回を迎える。

 9回裏、マウンドにはそれまで先発で22連勝を記録していた背番号18・田中将大の姿が。1点も許されない中でしっかりと3つのアウトを取り、楽天が創設初のリーグ優勝を掴んだ。


◆ ロッテ:「10.19 伝説のダブルヘッダー」

▼ 1988年10月19日 vs.近鉄(川崎)
近|000 001 210 0|4
ロ|010 000 210 0|4


 1988年10月19日に行われた近鉄とのダブルヘッダーは、いわゆる「10.19」と呼ばれる伝説の試合だ。

 驚異的な追い込みで逆転優勝に突き進んだ近鉄は、この日のロッテとのダブルヘッダーに連勝すればリーグ制覇、ひとつでも落とせば西武が優勝という状況。歴史的な瞬間をこの目に刻もうと、川崎球場には3万人の大観衆が詰めかけた。

 ロッテは第1戦を逆転で落とし、まさに絶体絶命の状況。しかし、有藤通世監督は目の前での胴上げを阻止すべく執念の采配。選手もそれに応え、勝ち越されるたびに追いつき、試合は延長戦へともつれこむ。

 試合の途中から急遽の全国中継が組まれるなど、大きな注目を集めたこの激闘に終止符を打ったのが、“時間”だった。

 当時のパ・リーグは延長12回制だったものの、延長戦では「試合開始から4時間を経過した場合、そのイニング終了をもって打ち切り」という規定があった。

 両者とも勝利への執念を見せるこの試合、選手の治療や審判の判定を巡る抗議などもあったため、10回表終了時点で3時間57分が経過。当然、10回裏のロッテの攻撃が3分で終わることはなく、その瞬間にロッテの勝利が消滅。すなわち、逆転優勝の灯火も潰えた。

 優勝を目指した近鉄側の視点で描かれることが多いこの試合だが、激闘をつくったロッテの執念というのも忘れてはならない。


◆ 日本ハム:「二刀流が圧巻の投球でチームを優勝に導く」

▼ 2016年9月28日 vs.西武(西武プリンスドーム)
日|000 100 000|1
西|000 000 000|0


 マジック1で迎えた西武戦。勝てば優勝が決まる試合で、マウンドに立ったのは“二刀流”・大谷翔平だった。

 大一番で先発を任された背番号11は、5回まで1本のヒットも許さない完ぺきな投球を披露。5回一死から西武・森友哉に初ヒットを許すも、9回1安打15奪三振と見事な投球で、チームが4回に奪った1点を守り抜いた。

 ちなみに、この年の大谷は投手として10勝4敗、防御率1.86。打者としても104試合に出場して打率.322、22本塁打で67打点という大活躍。文句なしでリーグMVPに選出されている。


◆ オリックス:「日本一につながるイチローの優勝決定打」

▼ 1996年9月23日 vs.日本ハム(グリーンスタジアム神戸)
日|100 200 030 0 |6
オ|020 001 201 1x|7


 1996年のパ・リーグは日本ハム、オリックス、西武の3チームによる優勝争いが繰り広げられた。その中から抜け出したのが、前年の優勝チームであるオリックスだ。

 後半戦に一気に調子を上げて首位に立つと、順調にマジックも消化。しかし、優勝マジック1で迎えた9月23日の試合は終盤で逆転を許し、1点リードされたまま9回に突入する苦しい展開を迎える。

 9回も二死と絶体絶命だったが、ここで代打のD.Jが奇跡の同点弾を放って延長に突入。そして迎えた延長10回、ランナー一塁の状況でイチローがサヨナラヒットを放ち、チームをリーグ連覇に導いた。

 その後、オリックスは日本シリーズも制し、前年は手が届かなかった悲願の日本一を達成。震災で苦しむ地元・神戸に勇気を届けた。


 各球団の「伝説」といわれる試合をピックアップしてみたがいかがだっただろうか。

 今季は120試合と従来よりも23試合少ないが、その分選手の1試合1試合に掛ける意気込みは例年以上。後に語り継がれるような伝説の試合が生まれることを期待して、開幕を待ちたい。


文=中田ボンベ@dcp

このニュースに関するつぶやき

  • 稲尾の後に森福って歴史早送りし過ぎてない? あとロッテは10年前のあの無限地獄のように長かった日本シリーズじゃダメかい?
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