スカイピースが語る、YouTuber×アーティストとして貫く“挑戦”の姿勢 毎日投稿卒業と横アリ中止の心境も

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2020年06月10日 12:01  リアルサウンド

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スカイピース(写真=中村力也)

 人気YouTuber×アーティストとして活躍中のスカイピースが、3rdアルバム『青青ソラシドリーム』を本日6月10日にリリースした。


参考:HIKAKIN & SEIKIN、スカイピース、フィッシャーズ……YouTuberはなぜ“応援歌”を歌うのか


 新型コロナウイルスの影響により発売日は5月20日から6月10日へと延期、予定していた横浜アリーナでのイベントも中止。そしてYouTuberとしても、結成から4年間続けてきた毎日投稿を卒業し、新体制で様々な取り組みを開始しようとしていた矢先に、大きな試練が降りかかる形となった。だが、彼らは相変わらずポジティブだ。


 「“自分たちが楽しい”を変えない。そこを大切にしていればどんなに大きな変化があっても大丈夫」と前を向く。そんなスカイピースに、『青青ソラシドリーム』に込められた想い、そして彼らが見据えている次なる風景について聞いた。


■挑戦する姿も見せつつ、応援していくアルバムに


ーー2017年8月のメジャーデビューから歌手活動生活も、もうすぐ4年目に突入します。今のお気持ちはいかがですか?


テオくん:この1年で自分自身が、音楽に励まされたことが本当に多くて。歌詞を書くときとか、メロディにつけるときに、この曲を聴いた人がどう動き出してくれるのかっていうのを、より意識するようになりましたね。


☆イニ☆(じん):今年はなかなかライブをすることができない時期があったので、アルバム制作時に感じたことがメインにはなるんですけど、自分もいろんなことを考えるようにはなりました。ライブでの景色だとか、みんなの歓声とか、自分たちが歌ってる姿とか。1stアルバム(『にゅ〜べいび〜』)をリリースしたころは、歌いたいものを歌いたいようにって感じだったんですけど。いろんなことを考えられるようになったなって思います。


ーー中川翔子さんやEXITさんなど、数々のコラボ楽曲も話題になりました。そうした経験から、何か新たに掴んだものはありますか?


テオくん:しょこたんからゲッティングしたもの……え、しょこたんでいいんだよね?


☆イニ☆:いいよ、「しょこたんでいいよ」って言ってたもん(笑)。


テオくん:率直に、しょこたんが歌ってる姿を間近で見て、めちゃくちゃすごいって思ったんですよ。歌詞の中にセリフ調の掛け声があって、その声の出し方が「もー、声優さんじゃん!」って思って。EXITさんも歌手が本業というわけではないんですけど、すごく心に届く歌で。共通してることはなんだろうって思ったときに、上手に歌おうって固くならずに、とにかく楽しんで歌ってることなんですよね。歌に一番必要なのって、楽しむことだなっていうのは感じました。


☆イニ☆:EXITさんとコラボしたときにテレビにも出させていただいて、自分も同じことを思いましたね。笑いもそうなんですけど、「楽しい」って気持ちも見ている人がつられると思うんですよ。とにかく自分たちが一生懸命になって、楽しんでいる姿を見せていくことで、たくさんの人に「楽しい」が伝わったらいいなって。そういうのがスカイピースらしいライブになると思いました。


ーーなるほど。では、改めて今回リリースした『青青ソラシドリーム』に込めた想いも聞かせてください。


テオくん:コンセプトは“挑戦と応援”です。スカイピースとしてもこれまで毎日投稿をずっと4年間近く続けてきたんですが、それをやめて週1本のクオリティの高い動画を出していこうっていう挑戦のときで。その大きな決断をするタイミングで書いていたのが「青青ソラシドリーム」であり、このアルバムだったので。“自分たちも挑戦するから、みんなもそれぞれの頑張りたいことに挑戦してほしい”っていう想いを込めました。挑戦する姿も見せつつ応援していくっていうのが、YouTuberとアーティストを両方やっている自分たちだからできることだと思っています。


ーーどのくらい前からアルバム制作は始まったんですか?


☆イニ☆:今回収録されている楽曲の中には、結構前に作ったもののリアレンジもあって。「オタパリパーティー」は1年以上前ですし、「Enjoy Summer」は去年の夏くらいだったかな。夏にツアーがあって、そのときに“歌えたらな”って思っていたので……1年越しのリリースという感じですかね。


ーー「オタパリパーティー」は「オタパリダンシン」のアンサーソングなんですよね?


☆イニ☆:はい、そうです!


ーー「オタパリダンシン」のMV動画の再生回数も伸び続けていますね。もうすぐ……?


テオくん:ありがとうございます。もうすぐ、7000万回だっけ?


☆イニ☆:いやいや、そんないってない、いってない!!


ーー(笑)。「オタパリパーティー」のMVを公開されましたが、その制作秘話も教えてください。


☆イニ☆:「オタパリダンシン」の続編を作ろうってことで、同じ作曲者のパピコさんにお願いしてトラックを作っていただきました。スカイピース初のワンカットMVにも挑戦して、「オタパリダンシン」で踊ってくれたメンツに加えて、EXITさんやリアルアキバボーイズさんとかにも参加してもらって、なかなか豪華な感じになりましたね。


ーーコラボの輪が年々広がりますね。


テオくん:たしかに! 広がってます!!


☆イニ☆:去年は絶対に来てくれそうな人しか呼ばなかったもんね(笑)。


テオくん:逆に、断られたらびっくりしちゃうメンバーばっかりだから。「え、来ないのなんで?」ってなる(笑)。


ーー同じく先行配信曲の「悪いが中二病が世界を救う」についてもお聞きしたいです。


☆イニ☆:これは実話になっておりまして……。誰しも小さいころに恥ずかしいことや「バカだな」ってことをしたと思うんですけど……。それを人は「黒歴史」とか言うと思うんですけど……。その黒歴史があったからこそ、今の自分たちがいるんだなと思いまして。なので「そんな黒歴史もおもしろおかしく歌っちゃおうぜ!」みたいな感じの曲になっています!


テオくん:(背中をなでながら水を渡す)


☆イニ☆:うん、ありがとう。落ち着くね(笑)。


ーー黒歴史も作品に昇華されると、財産ですね。


☆イニ☆:そうですね。いいネタになります!


ーー「君と僕と夢」は、動画の即興歌から生まれた曲ですよね?


テオくん:はい。動画で作ったサビの歌詞とメロディをそのまま載せるっていう縛りがあったので、難しかったですね。そのサビからなる物語に、どう自分たちの実体験を入れていくのかっていう、通常の曲の作り方とは逆のやり方になったので。


☆イニ☆:普段の作り方って、サビをどっちが担当するかを決めて、サビと自分のパートを作って、「こんな感じ」のテーマっていうのを伝えて、空いているところを相手に作ってもらうっていう流れなんですけど。この曲はスタッフさんも含めてみんなで話し合って作ったんですよ。


テオくん:でも、結果的に今までで一番ストーリー性が生まれた手応えはあります。それに良く聴いてもらうとわかると思うんですが、AメロもBメロも歌詞は変えていますが、メロディは動画内で出たパターンを使ってるんです。これまでのアルバムでも即興歌を採用してきましたけど、今回みたいにAメロ、Bメロ、サビと、全て使うっていうのはなかった形なので、そこも注目してほしいですね。


■2人の出会いは、本当に奇跡でラッキーだった


ーーどの曲にも思い入れがあるとは思いますが、その中でも「この曲について語りたい!」というお気に入りはありますか?


テオくん:やっぱり「青青ソラシドリーム」ですね。このアルバムにとどまらず、今まで作ってきた曲の中で一番好きな曲なので。今後の方針とかをちょこちょこ話し合う中で、「毎日投稿どうする?」っていうのが出始めたころに作り始めた曲なので、思い入れがありますね。歌詞もめちゃくちゃ早く書き上がりました。思い入れのあるフレーズが、サビもそうなんですけど、〈始まる前に終わりを考えて下を向いてしまいそう いざ顔を上げて道があったとしても歩き出せることもないのに〉っていう歌詞が、すげーひねくれてるなって思っていて。歩ける条件っていうのはもう揃ってるのに、あとは自分の意志を動かすだけなのに、全部まわりのせいにして……っていうひねくれた自分を、ポンと背中を押すような内容になっているんです。歩き出したところで、すぐに届くわけじゃないけど、でも自分たちが目指してきた夢って、そんな簡単に届くものではなかったはずだし。夢っていうのは簡単に叶わないからこそ楽しいし、それを“みんなで追っていこうぜ”っていうメッセージも入っています。


☆イニ☆:僕も、やっぱり「青青ソラシドリーム」ですね。


テオくん:そうなるよね!


☆イニ☆:他の曲を期待した人、ごめんなさいですけど、自分も一番好きな曲なので。いいですか、語らせていただいて(笑)! 今の「挑戦するぞ」っていう心境もありつつ、自分は学生のころの気持ちとかに戻ってみて書いたりもしたんです。例えば、晴れた日にみんなが「天気いいね」ってなるところを、「俺は雨が好き」って言っちゃうみたいな。若いころ独特の考え方とか、ちょっとひねくれた気持ちを思い出して書いてみました。自分は学生時代、目立つタイプではなかったので。しかも、うちの学校ってヤンチャっていうか、もうヤンキーたちが体育祭とかの行事とかを「ウェーイ」って仕切ってて。めっちゃ楽しそうなんですけど、ちょっと冴えない組としては「なんやねん」みたいに思っていたんですよ。


テオくん:ウェーイ!


☆イニ☆:えー、テオくん、イケてた組?


テオくん:もー、そういうときは乗っ取っちゃえばいいんだよ、その元気集団を!


☆イニ☆:まあ今のバイブスならいけるけどね! この状態で学生に戻りたくない? 俺、今ならちょっとイケる気がするもん。


テオくん:でも、俺なんにも変わってないからな。ってことは、☆イニ☆たん相当変わったんだろうね(笑)。


☆イニ☆:ップ、ハハハ! 調子のってるなー俺。しっかり天狗になってる(笑)。


テオくん:アハハハ!


ーーそうした学生時代の記憶や気持ちが色褪せないから、みずみずしい歌詞になるんでしょうね。


☆イニ☆:そうかもしれないです。昔のことも結構鮮明に覚えてて。一番古い記憶は……。


テオくん:前世とかじゃない?


☆イニ☆:さすがに、それは! あれは保育園の年中のころで、おままごとしてる記憶ですね。その日は、おじいちゃんちに行くっていうめちゃくちゃ楽しみなイベントがあって。そのおままごとで、暇つぶしをしてた。


ーーこうしてお話を聞いていると、スカイピースの楽曲に漂う青春感は、やっぱりお2人の失われない少年心と変わらない仲の良さからだと感じます。


テオくん:もう、それについてはめっちゃラッキーだなって思いますね。仲がいいからこそ、頑張らなくても楽しさが伝わるというか。ここが仲良くなかったら自然体でいられないと思うんですよね。本当、ラッキーって!


☆イニ☆:それはね、シンプルにテオくんがおもろいからだよ!


テオくん:いや、お互い様だろ(笑)!


☆イニ☆:マジで。テオくんの笑いのセンスに関しては、全てがすごいと思ってて。まず即興力。俺の口から出た言葉に対して的確なツッコミができることもそうだし、その場をうまくまとめたツッコミもできるし、頭がいい系のツッコミもできると思いきや、ちゃんと考えたボケとかもできるし。


テオくん:ねえ、分析されてる〜(照)。


☆イニ☆:なのに、たまに、すごくトンチンカンなこと言うのもおもろくて。天才だし、バカだし。


テオくん:どっちも持ってるの? キャーッ!


ーー逆に、テオくんから見て、☆イニ☆さんはいかがですか?


テオくん:いやー、バカですね(笑)。


☆イニ☆:えー! 俺は天才とバカって言ってるのに、天才だけなくなっちゃった!


2人:アハハハ!


テオくん:だから、マジでいないんですよ。本当に出会えたのは奇跡だった。


■口に出した夢は100%叶えてきた!


ーーそんな自然体の「楽しい」を届け続けて、チャンネル登録者数300万人を突破されました。


☆イニ☆:そうですね。当初「60万いけば、すげーな」って考えてた自分からすれば、300万ってめちゃくちゃすごい数字だなって思いますね。そこもテオくんがいい意味で自信家で。「1年で100万人いくでしょ」とか「300万もこのくらいでいくよ」って、思っていることを口に出すんですよね。それが、実際に叶ってて。今のところ有言実行100%なのも、テオくんのすごいところで。あれ? 今テオくんが言ってる、未来のチャンネル登録者数って何人だっけ?


テオくん:ん? 1億2000万人(笑)。


☆イニ☆:いや、人口的に!


テオくん:アハハハ。でも、今本気で言ってるのは「日本のトップYouTuber×アーティスト」だから。それも叶うんじゃない? だって「チャンネル登録数300万人」も「あのステージに立って歌いたい」っていう夢も、これまで100%叶ってるんだから。


☆イニ☆:うわー! たしかに! やっぱ、言っていくもんだね。


テオくん:実はチャンネル登録者数100万人から200万人のころと違って、300万人突破は意識的に挑戦していた部分があったんですよね。試行錯誤を経ての達成だったので、200万人から300万人への過程は学ぶことが多かったと思います。


ーーその盛り上がりの中で、毎日投稿をやめるという、また新たな挑戦を選んだわけですが。


テオくん:そうですね、「現状維持」は俺たちの中では「退化」だよねって、改めて話し合ったんです。ありがたいことに現状、生活は苦しくないし、楽しいし、幸せなんだけど、やっぱり「挑戦したい」って結論になりました。


ーー以前のインタビューで「変わらないために変わり続ける」とお話ししていたのを思い出しました。


テオくん:「自分たちが楽しい」っていうのを変えたくないっていうのがあって、それを変えないためには毎日投稿をやめるっていう変化は必要だなって。活動方針が大きく変わっても、その大事な部分が変わらなければ大丈夫だと思えるんで。


ーー新しい形で挑戦していこうという話し合いは長く続いたんですか?


テオくん:すぐだよね?


☆イニ☆:うん。最初にテオくんから、その話をもらって、自分も「たしかに、そうだな」と思って決断しました。


ーーでも、フタを開けてみたらセカンドチャンネル「スカイピースの平和島」は毎日投稿になってますね。


テオくん:そうなんですよ! 結果(笑)。 


ーー水溜りボンドさんに報告する「卒業動画」でお話されていたように、お2人で楽しく動画を録って配信していくっていうのは一生できることなんだなと、証明されたように思いました。


☆イニ☆:たしかに! そうだね。


テオくん:続けていくことくらいは余裕なんだぜ、ってことですかね(照)。


ーースカイピースとして次に見据える風景は?


テオくん:それはやっぱり満員の横浜アリーナですね。残念ながら今回は、コロナの影響で中止になっちゃいましたけれど、それさえも今ではチャンスだと思っています。今ギターの練習を進めていて、もっとスカイピースとしていろんなことをやっていくための武器を集めているので。☆イニ☆たんもね、マジックを極めてるしね?


☆イニ☆:うん! 自分も人生は山あり谷ありだと思ってて。このコロナウイルスの影響で、たくさんの人が谷の状況にいるって感じたと思うんですよ。でも、人生ずっと谷ってことはないはずなんで。思い通りにいかない時期こそ、これから上がっていくための準備期間なんだって楽しめたらいいですよね。


テオくん:マイナスと思ったまま終わらせなければ、マイナスにならないからね。あと、あまり遠くにある夢に縛られないようにもしていて。1個掲げた挑戦を経て見えた景色で、また次の挑戦に向かっていくと、いつも楽しみながらいろんなことを乗り越えていけるように思います。


☆イニ☆:そうそう。発見の毎日を大切にね。


テオくん:そうやってスカイピースは、有言実行100%してきたから! YouTuberとして新しくなる本チャンネルの動画も、アーティストとして次に立つライブや新しい曲作りも、もっとみんなを楽しませる自信しかないので。任せてください!(佐藤結衣)


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