【コロナ×遊園地】 安全バーで感染する? 着ぐるみとの撮影は? 専門家が全回答!

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2020年06月13日 11:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

※画像はイメージです

 感染第2波を警戒する生活が続く中、日常の楽しみは戻りつつある。ストレス発散のため子どもを遊園地に連れていくとき、何に注意すればいいのか──。

“地蔵”で密集が発生しそう

「再開したら、中学生の娘はすぐに友達と行くと思うので心配です。あの混雑の中でソーシャルディスタンス(感染防止の社会的距離)を確保できるんでしょうか」

 と千葉県浦安市に住む40代主婦は眉をひそめる。

 新型コロナウイルスの感染拡大による遊園地への休業要請が全国各地でほぼ解除されたことを受け、東西の超人気テーマパークで対応がくっきり分かれた。

 大阪市此花区の『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)』は、府内在住者に限定したプレオープンを経て6月19日からの段階的再開を決めた。

 一方、千葉県浦安市の『東京ディズニーランド(TDL)』『東京ディズニーシー(TDS)』は県の休業要請が解除されたにもかかわらず、臨時休園を継続している。

 最寄りのJR舞浜駅とTDL、TDSなどをつなぐ周回モノレール『ディズニーリゾートライン』は通常運行しているものの乗客はほとんどいない。再開を待ちきれないのか、熱心なマニアが駅ホームに降り立って遠目に“夢の国”を眺めるばかりだった。

 東京・江戸川区の20代女性会社員は、「ディズニーの空気だけ吸いに来た。再開にあたっては、ショーやパレードの数時間前から動かないで場所取りをする“地蔵”で密集が発生しそうで怖い」と打ち明ける。

 ファンならではの視点といえそうだが、TDLなどに限らず、遊園地再開にあたって気になる点はいくつもある。

 まず、アトラクション(乗り物など)の順番待ちの列で注意すべきこと。家族や友人ら同行者とおしゃべりして時間をつぶしていいものか。

 関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)は「行列でソーシャルディスタンスを確保させるのは運営側の責任」として次のように話す。

「どう並ばせるか決めるのは遊園地側。間隔を広めにとった列を整理しつつ、前の人が後ろの人に抜かされることのないよう気を配ってほしい。来園客が指示に従う環境をつくることが大事で、秩序が守られていれば同行者とおしゃべりするぐらいは問題ないでしょう

 東北大学病院・感染管理室の徳田浩一室長は、安全な列の間隔をわかりやすくするため、順路に目印のテープを貼っておくことをすすめる。

「並ぶ側からすると、早くアトラクションに乗りたいこともあり、どうしても前に詰めてしまいがちです。おしゃべりしていても、足元の目印は常に意識したい」

 これからの季節、熱中症対策も必要という。

「並ぶ間隔をあけると順番待ちの列が長くなり、最後尾が日陰にならないところまで延びる可能性もある」(同)

小さい子どもは遊具をなめてしまう

 アトラクションもさまざま。『ビッグサンダー・マウンテン』(TDL)など猛スピードで滑走する絶叫系コースターで思わず悲鳴を上げた場合、飛沫(ひまつ)をまき散らしてしまいそうだけど……。

 感染症専門医で東京・品川区の『KARADA内科クリニック』の佐藤昭裕院長は「子どもに“叫ぶな”と言っても無理ですよ」と首を振る。

絶叫すればするほど飛沫は飛びます。乗車時はマスクをしたほうがいいでしょう。屋外のアトラクションならばマスクがなくても大丈夫かもしれませんが、屋内のものは絶対にマスクをすべきだと思います」(佐藤院長)

 お化け屋敷や『タワー・オブ・テラー』(TDS)など恐怖系アトラクションも、悲鳴を上げずに進むのは難しい。

「マスク着用で飛沫はかなり防げる。入場時にマスクをはずし、折ったハンカチを口に当てておけば、より飛沫を少なくできます。タオルをたたんで口に当ててもいい」(同)

 ただし、屋外で小学校低学年以下の子どもにマスクをさせると、身長が低いため地面からの熱をダイレクトに受け熱中症になりやすいという。「大人が抱っこして高い所にいれば大丈夫」(同)というから、保護者が体力を求められる場面もありそうだ。

 乗り物は安全バーで身体を固定されることも多く、恐怖でしがみつく客もいる。

 バーなどを握ったときの接触感染のリスクについて、日本医科大学の北村義浩特任教授(ウイルス学)が答える。

「乗ったあとは必ず手洗いや消毒をすることです。ビニール手袋などを持参し、つけて乗ってもいい。施設側は、お客さんが入れ替わるごとにアルコール消毒してほしい」

『スティッチ・エンカウンター』(TDL)などシアター系室内アトラクションでは、“3密”が懸念される。おおむね暗闇になるためほかの客との距離感をはかりにくく、顔の向きも見えづらい。

 前出の徳田室長は、

「座席の間隔を十分にとり、施設側で換気をしっかりすること。客を入れ替える時間にゆとりを持ち、ドアを開放して空気も入れ替えたい」

 と回避方法を示す。

 遊園地には幼児が乗れるアトラクションもあるが、自由に遊ばせてはいけない。

「小さいお子さんは遊具をなめてしまう。親が注意しても、ついやってしまうから厄介です。親がしっかり見守っておくしかないでしょう」

 と前出の佐藤院長。

 USJでは、巨大ジャングルジムの『ビッグバードのビッグ・ネスト』など休止に踏み切ったものも少なくない。

「行政とも相談し、お子さんが順繰りにベタベタ触っていくような小規模なアトラクションは休止します。安心できるよう衛生対策を強化し、ゲストとともにこのような状況における楽しみ方を模索していきたい」(USJ広報担当者)

 アトラクション以外で対応が気になるのは、“地蔵”状態を誘発するショーやパレードの運営方法だ。

「後ろのほうで立ったまま鈴なりになったり、少しでもいい場所で見学したいと、すき間に入り込む客が出てくる心配があります」

 と前出の徳田室長は言う。

 またキャラクターとの記念撮影や触れ合いについて、

「触ったら手を洗えばいい。ミッキーはしゃべらないはずなので、飛沫感染のリスクは低いのではないか」(同)

 との見方を示した。

 ほかに園内で販売するポップコーンなどを食べながら歩くのも楽しみのひとつ。

 しかし、前出の佐藤院長は、

「手にウイルスがついているかもしれないので食べ歩きはやめたほうがいいでしょう」

 買ってあげるときに、子どもと“食べ歩きはしない”などと約束したほうがよさそう。

コロナのことは忘れて楽しみたい

そのほか注意すべきは持参したほうがいいもの。マスク、消毒液、そしてビニール袋です。例えばレストランに入ってマスクをはずしたとき、テーブルの上には置かず、ビニール袋に入れておいたほうが衛生的です」(同)

 前出の北村特任教授は「体温測定」の大切さを訴える。

「施設側が当然とるべき対策です。客側も体温を測ってから出かけるようにしたい。少しでも異常があれば勇気を持って中止しましょう

 TDLなどを運営するオリエンタルランドは、再開のめどについて、

「まだ決まっていないのでお答えできない」(広報担当者)

 というばかり。

 近接の商業施設『イクスピアリ』は営業を再開しており、入場客にはサーモグラフィーによる体温測定を実施中。トイレに列ができることを想定し、床面にはテープで待機場所を示している。ちなみに男子トイレの小便器は1つおきに使用禁止にしていた。

 浦安市の30代女性保育士は、TDLなどの再開に向けてこう注文をつける。

せっかく“夢の国”に行くわけだから、コロナのことは忘れて楽しみたい。感染防止策はできるだけ見えないようにしてほしいです」

 とはいえ、感染したら楽しい思い出どころではなくなる。夢と現実のバランスのとり方は難しい。

【こんな場面ではどうすればいいの?】


1.順番待ちの列でおしゃべりしても大丈夫?


→「屋内の列ではなるべく話さないほうが望ましい」(北村特任教授)



2.絶叫系コースターでは飛沫感染を防ぐため叫んではダメ?

(「スペース・マウンテン」など)


→「マスクをしたほうがいいと思います」(北村特任教授)



3.乗り物の安全バーを握りしめたら接触感染するのでは?


→「強く握りがちなので、その手で顔に触れないように」(佐藤院長)



4.シアター系の屋内アトラクションは“3密”にならない?

(「ミッキーのフィルハーマジック」など)


→「施設側は換気を徹底し収容人数を絞ったほうがいい」(佐藤院長)



5.子ども向けの乗り物では遊具をなめてしまうかもしれないけれど

(「イッツ・ア・スモールワールド」など)


→「親がしっかり見守るしかないです」(佐藤院長)



6.パレードやショーはどう見学すれば安全なの?


→「場所取りの移動で密集、接触しないように」(徳田室長)



7.お化け屋敷など恐怖系アトラクションで感染リスクの低い悲鳴の上げ方はある?

(「ホーンテッドマンション」など)


→「我慢しようがないため、マスクやフェイスシールドを」(勝田教授)



8.持ち歩き用ポップコーンなど1度に食べ切らない飲食物はどうすればいい?


→「毎回手を洗ってから食べるようにする」(徳田室長)



9.キャラクターとの記念撮影などで触れ合っても大丈夫?


→「直接触らず記念撮影ぐらいにとどめてはどうか」(佐藤院長)



※カッコ内は東京ディズニーランドにおける代表的なアトラクション

ディズニーで働く20代女性社員が告白
「どんなに対策しても、感染者は……」

 休園4か月目。オリエンタルランドの20代女性社員はこう切り出した。

「私はずっと自宅待機です。感染しないように外出を自粛、社員寮の談話室閉鎖により、自室に引きこもるしかなくなりました。最初は休みの喜びがありましたが、臨時休園が長引くにつれ、気持ちが落ち込んでしまいました

 ショーやパレードの関係者はリハーサルを重ね、アルバイトは普段できない研修を受けていたようだ。企業存続について不安はないのか。

「内部留保は潤沢なので、倒産の不安は微塵(みじん)も感じていません。社員の給与は100%出ていましたし、アルバイトも、当初の6割補償から、交渉により8割補償になったと聞いています。生活費に困窮しているアルバイトさんは、ディズニーでの仕事を諦めてスーパーやコンビニをメインに働きだしている人もいるようです。ディズニーが好きなだけにつらいでしょうね」

 再開を待ち望むファンの思いが日に日に大きくなっていく中、一向に再開時期の発表はないままだが……。

「上層部では、再開に向けて動きだしているみたいです。まだ具体的な方針は決まっていないため、広報から何も発表できないのでしょう」

 今は「期待半分、不安半分」の心境だという。

「1日でも早く再開してほしい気持ちは、ゲストもキャストも同じだと思います。いつ再開できるのか、そもそも再開可能なのか、考えあぐねる日々を過ごしています。

 ただ、どんなに対策しようと、パーク内で感染者が発生してしまう不安はぬぐいきれません。1度、感染者が出てしまえば再度休園となり楽しみに待っているファンに申し訳が立たなくなります。そうならないために、コロナが完全終息するまでは再開を見送ったほうがいいかもしれないですね」

 心置きなく楽しめる世界は、一体いつになったら迎えられるのだろうか。

【INFORMATION】
KARADA内科クリニック(佐藤昭裕院長)
東京都品川区西五反田1-2-8 FUNDES五反田10階 電話:03-3495-0192

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