有名私立高校の女子生徒4人組が集団万引き! 「警察に引き渡したほうがマシ」保安員が胸を痛めた“親の土下座”

5

2020年06月13日 19:02  サイゾーウーマン

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

サイゾーウーマン

 こんにちは、保安員の澄江です。

 ようやくに東京の自粛要請が緩和され、私たちの現場である商店にも、随分と活気が戻ってきました。その分、感染リスクが高まっているようにも思えますが、仕事をしなければ食べていけないので、恐れてばかりもいられません。それなりの予防対策をして立ち向かうほかないのです。

 新型コロナウイルスの影響を言えば、現場における不審者の見極めが、以前より難しくなりました。マスクのほかに、帽子やサングラスを着用されている方も多く、周囲の人を避けるような不規則な動きで買い回るお客さんに惑わされることもあって、どうしても巡回効率が下がってしまうのです。その一方、失業や生活苦から止む無く万引き行為に手を染めてしまうケースは相変わらず頻発していて、以前は見かけることの少なかった20〜50代の方々に声をかける機会が増えています。つい先日は、品薄状態が解消されたトイレットペーパー(4芯入り)を店頭から持ち去った50代の飲食店店主を捕捉。どことなく梅沢富美男さんに似ている大柄な男で、一見したところ粗暴な感じに見えて少し怖かったのですが、声をかけると同時に強面を歪めて、いまにも泣き出しそうな顔で同行に応じてくれました。

 被害代金は、458円(税込)。

 話を聞けば、店舗の営業を再開してもお客さんの入りが悪く、少しでも節約したくて盗んでしまったとのこと。事情を聞いた店長さんが、事業継続の持続化給付金を申請するよう物知り顔で進言されていましたが、確定申告などしていないのでもらえないのだと肩を落としていました。自業自得のこととは言え、どこか不憫に思えます。

「事情はわかりますけど、一つでも盗ったら、立派な犯罪なんですよ」

 へたをしたら自分の子どもより年下であろう10代後半と思しき新人警察官に説教され、肩を丸めて小さくなっている男の姿は、とても痛々しいものでした。犯歴照会の結果、男に前科はなく、その場でトイレットペーパーの代金を支払い、奥さんに身柄を引き受けさせることで事態は終結。最近は、初犯の扱いが多く、警察に通報しても微罪処分で済まされることばかりで、堂々と座って休める取調室に入る機会が減って困っています。なかなか座らせてもらえず、疲労の抜けない日々を過ごしていますが、それも取調室の密を避けるためだと勝手に解釈している次第です。

 思えば、昭和の後半から平成初期の頃までの警送処理においても、取調室まで入れるケースは稀でした。思い返せば年に数回しかなく、いまとは違い、警察署に行くたび新鮮な気持ちで事情聴取を受けていたことを思い出します。万引きで警察を呼ぶこと自体が珍しい時代だったので、それも当然のことと言えるでしょう。だからこそ、取調室にまで行くような事案は深刻で、そのほとんどが深く記憶に刻まれています。今回は、1980年代後半に捕らえた、思い出深き不良少女グループについて、お話ししていきたいと思います。

 当日の現場は、人気百貨店M。繁華街の駅前に位置する8階建てのビル内は、当時の若者たちに人気の高かったDCブランド店が各フロアで覇権争いをしているような状況にあり、曜日にかかわらず混雑していました。バブル景気とDCブランドブームに乗った店内は、流行を追う学生さんたちの聖地といった様相で、流行の先端を行くような人たちが集まっていたのです。ここ最近は、学生グループによる犯行と思しき大量盗難が頻発しているということで、およそ2カ月にわたる集中警戒の依頼を受けました。その大半を、大先輩の敬子さんと2人で消化します。

「澄江ちゃん、ここはいるわよ。一緒に、頑張ろうね」

 敬子さんと2人で現場に入るのは、新任研修のとき以来、およそ3年ぶりのこと。ある程度の経験を積んでも、その親心は心地よく、ついつい甘えたい気持ちにさせられます。母親についていく子どものような気持ちで、敬子さんの後に続いて百貨店の総合事務所に入ると、どことなく俳優の中井貴一さんに似た真面目な感じのする管理部長さんに出迎えられました。私たちの顔を見るなり、デスク上のファイルを手に取り、静かな口調で現況を語り始めます。

「最近ね、お揃いのジャンパーを着た女子高生グループに、集団でやられて困っているんです。見ればわかると思いますけど、こんなジャンパーを着てくる子たちが来たら、目を離さないでもらえますか?」

 言い終えると同時に「(秘)万引きファイル」と書かれた分厚いファイルを開いた管理部長は、お揃いのジャンパーに身を包んだ女子高生4人組が店を出入りする様子や、団子状に肩を寄せ合って店内を歩く様子が写った防犯カメラのモニターを接写したと思われる数枚の写真を私たちに示しました。よく見れば、バッグもお揃いのようで、全員が「shu uemura atelier」と印字された黒いボストンバッグを肩に下げています。入店時の画像と退店時の画像を比較すると、4人のバッグが大きく膨らんでいるのがわかり、その表情の変化まで見て取れました。悪いことをしている時は、みんな悪い顔になるものなのです。

「この子たち、いつも午後4時くらいに来ています。その時間は、特に注意してください」

 写真に写る女子高生たちの顔を目に焼き付けて店内に向かうと、その道中、いつになく険しい顔をした敬子さんが言いました。

「澄江ちゃん。あの子たち、きっと来るわよ。あなた、集団万引き、挙げた経験ある?」
「いえ、まだ2人組しかないんです。私で、大丈夫でしょうか?」
「4人組を捕まえるのは、なかなか大変よ。共犯は役割の見極めが大事だから、そこがわかるまでは、私のそばにいてね。後半は、一緒に回りましょう」

 合流する場所を正面口の脇に決めて、約束の時間までは単独で巡回します。店内の構造を確認しながら巡回して、大過なく約束の時間を迎えて正面口に出向くと、敬子さんの代わりに管理部長がやって来ました。

「ちょっと前に捕捉があって、いま引き継ぎをしてもらっています。もうすぐ来られますけど、それまではお願いしますとのことでした」

 携帯電話のない時代なので、広い現場で捕捉を共有するには、行動を共にするほかありません。知らない間に捕捉があったことと、暗に実力の差を見せつけられた悔しさを感じながら、ひとり正面出入口の脇で警戒します。するとまもなく、件の女子高生グループが、ファイルにあった写真と変わらぬ格好で店内に入ってきました。彼女たちの表情を窺えば、随分と大人っぽい雰囲気で、まるで高校生らしくありません。自分ひとりで大丈夫なのかと、不安に思いながら後を追うと、エスカレーターで3階に向かった彼女たちは、いわゆるボディコンスタイルの服をメインに扱うお店に入っていきます。店内は、若く派手な女性たちで混雑しており、4人ほどの店員さんが右往左往している状況に見えました。自分とは縁のないスタイルの洋服を扱うお店なので、浮いてしまう気がして店内に入るのを躊躇していると、いつの間にか隣にいた敬子さんが言います。

「あの子たち、欲しいものを一カ所に集めて、一気に入れるつもりよ。動いたら、実行役の手だけを見て」

 するとまもなく、商品を集めた棚の前で肩を寄せ合うようにした彼女たちは、実行役とバッグを広げる役、それに2人の見張り役といったふうに役割分担をして、まるで洗濯物を洗濯機に入れるような動きで次々と商品を隠していきます。一つずつ丸めてからバッグに入れている理由は、より多くの商品を隠すためでしょうか。ボストンバッグ二つ分の商品を、あっという間に隠してみせた4人は、そそくさと店をあとにします。敬子さんが実行役の2人を、私が見張り役の2人の捕捉を担当することに決めて、店の正面口を出たところで声をかけることにしました。

「あなたたち、ちょっとお待ちなさい。お金払わないといけないものあるでしょう」

 気配を消して彼女たちの背後に近づいた敬子さんが、ブツが入ったバッグの持ち手を素早く掴んで彼女たちを呼び止めると、仁王立ちする敬子さんの迫力に言葉を失ったらしい4人は、ただ呆然と顔を見合わせています。

「大丈夫だから、みんなでごめんなさいしにいこう」
「はい、ごめんなさい……」

 素直に犯行を認めた4人を連れて総合事務所に向かい、盗んだ商品を出させて、身分を確認したところ、4人は有名私立高校に通う同級生で、ディスコを借りてパーティーをするようなチームの仲間ということでした。被害は、いわゆるボディコン系のワンピースやブラウス、スカート、ベルトなど、すべて各4点ずつ。被害合計は、およそ20万円になりました。どうやら全てお揃いにするのがチームの決まりのようで、ボストンバッグから出された財布や手帳も、どれも同じものだったことを覚えています。

「いままでのこともあるし、被害も高額だから、家と学校の両方に通報します」
「え? 学校は勘弁してください。退学になっちゃう!」

 一報を聞いて駆けつけた管理部長さんが通報を始めると、ようやくに事態の大きさに気付いたらしい彼女たちは、下を向いて嗚咽を漏らし始めました。その後、いち早く駆けつけた先生方が彼女たちの荷物を検査すると、いわゆるパーティー券が数十枚とタバコ、それにコンドームまで出てきてしまいます。一見して生活指導担当とわかる元力士のような先生が、ドスの利いた声で彼女たちに言いました。

「お前ら、どうしようもないな。これは助けられないかもしれんぞ」

 あまり感じたことがないほどの重い雰囲気が漂う中、彼女たちの保護者方が続々と迎えに来られて、総合事務所内の空気は、さらに沈下していきます。なかには先生に土下座をしながら寛大な処分を求める方もいらして、見るに堪えない気持ちがしました。これならば、警察に引き渡されたほうが、まだマシなように思えます。

「澄江ちゃん、ちょっとつらかったのかな? 気持ちはわかるけど、あまり入れ込んだらダメよ。今日を最後にしてくれたら、それでいいんだから。それにしても、子育ては大変よね……」

 私が子どもを作らなかったのは、この一件を見て、きちんと育てる自信が持てなかったからかもしれません。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)

このニュースに関するつぶやき

  • 盗んで何が楽しいの? https://mixi.at/a9TOqtC
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • 消費を煽りに煽る情報に晒された現代社会において、若者には物欲をコントロールする術を教育すべきだという議論は何処にもないニダカw?
    • イイネ!4
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(4件)

前日のランキングへ

ニュース設定