【秘蔵私的写真で振り返るGT進化の旅/第4回】空力開発が本格化し始めた2004年GT500トヨタスープラ

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2020年06月18日 12:21  AUTOSPORT web

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写真
日本のモータースポーツファンのみなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 この度始まりました【写真で振り返るGT進化の旅】企画。7月予定の開幕を前にちょっぴり昔を振り返り知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられはず。

 そこで今企画はJGTC時代 2003年(全日本GT選手権 03規定)から2013年頃(スーパーGT 09規定)までのメカものをみなさまと振り返る企画になります。当時は自主規制でNGとした写真ももはや時効、バンバン出しちゃいます!

 それでは世界に誇る『ニッポンGT進化の旅 2004年GT500スープラ編』いってみましょう!

いつものように定点から全体を見てみましょう。こちらは2004年のWOODONEトムススープラ。前年から大きく変化した箇所は見当たらないと言っていいでしょう。正常進化としか言いようがありません。ネタがありません。目につくのは屋根に設置された室内換気の為の三日月状のエアアウトレットでしょうか。ただ変化が少ないということはベース(2003年車)がとても良くできていたということでしょう。

エンジンは2003年シーズンと同様、V型8気筒(3UZ)エンジンを使用。レギュレーションにより排気量は5.2リッターから4.5リッターへ。キャビンから延びるパイプフレームがエンジン(カムカバー部)と結合されていることが分かります。

エンジンの前側にはファーストバルクヘッドが存在しパイプフレームと結合し、剛性を保っています。 エンジンルーム後端左右にはエアアウトレットが設けられています。

予選後、車検委員によるリストリクター径検査の様子。『ワンリスアップ』『ツーリスアップ』……リストリクター径救済措置が懐かしいです。

フロントバンパー開口部です。牽引フック左右がラジエター、その両脇がブレーキ、中央3枚の仕切り版がある区画がエンジンの吸気用です。

牽引フックの取付位置の内部にはフロントリップの高さを調整する機構を内蔵。シムと呼ばれるスペーサで路面とのクリアランスを調整。レースウイーク中にメカニックがこの部分を調整している時は、だいたいセッティングに煮詰まっているときだったと記憶しています。

フロントブレーキ周辺を見ましょう。今では共通部品となったブレーキユニットも、当時はAP、PFC、アルコンなど各社がしのぎを削っていたことを思い出します(遠い目)。奥にアップスイープが見えますが、出口周辺を隔壁で密閉してここで流速を向上させ、フロントタイヤハウス内の空気の流れを阻害しないような意図が読み取れます。

スープラ陣営は2004シーズンあたりから空力開発が本格的に。ボンネット上、ラジエター用エアアウトレットのルーバーの形状や枚数を細かに調整。温度管理、ダウンフォース量の調整に使用されました。

ボンネット両後端にエンジンルームの負圧を逃がすエアアウトレットを設置。以前にも存在しましたが、より洗練され複雑な形状に。

フロントバンパー両脇にも新形状の空力パーツ、カナードを装着。このパーツ、後にGT300のRX-7なども真似していました。

最終戦鈴鹿には2005年シーズンを見越した新形状のリヤフェンダーを投入。リヤウイングのガーニーフラップも独特の形状に。

『ニッポンGT進化の旅2004年GT500スープラ編』いかがだったでしょうか。この年あたりからGTも取材規制が厳しくなったこと、そしてスープラがあまりにも正常進化すぎて、写真が少ない中での紹介となりました。

 2004年シーズンはフェアレディZ勢が圧倒、スープラ勢は2勝にとどまりチャンピオン獲得はならず。スープラ有終の美を飾るべく最終年2005年シーズンへ挑むことになります。スープラは同じGT500でFRのZと比べるとホイールベースが10センチ短く、ブレーキング時にリヤがナーバスになるという問題を常に抱えていたようです。そういった背景もあり、新車種の登場が待ち望まれることとなります。

 さぁ、次回は2004年GT500ホンダNSX編です。エンジン縦置き、ツインターボ化したNSXが登場、エンジンルーム、インタークーラーの写真も登場します。どうぞご期待ください。

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