『ザ・ノンフィクション』にも登場、“子宮系女子”の教祖様が始めた「新・スピリチュアル商法」の危険度

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2020年06月19日 23:42  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

八木さや公式インスタグラムより

弱った心に入り込む、甘い言葉やラクに稼げそうな情報――。ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。

 なんと、節目の第20回を迎えました。連載が続くということは、“教祖様”が健在ということでもあるので残念ですが……。そこで今回は、原点回帰して「子宮系女子」の現状について触れたいと思います。

 当コラムではおなじみですが、ネット上では話題になるたび「なんだそれ?」「知らないほうがよかった」などと酷評される、子宮系女子。“婦人科専門の霊能者”を自称するスピリチュアルブロガー・子宮委員長はるをあがめる人たちのことです。

■『ザ・ノンフィクション』にも“子宮系女子”が登場

 5月31日、フジテレビ系のドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』にて、9人の大家族・西山家が取り上げられました。夫1人・妻2人と連れ子からなる一家として登場し、ネット上でも話題に。家族の形はそれぞれなのでいいとして、物議を醸していたのは、夫の「インスピレーション書道」と、放送後、ネットユーザーに見つかった妻のスピリチュアルめいたブログでした。そのブログに度々登場する人物こそ、「子宮委員長はる」です。

 西山夫妻3人は2018年4月、スピリチュアリスト・happyが主催したイベント「第2回シンデレラプロジェクト」にて、結婚式を挙げています。お笑い芸人のなだぎ武さん、タレントの小林麻耶さんらも登壇し、信者たちを熱狂させたこのイベントでは、盛大な「子宮委員長引退式」も行われていました。

 これに乗じて、子宮委員長はるは「引退記念グッズ」を売りさばき、その後は「八木さや」と名前を変え、長崎県壱岐市(壱岐島)に豪邸を建てて隠居。……のはずが、案の定、“教祖様”として活動を再開します。子宮委員長時代も、依頼者の名前だけで性器を鑑定した「御まん託」という紙を4万9,000円〜販売していましたが(マジで何それ?)、結局、それと似た情報商材「自分ビジネス講座」のDVDを販売。名前を変えてもなお、スピ系ビジネスを展開しているんです。さらには、自身のブログで「壱岐市長選に出て、いずれ総理大臣になる」とまで豪語。その壱岐市長選が、今年4月12日に行われました。

■壱岐市長選、出馬しなかった八木さやの“意味深”発言

 任期満了に伴う壱岐市長選は、4月5日に公示。我々ウォッチャーはワクワクしつつ見守りましたが、出馬したのは現職の白川博一氏と、無所属の森俊介氏2人だけでした。あれだけブログで「市に税金を納められる人を増やします」「移住者を1000人増やし、5年後には10000人増やします」「(壱岐市が)日本全国、世界中のモデルになればいい」と息巻いていた八木さやはどこへ!? 不出馬の理由は、4月13日更新のブログで明らかになります。

「今、わたしの住む壱岐島では 市長選挙が終わったところ。わたしは行かなかったんですけどね。(中略)男の競い合いには、参加することなかれ、って感じ。怪我する。でも、うすら巻き込まれるっていう…2人の候補者がいたんだけど、手加減なくなじられるという惨事。傷ついてたんだけど、まぁ、わたしが両者の視界に入ってるってことですよね」(4月13日「緊急宣言!無料自分ビジネス講座、復習ダイジェスト始めるよ!」より、原文ママ)

 女性というだけで立候補を妨げられたのだとしたら気の毒ですが、正直なところ、詳しい理由はわかりません。ただ、一つ確実に言えることは、今回4選を果たした白川氏は、18年10月に行われたhappy主催のスピリチュアルイベント「縄文祭」に思いがけず加担する形となり、市議会で問題視されるなど、散々な思いをしています。そんな現職に肉薄したのが、無所属新人の森氏。私は彼の支持者から、「八木さやのスピ商法を把握した上で選挙に臨んでいる」との情報をもらっています。それだけ、スピ系ブロガーの動向を注視し、敏感になっている市民が多いということでしょう。

 そんな森氏のブログには、「『森さんの出馬のバックに、スピリチュアルをビジネスにされている方々がいるという噂を聞いたのですが、本当でしょうか?』という内容の問い合わせを複数いただきました」(2月4日「壱岐市長選挙に関する、デマについて。」より)と書かれています。「噂はまったくの事実無根」とした上で、happyと八木さやの実名を出し「これまでにお会いしたことも、会話や連絡のやり取りをしたことも、一度もありません。もちろん政治的なつながりも一切ありません」と強調していました。スピイベントに巻き込まれて窮地に立たされた白川氏と、教祖様との関わりを疑われた森氏……ひょっとして、これが八木さやの言う「男の競い合い」なのでしょうか?

 ちなみに、先ほどの八木さやのブログには続きがあります。「選挙は絶対行かない。息吸っただけで身が汚れる。ま、選挙に行ったことないんですけどね。選挙バージンです。惚れ込んだ人が出たら行くけど」とのこと。ええ〜あんた、選挙行ったことないのに「市長になる!」とか言ってたんかい? てか、昨年末に気の早い子宮系女子たちが「八木総理大臣訪米準備会」まで開き、八木さやをサンディエゴに招いたというのに……。そこまでやっておいて、信者が誰も「市長選には出ないの?」と聞かないところも不思議です。

■「そういえば、霊能力を持っている」と言いだす信者たち

 そんな八木さやの人気商品といえば、1万人以上が購入したと“自称”する「自分ビジネス講座」のDVD。この正体は、スピリチュアル商法のノウハウが詰まった情報商材であることは、以前もコラムで触れました。一体誰が買うんだよと思いますが、八木さやの信者には至高のバイブルのよう。ブログで「自分ビジネス」のタグをつけて、起業宣言している人をチラホラ見かけます(どう多く見積もっても、1万人も出てこないのはご愛嬌)。

 ある40代女性の「自分ビジネス」受講者は、ブログで“霊感”によって「人の未来を読む」というビジネスを開始。実はこれ、八木さやが「霊能力を使える人を増やす」と言って昨年から始めた「霊能力開花プログラム」の結果です。この女性だけでなく、ほかの信者も次々と「そういえば、私も霊能力を持っている」「実は昔からそんな感覚があった」などと言いだし、誰もかれもが霊感を使ったビジネスを始めているのです。新型コロナ騒動のさなかでも異様な盛り上がりを見せており、もはや「消費者庁? そんなもんしらねー! 全員かかって来いや!」状態。こっちがハラハラしますわ。

 八木さやが信者をその気にさせ、「自分ビジネス講座」を参考にして起業させること、すなわち自分の商売の“地固め”をしているのなら、かなりうまい手です。さらに、起業した信者たちが稼いだ金を、また自分に使ってもらおうとしているのか、八木さやは自身がプロデュースした化粧品や財布、アクセサリーチャームなど、多彩な高額商品を販売。中でも秀逸だった新商品は、「壱岐メロン」です。

 もともと、野菜作りがしたいために、壱岐市へ移住したという八木さや。そんな彼女は現在、壱岐市の有機栽培農家とタッグを組み、野菜や果物を世界中に出荷しようともくろんでいるよう。これにはさすがの信者も「指がポチり(購入)にいかない」など、ブログで葛藤をつづっていました。それでも、「やっぱりさやちゃんのエネルギーを感じたい」とかなんとか、思い切って購入する人も。届いたメロンを取り出すときに感情があふれて、涙した人までいるというから驚きです(多分、農家の方が作ったメロンですよソレ)。

■「子宮メソッド」を焼き直し、新しいビジネスを開始

 いま個人的に気になっているのは、八木さやが「サプリメントと栄養学と水素発生器にはまってる」などとブログにつづり、いよいよ信者の健康に影響を及ぼさんとしていることです。八木さやの友人たちは、彼女から水素発生器やサプリをプレゼントされたらしく、「その効果がすごい」と驚いていました。

 とはいえ、水素の効能は医学的根拠に乏しく、女優の藤原紀香さんが水素発生器を結婚式の引き出物にしたことで、ネットがざわついたこともありました。さらにご存じの通り、サプリは「栄養補助食品」ですから、飲んで速効「効果がすごい」と実感できないはずです。そんなことを知ってか知らずか、八木さやは3月24日にブログで「予防のためにあれこれサプリとかを買うなら、自分ビジネス講座買うほうがよっぽど予防だわ」と、サプリをディスってましたね(正直だな)。それが、一体どういう風の吹き回しか……お友達を巻き込む新ビジネスでも思いついたのでしょうか?

 先月中旬には「自分メディカル講座」なる新たなスピビジネスを展開し始めているのですが、6月10日のブログでは、子宮メソッドをバージョンアップさせたものが「自分メディカル」だとつづっています。「メディカル」とは明確に「医療」を意味するので、“ブロガー”が売り出すのは問題だと思うのですが…… 。「魂の欲求である子宮の声に従って生きると、幸運が舞い込む」「抑圧感情が溜まると子宮筋腫になる」「旦那さんの出世や昇給は子宮(女性器)の力」を唱えるのが子宮メソッドなので、おのずと彼女の新ビジネスがどんなものかわかるでしょう。

 それにしても、消費者の感情を揺さぶるという点で、やはりスピリチュアル系ブロガー界隈で八木さやは別格。4月16日には、ブログで自宅前に神社を建てると宣言し、ウォッチャーたちを苦笑いさせましたが、子宮系女子の狭いコミュニティ内で彼女を慕う人たちは、どこまでついていけるのでしょうか? 次は一体何を売り出すのか――そろそろ夏がやってくるので、おいしいスイカぐらいにしてほしいものです。

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