戸田恵梨香はなぜ人々を魅了するのか? 『SPEC』などの再放送で見えた人間的魅力

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2020年06月25日 06:01  リアルサウンド

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『SPEC 一挙放送SP』(c)TBS

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、新ドラマが放送延期となり、数々のドラマが再放送された。何十年も前の名作が話題になったりと、コロナ禍の世の中に新たな楽しみを提供してくれたこの取り組みだが、中でも戸田恵梨香が出演するドラマが数多く放送され、多くの視聴者に改めてその魅力が再共有された。


参考:戸田恵梨香の出演作はなぜ再放送されるのか? “挑戦”の連続となった『SPEC』から考える


 戸田の出演作で再放送されたのは、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)、『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿』(TBS系)、『鍵のかかった部屋』(フジテレビ系)、『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)の5本。キャリア初期のあどけない姿から、朝ドラ前に挑戦した近作など、女優・戸田恵梨香のこれまでを総覧して振り返ることができたこの自粛期間。再放送を振り返り、ライターの佐藤結衣氏は、以下のように語る。


「この自粛期間にいろいろな作品を観ることができ、改めて戸田さんの演技の上手さを確認できる機会だったと思います。個人的に戸田さんの演技で好きなところが、作品によって眼差しが全然違うところ。『野ブタ。』では学園のマドンナを演じ、愛されキャラとしての余裕を見せるような表情が印象的でした。『鍵のかかった部屋』だと、大野智さんに対して場をリードしていく凜とした立ち居振る舞い、『SPEC』に関しては、周囲に関心がなく何を考えているのか掴みにくいような部分を演出していて、よくよく考えてみると全部方向性が全く異なるんです。そう考えると、“戸田恵梨香といえばこういう役”というようなイメージがないですよね。これだけキャリアがあるにも関わらず“戸田恵梨香っぽい役”がなく、強いていうなら芯がしっかりしている女性というカテゴライズができるのですが、それは彼女自身が持っているパーソナルな魅力であって、それをどういった切り口で見せるのか作品によって変わっている印象です」


 佐藤氏は、戸田の転機となった『SPEC』はその芯の強さが視聴者に伝わった作品だったと分析する。


「『SPEC』の頃のインタビューを見返すと、共演者の加瀬亮さんに『戸田さんってヤンキーだと思っていた』と言われていて、それに対し『どの作品でもヤンキーだったでしょって言われるんですよね』と答えています。ヤンキーに見られるというのは、ある意味その純粋さゆえだと思うんです。自分自身が曲げられなくて、よくいえばピュアな部分や、少年性をもっているということでもあります。『本音でハシゴ酒』(フジテレビ系)に出演した際も、男気溢れるエピソードを披露していて、そういった魅力が彼女の演じる芯の強さに影響を及ぼしているように感じます。もともと戸田さんが出始めた頃のイメージは、『野ブタ。』のような、可愛く演技もできてみんなから好かれる人いう印象だったのですが、そのままのイメージでいかなかったのは、『SPEC』の存在が大きかったのかなと思います。戸田さんが演じた当麻は、髪の毛はボサボサでご飯の食べ方も変なのですが、そこににじみ出る人としての魅力が見えていますよね。そういったイノセンスな魅力が男女問わず人気な理由なのかもしれません」


 戸田恵梨香だけでなく、多くの人から愛される女優には人間的な魅力が不可欠なのかもしれない。佐藤氏は最後に締めくくる。


「一般的に、男女問わず人々を魅了する理由として“ギャップ”があります。戸田さんの場合は、一見ツンとしているように見えて笑い上戸だったり、女優としてのプライドを感じさせるストイックさを持っているのがわかるのに気さくにコミュニケーションを取る……と、ギャップを多く持つ方で、それに加えさらに“こんな役もできるの?”というギャップで視聴者も魅了してくれます。朝ドラ『スカーレット』(NHK総合)でも、新しい魅力を発見した印象がありました。朝ドラのヒロインというと、かつての日本人が良しとする清純派な女性像があったのに対し、パートナーの八郎(松下洸平)とぶつかりながら自分の道を突き進む姿が彼女の人生と重なる部分も。現在、誰かの視線を気にせずにブレない自分として生きたいと思っているなかで、喜美子という役を通してその姿を見せたのは、戸田さんにとって女優として第二のスタートを切る上で重要なポイントだったのかなと思います。今後の作品で魅力の引き出しが増えていくのも楽しみですね」


(リアルサウンド編集部)


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