ハナコ 岡部大、『エール』で“お笑い第7世代”演技派筆頭に? 原田泰造、角田晃広らの系譜に続くか

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2020年06月26日 06:01  リアルサウンド

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連続テレビ小説『エール』(写真提供=NHK)

 「お笑い第7世代」を代表する実力派トリオ・ハナコの岡部大が、NHK朝の連続テレビ小説『エール』に出演することが決定した。6月26日放送の第65回から、主人公・裕一(窪田正孝)のもとに、突然弟子入りを申し込む青年・田ノ上五郎役として登場する。バラエティ界に一大ブームを巻き起こしているお笑い第7世代が、ドラマ界でも新たな旋風を巻き起こすことができるのか。


参考:ほか岡部登場の場面写真はこちらから


 お笑い芸人が役者としてドラマ・映画で活躍することはもはや珍しくなくなった。最近では、大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)に出演中のナインティナイン・岡村隆史をはじめ、『ハケンの品格』(日本テレビ系)のドランクドラゴン・塚地武雅、『DASADA』(日本テレビ)の我が家・坪倉由幸、7月19日から放送の『半沢直樹』(TBS系)では東京03の角田晃広、そして6月27日から放送の『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)に出演する原田泰造など、枚挙にいとまがない。


 お笑い芸人は、舞台で多くの場数を踏んだ度胸強さだけでなく、自ら脚本を書き、演出を考え、相手や観客に自分のキャラを分かりやすく伝えようとパフォーマンスをする。監督の演出や台本通りに演じられる確かな演技力と、コメディアンとしてのユーモアが保証されているとも言え、映画・ドラマ界で重宝されるのは必然なのかもしれない。特に『半沢直樹』や『下町ロケット 』などを放送するTBSの日曜劇場はその傾向が強く、今や落語の分野まで手を広げるほど、即戦力となる新たな人材を探している。


 そんな映画・ドラマ出演芸人の中でも、最近印象深かったのが『テセウスの船』(TBS系)に出演した、霜降り明星・せいや。お笑い第7世代として今や大人気のせいやだが、ドラマとなるとクレジットが出るまで本人とは気づかないほど、物語に溶け込んだ自然な演技を見せた。公式YouTubeチャンネル「しもふりチューブ」でも語っているが、黒幕は最初から知っていたので、バレないかずっと怖かったという。そのプレッシャーの中で、最後まで真犯人だと気づかせず、最後に怒りや憎しみを爆発させるクライマックスシーンの衝撃は、ドラマ初出演とは思えないものだった。賛否両論はあるものの、その結末の驚きは、役者としての特定のカラーがないせいやを抜擢したキャスティングの功績だと言え、お笑い第7世代の役者としての可能性を感じさせた。


 そんな霜降り明星と同じく第7世代のハナコは、シチュエーションコントを得意とするお笑いトリオ。彼らのコントは、岡部と秋山がボケとツッコミで絡み合い、菊田が後からふっと現れ何かを仕掛けてくる。そのナンセンスな面白さは、今ではキングオブコント2018王者になるほどの支持を集めている。


 元を辿れば、バスター・キートンやチャップリン、渥美清など喜劇俳優を例にとってみれば分かる通り、映画とコメディは蜜月の関係とも言える。トリオでのシチュエーションコントは、それぞれの役になりきってかけ合いをするという意味で特に舞台・劇映画に近い。それこそ、角田晃広や原田泰造、坪倉由幸など役者としても活躍する芸人にはトリオ出身も多い。角田や坪倉のような愛嬌とユーモアを併せ持つバイプレーヤーは、今ドラマ界でも強く求められている。顔の表情だけで微妙な感情を伝えるのが巧みな岡部は、第7世代の中でも一番俳優に近い存在だと言えるのではないだろうか。


 今回『エール』の制作統括・土屋勝裕氏は岡部の起用理由について、「純朴な地方の青年という五郎役にふさわしいキャストを探していた時に、岡部大さんにお会いして、弟子入りしたいと願う場面を試しに演じて頂いたのですが、顔を真っ赤にしながら涙を浮かべての迫真の演技に演出陣も納得、その場で出演をオファーしました」とコメント(参考:ハナコ 岡部大、『エール』で裕一に弟子入する田ノ上五郎役に 「人生でいちばんうれしい出来事」)。そうした感情を爆発させる演技は、これまでのハナコのコントでも度々披露してきた、岡部が得意としている分野だ。岡部は「事務所の先輩で、トリオとしてもあこがれているネプチューンの(原田)泰造さんみたいにお芝居もできる芸人を目指していきたいなと思っています」と、役者しての意欲を語っており、今後の演技にも期待がかかる。なお、『エール』のみならず、7月7日から毎週火曜放送予定の『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)にも出演。こちらも楽しみだ。


 お笑い第7世代は、テレビが厳しい時代に自分たちで切り開いてきたムーブメントであり、そのたくましさが今若い層に支持を集める理由かもしれない。それができるのも即戦力となる実力があるからこそ。彼らの独自のキャラクターとその演技力を活かせば、ドラマや映画界にも新しい流れを持ち込めるだろう。俳優人生の第一歩となる『エール』で岡部がどんな演技を見せるのか、お笑い第7世代の俳優業としての行く末を占う意味でも、目が離せない。 (文=本 手)


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