「どこまでいっても、自分は自分」――キラキラした世界に気後れしちゃう女の子へのメッセージ

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2020年07月03日 19:11  ダ・ヴィンチニュース

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写真『The Young Women’s Handbook 〜女の子、どう生きる?〜』(光文社)
『The Young Women’s Handbook 〜女の子、どう生きる?〜』(光文社)

 旬のコーディネートやメイクなどがキラキラしたモデルさんとともに紹介され、おしゃれの勉強になるファッション雑誌。だが、そこに登場するモデルさんとは、スタイルも違えば、顔の大きさも違う。カバンの中身や、時には素敵な恋人まで誌面で紹介してくれる、一見親しみやすそうな読者モデルも、自分とはかけ離れすぎていて、何だか少し、気後れしちゃう…。突然だが、あなたは雑誌やおしゃれなSNSを見て、こんな感情を抱いたことはないだろうか? おしゃれを楽しみたい気持ちはあるものの、同年代で輝いている子を見ると、嫉妬したり、肩を落としたりしたことのある人は、きっと少なくないはずだ。

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 作家の山内マリコさんが、女性ファッション誌『JJ』にて連載していたエッセイ「Think about Features〜25歳のレディたちへ〜」をまとめた単行本『The Young Women’s Handbook 〜女の子、どう生きる?〜』(光文社)は、そんな迷える女子たちに強く優しく寄り添う1冊だ。毎号JJの巻頭を飾る特集コピーに対し、著者が思うことを綴っているのだが、「JJを愛読しながらも、巻頭コピーに気後れしたり、小さく傷ついている子もきっといるはず。そういう子たちの心の拠りどころになれば」と、JJ読者の仮想年齢である25歳のときの感覚を思い出しながら、女性が生きていく上で大事だと思う、お守りのような言葉が収録されている。

 本作は、他者ではなく、自分軸を大切に生きることの重要さが繰り返し述べられている。例えば、「誰かにあこがれる、という束縛から自由になる」というタイトルのエッセイで綴られるのは、歌手で女優のジェーン・バーキンが好きで、懸命に真似てみたものの、1ミリも似なかった著者の葛藤の記録だ。彼女が穿いていたようなデニムやカゴバッグを合わせてもダメで、前髪をセルフカットして自爆した後、最終的にこんな結論を導き出す。

 誰かにあこがれて、こんなふうになりたいなと夢見て、真似をしてみたところで、やっぱりその人にはなれない。悲しいくらい、自分は自分でしかない。

<どこまでいっても、自分は自分>という事実に気づくまで、ものすごく時間がかかったと吐露されているのだが、その結果、誰かの真似ではなく、自分が引き立つものを選べるようになった…というエピソードに、目の覚めるような気持ちになった。

 また、著者は多くのフォロワーに影響力を持つ“インフルエンサー”についても、「誰もがなれるわけではなく、スポットライトを浴びるのはごく少数」だと前置きした上で、SNSと消耗せずに付き合うためのアドバイスをおくる。ちょっとでも面倒くさいと思うなら、無理して頑張る必要はまったくないこと、まずはリアルを固めて、余力があったら遊びでやる、という扱いでも構わないこと…。若い女性が承認欲求をどう飼い慣らすかは高度なミッションだが、年をとると自意識が和らいで、適量に落ち着く、とも綴られており、たくさん葛藤を重ねた末に大人へと成長していくことは、視野も広がり、良い具合に肩の力も抜け、悪いことばかりでもないのだと自信になった。

 結婚や出産、将来への不安や周囲からのプレッシャーと闘い、自意識ばかりが膨らみ、買い物だってたくさん失敗を繰り返す20代。本作は、そんな状況の中で、もがき苦しむ経験が決して無駄にはならないことを教えてくれるし、その上で、少しずつ自分を知り、自分を好きになる方法を“信頼できるおねえさん”が示してくれる。素敵なあの子の存在に胃をキリキリさせるのではなく、刺激に変えて、人生を力強く楽しみたい女の子たちにぜひ読んでほしい1冊だ。

文=さゆ

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