海水浴場「体力低下」「監視員なし」で今年は特に要注意? 海離れが招く事故のリスクとは

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2020年07月04日 09:00  AERA dot.

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写真海は変化が激しい。穏やかだった海が急に荒れてくることもあるので、どんな時も注意が必要だ
海は変化が激しい。穏やかだった海が急に荒れてくることもあるので、どんな時も注意が必要だ
 海水浴などで心配なのが水難事故。今年は海に行く機会もないし……と油断していると、実はリスクが多く潜んでいる。近年、海に行く人が少なくなっているというデータもある。AERA 2020年7月6日号に掲載された記事で、海との上手な付き合い方について考える。

【グラフ】救助の原因をしらべたところ、人的要因の6割は…

*  *  *
 今年の夏は、新型コロナウイルスの影響で、海水浴に行く機会は少ないかもしれない。だが、暑くなるとつい海に心惹かれる。そのとき、実は例年以上に注意が必要なのだ。

 今年は海で泳ぐと事故に遭いやすい状況にある。春からの自粛生活で体力も筋力も低下している。それに、今年は海の家を設置しない海水浴場も多い。例年のように、監視員やライフセーバーがいない状況が考えられ、ブイなどで安全に泳げる範囲を示していないケースもあるだろう。しかし、遊泳禁止でなければ海に入る人もいる。つまり、より海水浴で危険に遭遇するリスクが高まるのだ。

 ここ数年は、毎年約700人が水難事故で死亡している。しかも、海水浴客が年々減る一方で、海での死亡事故は横ばいなのだ。

 日本ライフセービング協会が救助の原因を調べたところ、人的要因の6割が泳力不足だという結果が出た。日本は世界でも珍しく、義務教育で水泳の授業を行っており、水泳教室に通う子どもも多い。それなのになぜ泳力不足が問題になるのだろうか。同協会で溺水防止救助救命本部長を務める石川仁憲さんはこう語る。

「海は足のつかないところもあり、水の中が見えないので、プールで泳げても不安を感じるものです。生物がいるのも海とプールの大きな違い。海水浴場でクラゲに刺されて救助される人も毎年とても多いです」

 日本では近年、着衣泳を授業で行うところもあるが、自然の中で泳ぐことを想定したカリキュラムになっていない。だから、自然の中でトラブルに遭ったときの対処法がわからないのだ。

 また、海では天候にも注意が必要だ。天気予報を事前にチェックし、天気が荒れそうなときには入らないというのは基本中の基本。ただし、天気がよくても注意が必要なときもある。たとえば太平洋上で台風が発生したけれど、まだ日本にはさほど接近せず、海岸付近は晴れている場合。このとき、遠くの台風の風によって発生する「うねり」と呼ばれる高い波が海岸に押し寄せてくることがある。

 前述の日本ライフセービング協会の調査では、救助の自然的要因のうち最も多いのが「離岸流」だった。離岸流とは、海岸に打ち寄せられた波が沖に戻るときに発生する強い流れのことだ。離岸流に逆らって岸に向かって泳ぐことは不可能。そうなると、パニックになって溺れてしまうことが多いという。

 離岸流を避けるためには、海をしっかり観察する必要がある。

「海の中で、1カ所または数カ所、不自然に波が立っていないところや、海岸構造物の近く、波打ち際を横方向に見渡したときに海岸線がへこんでいる場所は危険です。離岸流が発生している可能性が高く、沖に向かって水深が深くなっています。波がないからとあえてそこで泳ぎ、離岸流に流されてしまうケースも多いのです」(石川さん)

 もし離岸流に流されてしまったらどうすればよいだろうか。

「離岸流は波が砕けているところを越えてある程度沖まで流れると消えます。そうなったら海岸線と平行に横方向に泳げば離岸流から抜けることができ、岸まで泳いで帰れます」(同)

 海で泳ぐときにはライフジャケットも着用したい。2016年の海水浴場における救助件数の内訳をみると、溺れた人の半数は浮輪やハクチョウなどの形をしたフロートがある状態でも事故に遭っていた。浮輪は空気が抜ける恐れがあり、風に流されやすい。フロートも、浮輪と同様の危険があるうえ、一度フロートから落ちると、足のつかない深さの沖では再び上に乗ることもできないのだ。

 しかし、このような注意喚起をすると、海は危険だと思って足が遠のいてしまう。それが最も怖いと、日本財団が主催する「海と日本PROJECT」で「海のそなえ推進プロジェクト」のリーダーを務める渡邉友弘さんは話す。

「海は危険があるし、日焼けも嫌、熱中症が心配などと、いまの親世代は子どもを海に連れて行かない人が多い。このために海の楽しさや怖さを正しく知っている人が少なくなっている」

 19年に日本財団が行った「『海と日本人』に関する意識調査」によると、全体の3分の1は「この1年間で1度も海に行っていない」という結果が出た。

 海に行きたいと思うかどうかは、子どもの頃に海で楽しい思い出があったかどうかが大きい。この調査で「海に行きたい」と回答した人のうち86%は「子どもの頃の楽しい海の思い出を持っている」と回答した。しかし、回答した親のうち子どもに「十分に海体験を提供できている」としたのは25%だけだった。

「海は怖い」「海水浴は面倒」と海から遠ざかってしまうと、かえって水難事故のリスクを高めてしまうのだ。(ライター・今井明子)

※AERA 2020年7月6日号より抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • 滋賀県民のあたしにはよくわかりませんが…。
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  • は?海に行かなきゃ、海で溺れようがないんだが・・・(´Д`) あと、お盆過ぎてクラゲが出る季節に泳ぐのバカじゃんw
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