「安倍4選の機は近づいた」池上彰と佐藤優がコロナ禍の権力延命を指摘

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2020年07月04日 09:00  AERA dot.

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写真ウェブ会議システム「Zoom」で対談した池上彰氏(左)と佐藤優氏 (撮影/吉崎洋夫)
ウェブ会議システム「Zoom」で対談した池上彰氏(左)と佐藤優氏 (撮影/吉崎洋夫)
 いまだ拡大する新型コロナウイルスの影響は世界情勢にも変化をもたらしている。ジャーナリストの池上彰氏と元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は、国家機関の強化と格差の拡大を指摘。さらに2人はさまざまな問題が“加速”すると話す。

<前編より続く>

【写真】人種差別解消などを訴えるデモ行進

*  *  *
佐藤:陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」をやめたら、それに派生する国内需要が減るのでGDPが下がります。それでも国民生活にも安全保障にも関係ないからやめる。そういうことができたのは今回のコロナと関係したと思いますよ。雰囲気が変わっているんです。

池上:アメリカをはじめ世界各地で起こっている人種差別反対運動も、フランスの歴史家・人口学者、エマニュエル・トッド氏の言う「すでに起きていたことの加速」と言えますね。アメリカでは現在、ワーッと盛り上がっています。一つはロックダウン(都市封鎖)をされていることによる様々な不満が背景にあるんだろうと。

 同時に、感染症ってウイルスはすべての人に平等に襲いかかってくるんだけれども、治療を受けられるか、生き延びられるかというところで、所得格差がはっきり出てしまう。アメリカの場合、特に黒人の死亡率が非常に高い。こういうところでも格差が出ているんだなとみんなが思っている時に、その黒人が白人の警官によって殺されているという「見える化」が起きてしまった。これがSNSで一気に拡散されることになって、一挙に突き出してきたんだと思います。

佐藤:それから、日本人、韓国人、中国人がアメリカでかなり嫌がらせを受けてますからね。あるいは、池上さんが『知らないと恥をかく世界の大問題11 グローバリズムのその先』(角川新書)のところで、自身の経験として、あれはキューバでしたっけ。

池上:テレビのロケでキューバに行った時に、「コロナ、コロナ、コロナヴイルス」ってはやし立てられましたね。

佐藤:池上さんは、黄禍論(19〜20世紀にあった黄色人種への差別)が頭をもたげているということを書いていたんだけども、我々は非常に注意したほうがいいと思います。実は黒人の問題じゃなくて、日本人、韓国人、中国人を含め、アジア人にも向かっているということなんです。日本の保守派の一部の人はね、武漢ウイルスとかそういった呼び方をするのだけど、とんでもない話で。特に我々自身もそこで被害を受ける可能性があるわけですからね。

池上:だから今、ヨーロッパやアメリカ在住の日本人がすごく嫌な思いをあちこちでしていますよね。

佐藤:人種主義というのは、第2次世界大戦で克服されて、その残滓(ざんし)が、アメリカの公民権運動でマーチン・ルーサー・キング牧師の活躍によって完全に過去のものになったというのが教科書的な記述ですよね。しかし、これは潜っていた、あるいは眠っていただけで、今回のコロナ禍によって頭をもたげた。しかし、この頭をもたげたというのも加速しただけですよね。トランプ大統領はすでに、そこに火をつけていました。

池上:彼は11月の大統領選での再選しか考えていない。これは黒人差別に対する反対運動ではなくて、極端な過激派が社会を混乱させようとしている、それを抑えようとしているのが俺なんだ、という話にすり替えて、自分の再選戦略に持っていこうとしているのですよね。

佐藤:しかも後押ししているのが、(米紙)ウォールストリート・ジャーナル。社説が力によってつぶせと言っているわけなんですよね。とんでもないことを白人警官はやったが、それに対する抗議活動は閾値(いきち)を超えていると。それによって結局被害を受けるのは、貧困層にいる人たちでしょと。だから、アメリカのエスタブリッシュされた人たち(既得権益層)は、そこのところは実はトランプ大統領とフレームが一緒なんですね。そうなると、ますますアメリカの分断が強くなりますよね。

池上:実は以前、オバマ大統領が2期目を目指す時に、イランとの関係が非常に悪化しました。その時、オバマ大統領はイラン核合意というのに持っていこうとするんだけど、当時は単なる不動産業者で民間人だったトランプ大統領が、「オバマはイランとの関係の悪化を利用して、イランに戦争をしかけて、それによって2期目の再選を確実にしようとしているんだ」とツイートしました。

 アメリカには、川を渡っている最中に馬を乗り換えるな、という格言があって、つまり、戦争をしている最中に大統領を代えるなよ、という一般的な考え方があるんです。その観点から、当時のトランプ氏はオバマ大統領を批判した。ということは、これから9月、10月にかけて、自分が選挙で負けそうだということになると、危機を外に作り出すことをやりかねないのがトランプ大統領だ、と私は警戒しています。

佐藤:特にイランを相手に危機を作り出す可能性は十分にあり得ます。これは非常に怖いですね。

 今の官邸だってそうだと思いますよ。このコロナ危機で1年間政治空白があり、安倍政権はやりたいことができないから、少なくてもあと1年は追加するぐらいに思っていると思いますよ。しかも、4選の機は近づいたという感じになっていると思います。来年夏の東京五輪がもし中止となったら、目も当てられないですから。こういうことになると、解散総選挙が早くなりかねないですよ。だから、コロナでいろんなことが起きてきて、当事者は国のため、世界のためとかと思っているが、はたから見ると権力の延命のためじゃん、というのはどこの国でも起きるんですよね。

(司会・二階堂さやか)

※週刊朝日  2020年7月10日号より抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • 和牛とか魚とか言ってたアホがまた再選しそうなんだから民主主義ってうんこよなぁ。 https://mixi.at/abmcXVb
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  • 安倍ちゃんやトランプの権力とか君たちは上から偉そうになんなん?お前らの人生を先にやり直したほうがええぞ。
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