注意されるともっと「いたずら」したくなるのはなぜ?<子どもの素朴な疑問に学者が本気で答えます>

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2020年07月04日 16:00  AERA dot.

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写真大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)
大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)
「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」

 発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの疑問に学者が本気で答えます」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第19回の質問は「いたずらをして注意をされると、もっとしたくなるのはなぜですか?」です。

*  *  *
【Q】いたずらをして注意をされると、もっとしたくなるのはなぜですか?

【A】注意されることが、いたずらの成功のあかしでもあるからです

 私は中学生・高校生の頃、“いたずらっ子”でした。いたずら仲間と一緒になって、とくに学校でいたずらを働いていました。ここには書けないようなことをたくさんしましたが、差しさわりのなさそうな事例をひとつ紹介します。

 中学校の音楽の時間でした。その日はレコードでクラシック音楽を鑑賞し、オーケストラについて学ぶ予定でした。音楽室で授業の始まりを待つ間に、さっそく私は仲間といたずらを考え、スピーカーコードを左右逆にするいたずらを働きました(良い子はマネをしないように!)。

 レコードには2種類の音が記録されています。オーケストラの演奏の場合には、演奏している会場の左側と右側にマイクをそれぞれ設置して、それぞれの位置で聴こえる、つまり2つの少し異なる演奏音を収録します。レコードに記録されたその2種類の音を、それぞれ左のスピーカーと右のスピーカーに分けて流せば、オーケストラの楽器配置が再現された音になり、演奏の臨場感が伝わります。しかし、スピーカーに配線するコードを逆にすると、楽器配置が左右逆に聞こえるのです。

 いよいよ音楽の授業が始まり、オーケストラのレコード鑑賞になりました。音楽の先生は、オーケストラの楽器配置を「バイオリンは向かって左側、コントラバスは右側」などと解説をはじめました。ところが、実際に聞こえてくる音楽は、左右が逆でした。私はいたずら仲間と顔を見合わせて、にやにやしていました。

 私たちの“予定”では、左右の音の出方がおかしいことに先生が気づき、スピーカーコードを直しながら「誰かいたずらをしたのではないかな」と指摘するはずでした。我々は「僕らがやりました。でも、さすがに先生、ちゃんとわかるのですね」と言うと、先生は苦笑いしながら少し自慢げに「わかるに決まっているじゃないか、こんな子どもだましのようなことはやめなさい」と注意する、そう想像していました。

 ところが、数十分の鑑賞時間、先生は気づきませんでした。いや、もしかしたら、音の左右がおかしいことも、我々のいたずらにも気づいていて、あえて気づかないふりをしていたのかもしれません(注)。

 気づかれなければ、いたずらは失敗です。いたずらは、気づかれて注意されてはじめて成功なのです。だから、注意されれば「ウケた」と思い、もっとやりたくなってしまうのです。

 さて、我々のいたずらには長所がありました。厳しいルールで息苦しい校内で、意表をついて少しルールを破るのです。創造的ないたずらであれば、皆が「はっ」と驚き、うまくいけば笑いの渦が起きます。えらそうにしている先生のひょうきんな面が現れれば、なおさら効果が大きいのです。いたずらは知恵を駆使したエンターテイメントなのです。

 一方、いたずらには短所もあります。ルールを破りすぎると大問題になります。先生によっては、笑い飛ばしてくれないこともあります。いたずらは、いたずらを見ている人々が面白がっていても、いたずらをされる人にとっては不快であることも多いのです。

 いたずらっ子は、いたずらをされる人の思いに敏感でなければいけません。「ウケた」と思えても、いたずらをされる人が不快であっては失敗です。誰かが不快になるようないたずらをくり返すいたずらっ子は、いたずらをされる人の思いに鈍感なのです。この場合は、「本気の注意」をしなければなりません。

 男子の中に、女子の注意をひこうといたずらをする子をたびたび見かけますが、これは私の経験から考えて、逆効果です。注意をひきたいならば、いたずらはせずにジョークで笑わせたり親切にしたりすることです。

(注)音楽室の一週間後の授業でも音は左右逆のままでした。そのとき我々仲間は「先生は本当に気づいていなかったのだ」と確信しました。先生ごめんなさい。ちゃんと元に戻しておきました。

【今回の結論】注意されることで、いたずらが成功している面があるので、単なる注意ではいたずらはおさまらない。いたずらは創造的な行為だが、いたずらされる人の気持ちを確かめながら慎重に行うべきである

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  • 人間は物質が進化するけど人間は退化してる(..) いたずらか実験か試験なのかは特に必要なければいたずらにしとく。 創造的な実験試験は秘密にしたいもんだからね。
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