タレント・ヒロシさん「YouTubeはあくまで趣味、肩書も要らない」【前編】/あの人の仕事論

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2020年07月05日 11:12  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真『Indeed特別編集 あの人の仕事論』(KADOKAWA)
『Indeed特別編集 あの人の仕事論』(KADOKAWA)

自分らしく働き、時代の第一線を行くトップランナーたち。彼らはどんな風にして今のキャリアを手にしたか。ときには挫折も経験しながら、紆余曲折を経て現在のポジションを獲得した彼らに、“仕事とは何か?”を聞く『Indeed特別編集 あの人の仕事論』(KADOKAWA)から、「あの人」の多様な働き方や生き方、仕事に対する考えを紹介。

好きなことだけをやって生きていく

タレント ヒロシさん(48歳 東京都)



 自虐ネタで大ブレイクを果たした後、表舞台から遠ざかり、「一発屋」とやゆされることもあったヒロシさん。しかし、現在はソロキャンプのYouTube動画が大人気だ。華麗なる転身の裏側、そしてその覚悟とは。

YouTuberではない。肩書も要らない


火打ち石で火をおこし、コーヒーを入れたり料理をしたり、一人気ままなソロキャンプ

「嫌なことはもう十分経験してきたんです。これからは好きなことだけ、分捕っていきたい」

 猫背で伏し目がちな姿はTVで活躍していた頃のままだが、まなざしと声に鋭さがにじむ。ソロキャンプやそれに使う道具紹介の動画で、YouTubeチャンネル登録者数62万人(3月15日時点)を超えるヒロシさん。しかしもうけるためではなく、ただ好きなことを発信しているだけだと語る。

「たまたま見てくれる人がたくさんいて収入になっていますけど、仕事だと思ってやったことはないですね。だから再生回数も多少気にはしますけど、ウケるからといってやりたくない動画を上げることはしないです。そもそも、何がウケるのか、全然わからないんですよ。去年、ロサンゼルスでキャンプをして、動画もかなり力を入れてつくって、“これは見られるぞ!”って意気込んでたんですけど、これがそうでもなかったんですよね。一方で、家で風邪ひきながら道具紹介をした動画がハネたりするんです」

 YouTubeのセオリーを無視してヒットしたと言われる「ヒロシちゃんねる」。動画は1本10分以内のものから30分近くあるものまで、BGMもなければ派手な出来事も起こらない。ヒロシさんが映る時間もほんの数分だ。

「結婚披露宴のビデオみたいな、仲間内で楽しむ思い出動画として始めたんです」

 YouTubeはあくまで趣味、と言い切る。そもそもYouTuberと呼ばれることにも抵抗があるのだそう。

「では芸人か?と聞かれても正直悩みますね。僕の中で芸人というのはネタをつくっている人のことなんですけど、今は全然つくっていないので。うーん……肩書はよくわからないですね。というか、要らないです」ときっぱり。

 YouTubeのほかにも雑誌でのコラム連載やTV・ラジオ出演、ビジネス本の出版など、多岐にわたる活動をしているヒロシさん。確かに、“これが本職”と言うのは難しい。あえて言うなら「職業・ヒロシ」となるだろう。

「そうですね。これからはますますそういう世の中になると思いますよ。圧倒的に“個”の力が必要になってくる。最近、副業に関する規定が緩和されて、実質副業解禁になったじゃないですか。あれって『会社はあなたのこと、一生面倒見るわけではないですよ』という宣言だと思ってるんです。今の世の中、いつリストラされたり会社がなくなったりしてもおかしくない。そうなったとき一人になっても収入を得られるように、今から準備しておく方がいい」

 準備とは必ずしも、資格取得や起業ではない。ヒロシさんのように、好きなことを発信すればいいのだという。

「まずは隙間の時間で好きなことをやって、ブログやSNSで発信する。今はYouTubeのほかにもインスタグラムとかnoteとかいろいろあるじゃないですか。もちろんすぐには収入にならないと思うんですが、大きく成功する必要はないんです。続けていくうちに、月5000円くらい稼げるようになるかもしれない。最初は、それで十分じゃないですか?会社員で給料5000円上げようと思ったら大変なことですし、何よりそういう場があると精神的に余裕ができると思う。会社員以外でも収入を得られる、という事実が、人生の光になると思います。そのうち5000円が1万円、2万円となって、本業にできるくらい稼げるようになったら、そのときは会社を辞めることを考えてもいいと思います」


『ひとりで生きていく』(廣済堂出版)を2019年に刊行。まさに「一人で生きている」ヒロシが、他人に乱されずに快適に一人で生きるために大切なことを語る


オリジナルステッカー付きの年季の入った缶にはキャンプの必需品である火おこしセットが

フリーの圧倒的スピード感。独立して得た自由



 さらに好きなことは一つではなく、興味のあることには種をまいておくのがヒロシさん流だ。

「これまでもバンドを組んだり喫茶店を開いたり、ライブハウスの経営や地下アイドルのプロデュースをちょっとカジってみたりもしました。キャンプ動画もそのうちの一つで、たまたま当たったんですよね。どれが成功するかはわからないから、思い付いたことは何でも、いろんなものに手を出した方がいいですよ」

 そうしてさまざまなことに興味を広げ、「好きじゃない」「楽しくない」と感じたら、見切りを付けるのも早い方がいいと話す。

「例えば僕は、手先が器用な方なんで、陶芸をしてみたことがあるんです。そこそこのものはつくれたし、続けていたら何か仕事につながったかもしれない。でも思ってたより楽しくなかったんで、やめました。もしあのまま続けていて仕事になっていたら、地獄だったと思う。楽しくないことで成功してもつらいだけです。よく『好きなことではなく、得意なことを仕事にするべき』と言うけど、僕は好きなことを仕事にした方が結局続けられると思う。得意というだけで仕事にするのは、おすすめしません」

 ヒロシさんがYouTube動画をUPし始めたのは2015年。その2年前に所属していた大手事務所から離れ、実質フリーとして活動してきた。

「2018年に完全に独立しました。ブレイク当時からずっとフリーになりたかったんです」

 ルールや制約に縛られるのが苦手な性格だったことに加え、やりたいことをすぐできないもどかしさを感じていたという。

「TVや舞台のオーディションを受けたくても、いちいち許可を取らないといけないし、自分の判断だけでは何も始められない。当時、ブログをやってみたくて事務所に聞いてみたんですけど、許可が下りるまでに3年かかったんですよ。フリーになった今は、やりたいと思ったときにすぐできる。圧倒的にスピード感が違うんです。それに、もしうまくいかなくても、自分が決めて行動したことだから納得できるんですよね。フリーになってすぐの頃、アウトドア雑誌に営業をかけに行ったんです。全然相手にされないこともありましたけど、自分が興味ある雑誌に自分のタイミングで売り込んでいけたんで、後悔はありません。やって良かったなと思います」

 スピード感を重視するヒロシさんにとって、YouTubeはまさにうってつけのツールだった。キャンプに行った翌日には動画をUPすることができ、さらにそれに対する反応もすぐに返ってくる。

「TVでは視聴者の声を直に感じることはなかなかできなかった。YouTubeは、お客さんの笑い声がダイレクトに聞こえるお笑いライブに似ています」

(後編に続く)


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