徹底した「F・マリノス対策」にも屈しない王者に連覇の可能性を見た

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2020年07月06日 06:31  webスポルティーバ

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 いつになく大きな注目を集めたJ1第2節が、ついに開催にこぎつけた。すなわち、新型コロナウィルス感染拡大の影響による中断がようやく明けたわけである。

 しかしながら、ある種の感慨をともなう特別な一戦であろうとも、その1試合だけでシーズン全体を見通すことは難しい。それは、いつのシーズンでも同じことだろうが、特に今季は、だ。

 2月下旬に始まった中断が4カ月以上にも及んだ結果、今季の試合日程は、12月中旬に予定されている最終節まで、「超」のつく過密スケジュール。同じメンバーで戦い続けることは難しく、選手を入れ替えながら連戦をこなしてもなお、チーム力を落とさずに多くの勝ち点を手にすることが求められるからだ。

 そんな視点に立てば、ディフェンディングチャンピオンはまずまずの戦いを見せたのではないだろうか。

 昨季J1王者の横浜F・マリノスは、再開初戦で浦和レッズと対戦し、0−0の引き分けに終わった。これで横浜FMは、2月の開幕戦と合わせて1敗1分け。まだ勝利を手にできずにいる。

 開幕戦で対戦したガンバ大阪もそうだったが、今季横浜FMと対戦するチームは、しっかりと”横浜FM対策”を講じてきている。

 具体的に言えば、GKやDFからパスをつないで攻撃を組み立てる横浜FMに対し、特にゴールキックのとき、高い位置からプレスを仕掛ける。あるいは、コンパクトな陣形でDFラインを高く保つ横浜FMに対し、背後のスペースを狙う、といったことだ。

 実際、G大阪はそれが奏功し、早い時間帯に2点を先制。そのまま逃げ切り、勝利を収めている。

 今節対戦した浦和もそうだ。高い位置でボールを奪ってのショートカウンターや、自陣で奪ったボールをオープンスペースへ展開してのロングカウンターなど、狙いどおりの形を何度も作り出した。

 しかし、ふたつの試合に共通するのは、横浜FMは試合序盤こそ相手の狙いにハマりかけるものの、時間とともに自分たちの戦い方に持ち込めているという点だ。

 実際、横浜FMのアンジェ・ポステコグルー監督も浦和戦後、悔しさ半分、手ごたえ半分といった様子で、こんなことを話している。

「公式戦から遠ざかっていたなか、前半はリズムがつかめず、難しいスタートになった。だが、後半はテンポが上がり、リズムも出た。得点を取れるチャンスはたくさんあったと感じている」

 敗れたG大阪戦にしても、早い時間に2失点したとはいえ、焦りからバランスを崩して前がかりになり、次々に失点を重ねるようなことはなかった。それどころか、0−2から1点を返し、同点、あるいは逆転の可能性も十分に感じさせる戦いを見せている。

 相手チームからすれば、高い位置からのプレスが有効なのは明らかだろう。だが、それを90分間続けるのは、肉体的な負担を考えると不可能に近いうえ、横浜FMも慣れとともに、次第にプレスをかいくぐれるようになる。

 少なくともこの2試合を見る限り、対戦相手が見せる横浜FM対策は、決定的なものとはなり得ていない。

 もちろん、その一方で2試合合計で1点しか取れていないという事実はある。昨季得点王のFW仲川輝人は試合後、「自分たちのテンポやリズムができなかった。ペナルティーエリア内でのシュートかパスかの選択を高めていけば、今日も点は取れた」と悔しがった。

 しかしながら、前半なかばあたりからは、ボール保持率を高め、主導権を握ってゲームを進めていた。ピッチを横に広く使ってボールを動かし、相手の守備網を一度広げてから間を突く。そんな効果的な攻撃でチャンスを作り出すこともできていた。

 確かにこれぞ決定機と言えるほど、完全に崩し切った場面は少なかった。だが、無得点に終わりはしたが、浦和の術中にハマり、ボールを持たされていただけで手も足も出ない。そんな試合内容では決してなかった。

 加えて、今季新加入のGK梶川裕嗣、DF實藤友紀、DF小池龍太、昨季途中まで在籍し今季復帰したMF天野純の4選手が先発でピッチに立ちながら、これだけの試合ができたこともよかった。冒頭で記したように、今季は超過密日程。メンバーを入れ替えながらも、できるだけチーム全体としての質を落とさないことが優勝に必要な条件となる。

 昨季、仲川と得点王を分けたMFマルコス・ジュニオールをはじめ、DFチアゴ・マルチンス、FWエジガル・ジュニオらをベンチに置いてもなお、一定の質を保てたことは、大きな成果と言っていいだろう(實藤が右足太もも裏のケガで前半のうちに交代したのは痛かったが)。

 今や横浜FMが目指すスタイルの要とも言える右サイドバックのDF松原健が、試合前日の練習中にケガをしたというが、代わって出場した小池が、中断期間中の移籍加入だったにもかかわらず、特殊なチーム戦術にも十分適応できていた。16年ぶりのJ1連覇への見通しは、1敗1分けという結果ほどに暗くはない。

 とはいえ、まずは1勝を早く手にしたいというのも、偽らざる本音だろう。

 酷い内容の試合が続いていても、ひとつの勝利が転換点となり、試合内容が大きく良化していくことがある一方で、試合内容はよくてもなかなか勝てずにいると、次第に内容も悪くなってしまうケースも珍しくない。まして、週2試合に近いペースで連戦をこなすとなると、流れを変えるきっかけがないまま、ズルズルと負の連鎖に陥ってしまいかねない。

 キャプテンのMF喜田拓也は試合後、本来のリズムで試合を進められなかった理由として、「試合勘(の不足)は一理ある」としつつ、こう続ける。

「他にももっと上げられるところが確実にある。要因を分析して、中3日で試合が続くので、そこのところ(の修正)をスピード感を持ってやっていきたい」

 出来は上々。それだけにまずは1勝することが、連覇への第一関門となりそうだ。

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