『やまとなでしこ』12年ぶりに再放送!大ヒットの理由は絶妙な「心理描写」

25

2020年07月06日 20:00  週刊女性PRIME

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

松嶋菜々子と堤真一、『やまとなでしこ』の制作発表会見('00年)

残念ながら、あなたといると、私は幸せなんです

 このプロポーズの言葉に胸がキュンとなった人は多いはず。'00年に放送された伝説のラブコメドラマ『やまとなでしこ』(フジテレビ系)がついに帰ってきた。

女性の憧れでもある「王道ラブコメ」

「最高視聴率34・2%を記録した大ヒットドラマです。松嶋菜々子さんが“幸せ=お金”という信念を持つ神野桜子役を、堤真一さんが貧乏な鮮魚店店主の中原欧介役を演じました。気持ちがすれ違っていた2人が結ばれるプロポーズの場面は、ドラマ史に残る名シーンです」(テレビ解説者の木村隆志さん)

 再放送されることになったのは、新型コロナウイルスの影響で4月スタートのドラマが延期になったからだ。

「4月からドラマの制作がすべてストップし、月9枠で放送されていた『SUITS/スーツ2』も第3話以降の放送が延期に。空いてしまった枠を埋めるため、過去の名作を再放送することになったんです」(テレビ誌ライター)

 '00年以降のフジ系の恋愛ドラマで視聴率トップの記録を持つ同作は、以前から再放送の要望が多かった。それだけに、再放送が発表されると、ネット上では《ずっと見たくてしょうがなかった》《本当に好き。再放送めちゃくちゃ嬉しい》といった、喜びの声であふれた。発表に合わせ開設された公式ツイッターのフォロワー数が、1日で1万人を突破するなど久しぶりのオンエアを喜ぶファンは多い。

『ハケンの品格』や『花子とアン』などを手がけた脚本家・中園ミホさんの代表作です。玉の輿を夢見る桜子と彼女にひと目惚れして身分を偽ってしまった欧介という対比の王道ラブコメ。月9の人気が落ちはじめてきた時期でしたが、一気にブランドを盛り返しました」(木村さん)

 主演の松嶋菜々子が女性の心をつかんだのがヒットの秘訣だと語るのはドラマに詳しいライターの田幸和歌子さん。

松嶋さんが劇中で身につけるハイブランドのファッションや時計、バッグなどは当時の女性の憧れです。桜子のちょっと見栄を張る性格も、言葉には出しませんが女性の価値観・心情として確かにありました。いまだに“私のバイブル”と言う人も多いです

 前出の木村さんは劇中のセリフが視聴者の共感を得たと話す。

セリフがとてもリアルで、恋愛や男女関係の本質を見事に突いています。少し過激なものもありますが、共感を得て、男女双方から支持を受けました。『桜子語録』という本にもなったほどです

 毎年再放送もされてきたが、'09年からは“お蔵入り”状態でまったく音さたがなかった。その理由は、出演者の不祥事にあると言われている。

「出演していた押尾学さんが、'09年に麻薬取締法違反で逮捕されました。最終的に懲役2年6か月の実刑となり、芸能界を引退。再放送の見送りに無関係とは言い切れません」(芸能プロ関係者)

ドラマ内には懐かしさがいっぱい

『やまとなでしこ』を改めて見てみると、この20年間で社会の常識がずいぶん変化したことを、何度か意識せざるをえない場面も。

「劇中では合コンのシーンが何度も描かれます。そこで始まるのは“山手線ゲーム”。ちょっと懐かしいですよね。お題に合った答えを順番にしていき、答えられなくなった人が負けというゲームですが、この遊びを知らない若い人は、30歳前後の男女が嬉々として遊んでいるのを見て変に思うかも。今ではなかなか見ない光景ですからね」(テレビ誌ライター)

 特に、時代の違いを容赦なく見せつけるのが携帯電話だ。

当時の携帯電話の人口普及率は42%ほど。持っていない人のほうが多かった。まだ固定電話が主流の時代でした」(一般紙記者)

 桜子が帰宅後に自宅の電話の留守電メッセージを聞くシーンも時代感がある。スマホも当然なく、劇中に登場するのはすべて“ガラケー”だ。

通話時に携帯のアンテナを伸ばしたり、電話がかかってくると“着メロ”が鳴ったり。もはや死語ですが、着メロは当時の最先端。桜子の着メロは『森のくまさん』でした」(前出・テレビ誌ライター)

 桜子の職業にも時代が表れている。彼女は“スチュワーデス”と名乗っていたが、今はそういう呼び方はしない。

“キャビンアテンダント”略して“CA”です。“スチュワーデス”という言葉は、性差別的として現在は使われていません。“スッチー”なんて略し方は、今だったら完全にNG。性差別に対する問題意識が世界的に広がっていますからね」(航空会社関係者)

 しかし、描かれた“愛の真実”は変わらない。

「少し舞台は古くさくても、いつの時代にも響く普遍的な王道のラブストーリーですね」(木村さん)

 桜子の心情も、20年前よりも現実味を増している。

金の亡者のように見える桜子ですが、“お金は大切”というのは真実。その本音は当時よりも、リアルに生々しく響く人が多いのではないでしょうか」(田幸さん)

 時代を超えて愛される作品として定着しそうだ。

心に響く!? 桜子の名ゼリフ集

■第1話■「借金まみれのハンサム男と裕福なブタ男。どっちが結婚して女を幸せにしてくれると思いますか?

 「心なんてきれいごと言ってたら一生、貧乏から抜け出せない。貧乏人を幸せにしてくれるのはお金。お金だけ

■第3話■「身長や顔や性格は生まれながらのものよね。しょせん、遺伝子と環境の問題でしょ。本人の努力ではどうにもならない不公平なハードルがあるわよね

 「ハンサムな遺伝子が好きな女がノーマルで、お金持ちが好きな女がゆがんでる? そんなのおかしいじゃない

■第10話■「だから何度も言ってるでしょう。恋になんか落ちちゃダメ。あんなものに落っこちるから人生とっ散らかっちゃうのよ。舞い上がったり落ち込んだり。そんなの単なるエネルギーのロスよ

■第11話■「私には見えるんです。10年後も、20年後も。あなたのそばには私がいる。残念ながら、あなたといると私は幸せなんです

このニュースに関するつぶやき

  • 東京ラブストーリーのように、現代版のやまとなでしこがあってもいいと思う。フジに期待。
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(15件)

ニュース設定