感染症危機管理の欠如露呈=脆弱PCR、教訓生かせず―緊急事態3カ月

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2020年07月07日 07:30  時事通信社

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時事通信社

写真PCR検査のための検体採取のデモンストレーション=5月8日、東京都品川区
PCR検査のための検体採取のデモンストレーション=5月8日、東京都品川区
 新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言発令から7日で3カ月。期間中には必要なPCR検査を受けられない人が相次ぎ、脆弱(ぜいじゃく)な検査体制が露呈した。背景には、他国で広がった感染症を「対岸の火事」と捉えてきた危機管理意識の欠如がある。政府が目標に掲げた1日2万件のPCR検査能力は宣言解除前にようやく確保されたが、専門家は「第2波に備え、最低10万件が必要だ」と訴える。

 「検査能力拡充を求める議論、機運が起こらなかった」。政府専門家会議の尾身茂副座長(当時)は5月4日の記者会見で、過去の国内対応を振り返った。

 感染が拡大しつつあった2月中旬時点で、国内のPCR検査能力は1日数百件しかなかった。民間検査会社の活用などが進み、現在は約3万件に拡大されたが、諸外国との差は歴然だ。人口1000人当たりのPCR検査などの実施数(6月末時点)は米国97、イタリア89、シンガポール70、韓国24に対し、日本は5にとどまる。

 2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行時、日本はシンガポールや韓国と違い、感染者が発生しなかった。専門家会議は、このため各都道府県などで検査を担う地方衛生研究所の体制が十分整備されなかったと指摘した。10年6月には、新型インフルエンザ流行後に厚生労働省の有識者会議がまとめた提言に「地衛研のPCRを含めた検査体制を強化する」と明記されたが、改善は進まなかった。

 昭和大の二木芳人客員教授(感染症学)は「SARSを対岸の火事と考えてしまった。新型インフルも強毒性ではなかったので、平時からの対応が取られなかった」と批判し、「抗原検査は精度の検証が不十分。原則はPCRで、最低でも1日10万件は必要」と指摘する。さらに、1918年から流行したスペイン風邪のように第2波がより大規模になり得るとして、「第2波が2、3倍でも即応できるよう、20万〜30万件を確保すべきだ」と訴えている。

 地衛研の能力は限界に近く、今後の検査拡充には大学の活用が重要となる。東京医科歯科大は、研究用のPCR装置を使い週300件の検査体制を整え、4月から検査を開始した。ただ主な目的は同大病院の院内感染防止で、対象は医療従事者に限る。東田修二教授(臨床検査医学)は「第2波が大規模なら、国や都からの検体受け入れも想定し得る」としつつ、「新型コロナの検査には感染防止策など独自のノウハウも必要。現実的にはマンパワーの問題で、外部からの受け入れは難しいだろう」と話す。

 厚労省の担当者は今後の検査体制について、「能力は民間で伸びているが、現在の3万件からどの程度増えるかの見通しは立たず、目標は設定していない」としている。 

このニュースに関するつぶやき

  • PCR検査の精度は5割前後だと聞いたなぁ…たしかにPCR検査がそもそも脆弱か
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  • これは、まあ、やらなくてもよい( `ー´)ノあほですか。
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