「イチローvs新庄剛志、外野守備はどっちが上?」 2人とプレーした名手に聞いた!

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2020年07月08日 16:00  AERA dot.

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写真互いに名外野手としても知られるイチロー(左)と新庄剛志(右) (c)朝日新聞社
互いに名外野手としても知られるイチロー(左)と新庄剛志(右) (c)朝日新聞社
 イチローと新庄剛志。

 01年、同時にメジャーリーグに挑戦した2人のスターは、異なった道のりを歩んで来た。1人は天才打者として日米の記録を塗り替え続けた。そしてもう1人は記録以上に公私に強烈なインパクトを残した。

【写真】イチローが「本当の天才」と言った男とは

 真逆な野球スタイルに感じる2人だが、『守備の名手』という部分は重なる。
 
 時にファン同士で「どちらの守備力が上か……」と議論になることもあるが、なかなか素人目に分からない部分も多い。

 そこで今回は、NPB史上に残る名外野手であり、イチローと新庄とともにプレーした経験を持つ本西厚博氏に、2人の守備について語ってもらった。


*  *  *
ーー外野陣をまとめる資質があった新庄。

「守備に関して言えば新庄の方が上」

 イチロー、新庄の両方とプレーした経験がある本西は、守備だけを考えれば新庄が上とズバリ言う。

「打球判断、捕球、送球のすべてのレベルが違った。野村克也監督が投手を考えたほどの肩の強さもあった。足も速かった。もともと内野手だったためフットワークも良い。外野手に必要なすべてを持ち合わせていた」

 新庄とは阪神在籍時の97年途中から約1年半チームメイトだった。センター・新庄、レフト・本西という形が多かったという。

「守備に自信があったのだろう。左中間、右中間、かなり広い範囲までカバーしてくれた。守備位置では『この辺までは自分が行きますね』と指示もしてくれる。コミニュケーション能力も高かったので、その後の日本ハム外野陣の柱になったのもよくわかる」

 日本ハム移籍後、森本稀哲、稲葉篤紀とともに『日本一の外野陣』と呼ばれた。それを中心となりまとめ上げていたのが新庄だったのは言うまでもない。


ーー進化を続け世界的外野手になったイチロー。

「新人時代から見てきたけど、最初はヒドかった」

 イチローとはオリックス時代の92〜97年途中まで、同じユニフォームを着た。田口壮を加えた外野陣は『鉄壁の外野陣』と評された。

「投手をやっていた肩の強さと足の速さは際立っていた。打球への反応は悪くても足の速さで追いつける。身体能力に頼った外野守備が目立った。プロレベルではうまいとは決して言えない部類だった」

 その後イチローは研究、練習を重ねて最強外野陣の一角を担うまでになる。

「春季キャンプの時にイチローと田口の2人が『特守を一緒にさせてください』と来た。2人は身体能力に頼った効率悪い捕球だったので、先にバテた。それ後くらいから打球の追い方を熱心に研究するようになった。簡単にできることではないが、数年後には身につけた。やはりあの2人は一流だった」

 打球が来たら、落下点を素早く判断しボールを見ないで落下点まで一直線に走る。この『目切り』ができるかどうかが外野手にとって最重要。当時のオリックス外野陣は本西によって鍛え上げられたとも言える。


ーー送球に関する意識の違い。レーザービームは時に“不要”?

「打球判断と捕球に関しては2人とも双璧。強いて言えば送球は新庄が上かもしれない」

 イチロー、新庄ともに地肩の強さは言うまでもないが、送球までの早さに差がある。

「送球は『早く、強く、正確』の3つが大事で、新庄はすべてが揃っている。強肩だが状況によっては素早いモーションからバウンドで送球することもいとわない。イチローは『レーザービーム』と取り上げられた。魅せることも求められ、本人も遠くまで届く『レーザービーム』での送球を重視した。投げるまでのテイクバックが大きくなり、時間がかかるようになった。特にメジャーでのイチローはそういった部分での『早く』を重要視していなかった。もちろん、やろうと思えばできただろうけどね」

『レーザービーム』は糸を引くような球筋で長い距離を届かせる送球のこと。だが状況によっては必要ではない時もある。送球は走者を刺すこと、進塁を許さない、という2つの目的があるからだ。


ーー試合中のドヤ顔とまさかのヘディング。

 本西にはイチロー、新庄との守備に関する忘れられないエピソードがある。

 本西氏が99年に日本ハムに移籍し、オリックス・イチローと対戦した時のこと。当時すでに周囲から『見られる』ことを意識してたのか、平凡な打球などは半身になって身体が流れながら捕球していた。

「練習時、『少し雑じゃないか? 子供とか沢山の人に影響があるぞ』と苦言を呈した。すると試合中のライトフライを捕球して、相手ベンチにいる僕に向かって、ドヤ顔でオッケーポーズするんです。笑ってしまった」

 新庄とも思い出深い話がある。

 新庄も走攻守のすべてでファンを意識し、魅せるプレーを考えていた。そのため守備でチャンスがあれば、ダイビングやスライディングを試みていたという。その新庄が犯したミスを真横の守備位置で見ていたという。

「走って行けば追いつけるような飛球をスライディング捕球に行き、顔に当てた。レフトで見ていた僕は爆笑ですよ。普通に行けば良かったですね、って恥ずかしそうにしていた」


ーー総合的に判断すると? 守備だけなら新庄。外野手としてはイチロー。

「守備だけなら新庄が上だが、打撃に関しては、意外性があって目立つところで打った印象があるが、技術的には高くなかった。ここがイチローとの大きな違い。外野手には打撃や走力もないと評価されない。だからトータルで考えれば、イチローの方が上になるのかな」

 生涯安打数イチローはNPB1278本、MLB3089本。新庄はNPB1309本、MLB215本。打撃成績では両者の差は明確だが、それだけでは測れないものがある。

 彼らの進化を目の当たりにしてきた本西氏の指摘だけに興味深い。外野守備という簡単には真似できない大きな武器がある2人。イチローと新庄が、間違いなく日本球史に残る名外野手であることは疑いようもない。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。









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  • 外野守備ならヤクルト飯田、ロッテ岡田とかが上だと思う^^
    • イイネ!1
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