「我々は使い捨て」 専門家会議の突然の「廃止」にメンバーが本音を…

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2020年07月09日 09:00  AERA dot.

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写真「廃止」が表明された新型コロナの専門家会議。6月24日にあった西村大臣の記者会見は「切った」ようにしか見えなかった (c)朝日新聞社
「廃止」が表明された新型コロナの専門家会議。6月24日にあった西村大臣の記者会見は「切った」ようにしか見えなかった (c)朝日新聞社
 新型コロナウイルスの感染を巡り、さまざまな局面で重要な発言をしてきた専門家会議。だが、最近あっさりと「廃止」が表明された。発展的移行と言い直されたものの、背景に何があったのか。AERA 2020年7月13日号の記事を紹介する。

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「我々は専門家の立場で助言するだけですから、使い捨てなんです。そういう役割なので、善しあしの問題じゃなくそうなんです。それにしても、こちらから言うのもなんですが、もう少し敬意を払ってくれても良さそうなものではありましたよね」

 専門家会議のメンバーの一人は、こう苦言を呈した。それは、担当大臣の西村康稔経済再生相に対してだった。

 6月24日、国立感染症研究所長で専門家会議の座長を務める脇田隆字氏や、地域医療機能推進機構理事長で副座長の尾身茂氏らが組織の見直しを求めて開いていた記者会見の最中に、西村氏が別の場所であった記者会見で発表したのが、専門家会議の「廃止」だった。

 新たな会議体ができることも同時に公表され、その点を記者に問われると尾身氏は「私はそれは知りません」と戸惑いの表情を見せた。

 冒頭のメンバーは続ける。

「専門家会議に多くの国民が注目していたのも、それを参考に政治が政策を決めていったのも事実でしょう。そういう意味では、廃止にあたってこうしたやり方をされるのは、『背景に何かあるな』と思われても仕方ないですよね。西村大臣らしくもないな、とは思いました」

 会見に批判が集中すると、4日後に再び会見を開いて「『廃止』という言葉が強すぎた。発展的に移行していく」(西村氏)と軌道修正している。

 これまで、安倍晋三首相も政策決定にあたり専門家の知見を参考にするとたびたび言及していた。記者会見には尾身氏を同席させるほどだったのに、廃止の理由は、会議に法的な根拠がなく「位置づけが不安定であった」(西村氏)からだという。

 いずれにせよ、今ある専門家会議はいったん解散する。なぜ今、このような事態に陥っているのだろうか。まず、会議の概要を確認しておきたい。

 政府が専門家会議を設置したのは2月14日だった。感染症や公衆衛生を専門とする医師ら12人で構成する。医学的な助言を求められ、これまでに定期的に「見解」や「提言」を出してきた。繰り返し記者会見を開いては「三つの密」や「オーバーシュート」「新しい生活様式」など、印象的な言葉で国民に訴えかけてきた。

 ただ、その一方で批判の矢面に立たされることにもなった。政治が責任を負うべきことまで、専門家会議に矛先が向けられたわけだ。政治評論家の有馬晴海氏は、今回の廃止表明についてこう考える。

「組み替えなければいけないという、政府の勝手な事情があったのではないでしょうか」

 それはやはり、専門家会議からの情報発信についてだと、有馬さんは指摘する。情報発信のあり方については、本誌の取材に応じた脇田氏がこう説明した。

「最初に、この会議は『チャタムハウスルール』でいこうということに決めたのです。名前を出すことはしませんが、率直な意見交換で出した結論についてはそれぞれが自由に発信しても構わないということです」

 メンバーは自由にテレビに出演し、メディアの取材を受けた。政府にとっては、発信される情報次第で国民のパニックにつながるというリスクになり、廃止に至ったのではないかと有馬氏は指摘するが、一方で専門家会議側の思いもこう察する。

「公表する事柄について政府側はどんどん丸めた形にしようとしますから、不満があったのではないでしょうか。しかし、例えば政府が『大したことない』と言っても、万が一のときは専門家会議に責任を押しつけるでしょう。専門家会議の先生方も嫌気が差していたはずです」

 さらに、廃止の背景には安倍首相サイドと専門家会議の距離があるのではとの見方もある。医師で医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は分析をする。

「新型コロナの問題は、PCR検査に尽きます。最大の問題は、安倍首相をはじめとする官邸サイドも検査数を増やすように指示しているのに、現場の抵抗があったからか、増えなかったことにあります。これは、クーデターと一緒です」

 是非はまったく別として、森友・加計学園問題では官僚をはじめとした周囲の人間たちが徹底的に安倍首相を守り、「ある意味、ガバナンスが利いていたと言えるでしょう」(上氏)。ところが、コロナのPCR検査をめぐっては、安倍首相の声は届かなかった。

「歴史的な経緯から、日本では公衆衛生と医療は完全に縦割りです。専門家会議は公衆衛生のラインの先生方が中心になっていますから、医療の現場にはあまりタッチできていません。そもそもこれではパンデミックに対応できません。加えてPCRですが、検査数を増やすことは、『公衆衛生村』にある保健所のキャパオーバーを意味しますから、積極的に増やそうとしたとは思えません」(同)

 上氏はこう指摘する。

「混乱の責任は指示を出さなかった加藤勝信厚生労働相や、鈴木俊彦事務次官にあります。まともなブレーンがいなかったのです」

 新たな会議体は7月に立ち上がる。政府や専門家が情報をオープンにして、これまでの活動の総括をすることを求めたい。(編集部・小田健司)

※AERA 2020年7月13日号

このニュースに関するつぶやき

  • なんでまた、こんなおかしな真菌専門家の男の妄想話を載せてんだか。。上って名前が出た時点でドン引きの読む価値無し。専門家会議に入れずいまだに悔しいんでしょうね。
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  • 上様、専門家会議メンバーじゃないしw
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