小型SUVがどんどん増えても「ロッキー/ライズ」が安泰な理由

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2020年07月09日 11:32  マイナビニュース

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世界的な人気を背景に、どんどん数が増えていくコンパクトSUVというクルマ。日産自動車が日本市場の新たな主力商品と位置づける「キックス」も発売となり、市場はいよいよ混沌としてきたようだが、ダイハツ/トヨタの「ロッキー/ライズ」については、今後も安泰だと考えられる理由がある。

○単独1位も! 「ライズ」の販売台数が好調

SUVは世界的に売れ筋となっている車種だ。世界中のブランドがこぞって開発を進めた結果、今では高級車から小型車、そして日本では軽自動車にまでSUVが存在する。まさに注目の的だ。そうした中でも近年、特に伸びを見せているのがコンパクトSUVと呼ばれる車格である。

例えばホンダ「ヴェゼル」、トヨタ自動車「C-HR」、そして、つい先日発表となった日産自動車「キックス」もその車格に該当する。しかし、忘れてはならないのが、2019年の東京モーターショーで公開され、同年11月に発売となったダイハツ工業「ロッキー」とトヨタ「ライズ」だ。この2台は兄弟車という位置づけで、開発は主にダイハツが担当した。

2019年11月の段階でライズは7,000台、ロッキーは4,000台を販売した。合わせて1万1,000台という数字は、同月1位のトヨタ「カローラ」を抜いて堂々の首位となったほどだ。トヨタの販売店が約4,900店舗であるのに対し、ダイハツは約720店舗(代理店を含めると8,300店舗)ほどであるため、販売台数ではライズの方が圧倒的に上回っている。

その後も、ロッキー/ライズの勢いはとどまるところを知らない。2020年の1〜2月は、ライズが単独で1位を獲得。新型コロナウイルスの影響をまともに受けた5月もライズは2位に着け、ロッキーと合わせた台数では1位のトヨタ「ヤリス」に迫った。

この5月にロッキーは20位という成績だったが、18位にヴェゼル、19位にC-HRがいるので、ランキング上は人気が伯仲しているような状態だ。同じコンパクトSUVのなかでも、ロッキー/ライズの高い人気は発売から半年を経ても微動だにしない様相である。

○5ナンバー車を望むユーザーの存在

ロッキー/ライズの強みはどこにあるかといえば、間違いなく「5ナンバー車」であることだろう。同じコンパクトSUVといっても、ヴェゼル、C-HR、キックスは「3ナンバー車」になる。それでも、車幅がわずかに1.7mを超えるくらいと自動車メーカーは考えるかもしれないが、実は、1.7m以下であることに意味を覚える消費者が多いことをロッキー/ライズは示している。

日本では長年にわたって5ナンバー車が国内標準で、道路や駐車場などもそれに合わせて作られてきた。したがって、クルマを運転するにしても、駐車するにしても、道路や駐車場の幅は5ナンバーで不自由しないことが前提となっている。

もちろん、3ナンバー車も以前からあった。しかしそれは、多少の不便は承知の上で、立派であったり豪華であったり、偉そうに(?)見えたりするという価値を選んだ人が納得して買うクルマだった。

トヨタの最上級4ドアセダンである「クラウン」でさえ、1955(昭和30年)の誕生から1974年の5代目までは5ナンバー車だった。そこから、車種のなかに少しずつ3ナンバー車を加えていき、すべて3ナンバーとなったのは1979年の6代目からである。また、大衆車として1966年(昭和41年)に誕生した「カローラ」は、現行車になるまで国内では5ナンバーを守り続けた。

一般社団法人日本自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位による販売台数を見ても、2019年4月から2020年3月までの集計で、ベスト10のうち2台は3ナンバーを含むが、他は5ナンバー車の銘柄ばかりが並んでいる。

5ナンバーの話からややそれるが、国内で軽自動車が3割の占有率を誇る理由も、現行の軽自動車規格による車体寸法が、1960年代に大衆車として相次いで発売された初代日産「サニー」と初代トヨタ「カローラ」の幅とほぼ同一であり、路地などでも自在に曲がることのできる道路事情が国内にはあるからだ。

自動車メーカーは、より格好よく、より室内は広く、かつ安全性も高めながら、税制もかつてほど大きな差はないとして、5ナンバー枠を少し上回る3ナンバー車を増やしてきた。だが、やはり5ナンバー車への根強い期待があることを、ロッキー/ライズはSUV人気のなかでも示したのである。

軽自動車とともに5ナンバー車の人気が高い理由には、維持・管理をしていくうえでの経済性もあるはずだ。軽自動車や5ナンバーのクルマを選びたいと考える人たちの中には、公共交通機関が充実しておらず、家族一人ひとりがクルマで移動しなければならない地域にお住まいの方も多いのではないだろうか。そうした家庭では、燃料代や駐車場代のほかに、クルマの所有台数分の税金を支払わなければならない。

自動車税と軽自動車税は地方税であり、自治体が徴収する。登録車の自動車税(環境割:2019年10月から制度が変更)はエンジン排気量により区分けされているが、ロッキー/ライズのエンジン排気量は1リッターをわずかに下回るので、税額は年間2万5,000円(2019年10月の税率引き下げ後の金額、以下同じ)だ。同じ5ナンバー車であっても、排気量が1.5リッター以下になると3万500円、2.0リッター以下になる3万6,000円に税金は上がる。

3ナンバー車のヴェゼルは1.5リッター以下のエンジンを搭載するので、自動車税は3万500円だ。C-HRはやはり3ナンバーだが、ハイブリッドは1.8リッターエンジンなので3万6,000円、エンジン車は1.2リッターなので3万500円と違いが生じている。

クルマを選ぶ際にはクルマ単体の魅力も重要だが、そのクルマを所有することで生じる毎年のコストも気になるものだ。上記のように、毎年支払わなければならない税額には、ロッキー/ライズとそれ以外では5,000円以上の差がある。レギュラーガソリン代に換算すれば、40リッターかそれ以上の金額になる。何千円かの差ではあるが、それが家族の人数分となれば、小さな差とはいえないはずだ。

ちなみに、軽自動車税(環境割:2019年10月から制度が変更。ただし軽自動車は税額の変更なし)は1万800円なので、軽自動車のSUVに乗れば、税額は安く上がるということになる。それでも、少し上級の登録車のSUVに乗りたいというとき、登録車として税額がもっとも安く、5ナンバー車であるロッキー/ライズに目が行くのも当然といえるだろう。
○揺るがない「ロッキー/ライズ」の安心感

コンパクトSUVの最新モデルは発売したばかりの日産キックスだ。キックスは「e-POWER」という日産独自のハイブリッド方式を採用する。同じハイブリッド車でも、トヨタ、ホンダ、そして日産それぞれが、別の方式でコンパクトSUVを仕立てている。一方のロッキー/ライズはガソリンターボエンジンを搭載する。ハイブリッドの選択肢はない。

5ナンバー車のコンパクトSUVでハイブリッドを採用しているクルマといえば、スズキの「クロスビー」だ。安定した販売台数を持続するクロスビーは、どちらかといえばクロスオーバー車的な雰囲気もあり、軽自動車の「ハスラー」に似て、新しい価値を伝えてくるクルマである。けれども、昨今のSUV人気の中心ではないかもしれない。

2輪駆動同士で燃費性能を比べてみると、クロスビーのマイルドハイブリッドが22.0km/L(クロスビーにはWLTC表記がないのでJC08モードの数値を記載)であるのに対し、ロッキー/ライズは22.8km/L(廉価グレードでは23.4km/L、クロスビーとそろえるためJC08モードの数値を記載)とかえってよい数字を出している。

競合他社がさまざまな趣向でSUV市場に参入してきている。そのなかで、多くの人が安心して買えるコンパクトSUVとして、ロッキー/ライズの人気はまだしばらく好調を維持し続けるのではないだろうか。

○著者情報:御堀直嗣(ミホリ・ナオツグ)
1955年東京都出身。玉川大学工学部機械工学科を卒業後、「FL500」「FJ1600」などのレース参戦を経て、モータージャーナリストに。自動車の技術面から社会との関わりまで、幅広く執筆している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副代表を務める。著書に「スバル デザイン」「マツダスカイアクティブエンジンの開発」など。(御堀直嗣)

このニュースに関するつぶやき

  • 「(クラウンが)すべて3ナンバーとなったのは1979年の6代目から」‥‥少なくとも80年代まで1G系や2L系を積んだ5ナンバーもあった気がするけどなぁ。
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