清原和博氏、テレビ出演で応援の声続々も……薬物タレント復帰の“あいまいすぎる基準“に疑問

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2020年07月10日 00:42  サイゾーウーマン

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羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「野球さえしていなかったら、こんなことにならなかったのかな」清原和博
『石橋、薪を焚べる』(フジテレビ系、7月7日)

 7月6日に木下優樹菜が芸能界引退を発表した。今月の1日に復帰宣言を出してから、わずか5日後の引退宣言だけに、よっぽどのことがあったのだろうと思われる。「女性セブン」(小学館)によると、あるメディアから事務所に対し、優樹菜と2人の男性(アスリートとミュージシャン)の関係について、問い合わせがあったという。事務所は優樹菜に話を聞いた結果、彼女を守り切れないと判断し、契約解除に至ったと報じている。

 もし優樹菜が、本当に不倫が原因で事務所をクビになったのだとしたら、不倫の代償はとてつもなく高くついたと言えるのではないだろうか。

 優樹菜は芸能界を去っていったが、戻ってくる人もいる。元プロ野球選手・清原和博氏が『石橋、薪を焚べる』(フジテレビ系)に出演した。コンプライアンスを重視するテレビの世界において、2016年に覚醒剤取締法違反で有罪判決を受けた清原氏は、歓迎される存在とは言えない。しかし、無事に4年間の執行猶予が明けて「お務めを終えた」ことと、夜中の番組で、全国ネットではないというのも、プラスに働き、出演が実現したのかもしれない。

 多くの人が疑問に思っていること、それはなぜ球界のスーパースターが薬物に手を染めたのかということだろう。石橋がズバリ質問すると、「膝のリハビリから解放され、自分のやりたいことがなかなか見つからなくて、夜な夜な飲み歩くようになって、そういうところで、ついやってしまった」「仲間の集まりで、軽いノリで1回やった」「1回やったら終わり」「完全に人間じゃなくなる」と語り、軽い気持ちで始めたところ、薬物にすっかり取り込まれていった様子を明かしていた。

 執行猶予期間中の最初の1~2年は、自殺願望にさいなまれ、1日中寝ていたという清原氏。外に行けば人目にさらされ、マスコミに追いかけられるかもしれないので、友人に食事を運んでもらい、外出もほとんどしなかったという。生きる力が湧かず「野球さえしていなかったら、こんなことにならなかったのか」と悔いたこともあったと言う。しかし、自身の原点である甲子園で高校球児たちのプレーする姿から元気をもらい、だんだんと気力を取り戻していったそうだ。

 石橋は、清原氏の性格を物語るこんなエピソードを披露する。「40歳の石橋が肉体改造をして、ドームでホームランを打つ」という番組の企画のためにジムで体を鍛え始めたが、偶然そこに清原氏もいた。清原氏のトレーニングは過酷で、石橋は「あの清原和博でさえ、こんなにやってんだ」と感服したという。しかも、清原氏は自分のトレーニングで疲れているはずなのに、石橋の練習に付き合ってくれたとのこと。このほかにも、清原氏は石橋の送るちょっとしたメールにも、丁寧に返信する義理堅さがあり、「この人は本当に優しい」と思ったそうだ。それだけに逮捕の一報は残念で、あれだけ野球と家族を愛していたのに、どうしてこんなことになったのかと悲しい気持ちになったという。

 また、番組で清原氏は、家族についても語っていた。「週刊文春」(文藝春秋)で薬物使用疑惑が報じられ、清原氏は離婚。2人のお子さんは元夫人と暮らしているが、父子の縁は、再びつながりつつある。これまでは直接の面会ではなく、弁護士を通して、息子の写真をもらうだけの関係だったが、今年に入って、「野球をやっている次男がバッティングに悩んでいるので、指導を頼みたい」と長男から連絡が入り、父親と息子2人は再会を果たす。ちなみにこの出来事は、最愛の母が、清原氏の背番号でもある3月5日に亡くなった矢先に起こったそうで、清原氏自身、不思議な巡り合わせを感じていたのかもしれない。

 野球選手として自分の名前を全国にとどろかせ、生涯年俸50億とも言われる大金を稼いだスターが、薬物で全てを失う。現役時代は「番長」とニックネームをつけられ、イカつい風貌をしていたが、内面は心優しく義理堅い。そして最愛の母の死後、息子2人と再会することができた。野球をしたことを後悔したこともあるが、息子との縁をつなぎ、生き直す気力をくれるきっかけとなったのもまた、野球だった――。

 天才の栄光と挫折、義理人情、縁、母親への愛、息子との絆といった具合に、清原氏の話には、浪花節的というか、日本人の大好きなものがぎゅっと詰まっている。そのせいか、SNSでも「応援している」「球界復帰を」というエールが多く見られた。

 清原氏が番組で語ったエピソードは、芸能界復帰のためのプレゼンテーションとしては、合格だろう。けれど、もし「薬物依存から立ち直りつつある姿を見せるためのもの」だとしたら、少し足りなかったのではないだろうか。

 「野球さえしていなかったら、こんなこと(薬物使用と逮捕)にならなかったのか」と、清原氏は薬物使用の責任を野球に転嫁するような発言をしている。しかし、プロ野球選手で覚醒剤に手を染める選手がごくごく一部である現実から考えると、野球のせいではなく、本人の問題である。また、栄華を極めたスーパースターの付き合う“仲間”が、覚醒剤という違法薬物を使うことに抵抗感がなく、気軽に勧めてくることも気になる。もし清原氏を大事な仲間とみなしているのなら、そんなことはしないのではないだろうか。

 また、清原氏は逮捕前、銀座の高級クラブのママと不倫旅行をしていたのを「週刊現代」(講談社)に撮られ、母、元妻、息子を傷つけた前科がある。家族家族と言っている割には、家族を大事にしているように私には感じられない。清原氏の薬物問題の根っこにあるのは、なぜ付き合ってはいけない人と付き合い、大事にすべき人を大事にできないのかということではないだろうか。

 念のため申し添えるが、私は薬物で逮捕された清原氏の芸能界を含めた社会復帰に反対しているわけではない。仕事をして金を稼がなければ生活できないし、世の中の役に立っているという実感が持てなければ、また薬物に手を染めかねないだろう。ただ、薬物事件を起こしたタレントの復帰に際し、その基準が曖昧すぎないかと思っている。

 例えば、09年に酒井法子は覚醒剤取締法違反で逮捕され、有罪判決を受けた。執行猶予3年が開けて、芸能界に復帰することになったが、いまだに地上波で彼女を見かけることはわずかだし、酒井をテレビの世界に戻そうという声を私は聞いたことはない。『5時に夢中!』(TOKYO MX)に出演した酒井は、AVのオファーがあったことを認めていたが、酒井に限らず、薬物を使用した女性芸能人が復帰しようと思ったら、これまでと同じ仕事ではダメで、脱ぐことが暗黙の了解となっていると言えるのではないだろうか。

 しかし、清原氏のように義理人情に彩られた“ものがたり”を持つ人は、復帰を応援してもらえる。そこには、オトコのやんちゃは仕方ないが、オンナのやんちゃは性悪という男尊女卑も絡んでいるように思う。薬物事件を起こした芸能人の復帰が難しいのは、コンプライアンスとは別に、性差別と「お涙頂戴」話が大好きな視聴者心理によって、その基準があいまいになっていることが原因になっているのかもしれない。

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