おたふく風邪がきっかけでジオラマの世界へ キット不使用手作りで生み出した幻想的な「工場夜景」

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2020年07月10日 07:00  ORICON NEWS

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写真作品/トレイレイアウト 工場ジオラマ 制作・画像提供/藤平翔氏
作品/トレイレイアウト 工場ジオラマ 制作・画像提供/藤平翔氏
 2008年ごろから徐々に話題となり、今では全国各地でツアーが組まれるなど人気となっている「工場夜景」。モデラーの藤平翔さん(@fujihira_sho)は、どこか無機質で幻想的な「工場夜景」を、キットを使わず、手作りでファンタジックにジオラマで表現した。どんなこだわりのもと制作されたのだろうか?

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■おたふく風邪で暴れる子どもをじっとさせるジオラマの魔力

――ジオラマ(情景模型)を始めたきっかけを教えてください。

「私がジオラマを始めたきっかけは、子どものおたふく風邪です。5年程前、子どもを小児科に連れて行ったのですが、当時1歳だった息子はおたふく風邪の影響で病院でも大泣きして手が付けられない状態。待合室で大泣きして、困り果てました。なんとか診察を終えることができたのですが、帰る段階になっても息子は泣き続けていました。
 そんなとき、病院受付に置いてある鉄道模型ジオラマにふと気付き、子どもにそれを見せると、なんとピタリと泣き止みました。以前から電車や車に興味があった様子でしたが、ジオラマには特別心惹かれた様子でした。かじりつくようにジオラマを眺め、直前まで泣きじゃくっていたのに、今度は『帰らない』と訴えはじめました。
 家に帰ってから私は『今日の体験は何か意味があるんじゃないか』と考え、ジオラマについて調べ始めました。なんとか仕事に出来ないかとも考え、実際に作ってみることにしました。5年経ち、未だに仕事にすることは出来てませんが、私自身が物を作るのを好きになってしまったので、制作活動を続けている次第です」(藤平翔さん/以下同)

――作品は写実的なものから幻想的なものまで幅広いですが、イメージはどういうところから湧いてくるのですか?

「ジオラマを始めた頃は、『どうやったらリアルに見えるか』ということに全力を注いでいました。近所の建物を観察し、実際に作ったりしていました。
 ですが最近は、自分が『好きな景色』の『好きな部分』を抽出することを意識しています。その景色の『好きだと感じる要素』をできるだけシンプルに、ジオラマで表現しようと心がけています。
 元々は旅行好きだったのですが、時間もお金もないので、ネットできれいな景色を探して資料にしてます。ピンタレスト、インスタグラム、グーグルアースなんかを四六時中眺めてブックマークしてます。作品のイメージは、そのブックマークから抽出してます」

■「工場夜景」は写実的過ぎず、「違和感を軽く仕込んだ世界」

――制作された作品の中で特に印象的だった「工場夜景」のジオラマは、写実的でとても精巧でありながらどこかファンタジーの要素も感じさせる作品です。この作品はどのようなストーリーをイメージしたのですか?

「この作品に関して言えば、ストーリーっぽいものはありません。正直あまり覚えていませんが、警備員の仕事をしていた頃に見た、大黒近辺の景色がきっかけだと思います。純粋に『工場夜景萌え』を狙って制作しました。ただ『違和感を軽く仕込んだ世界』にしたかったので、よく見て頂くと色々現実離れした世界になっています。何の工場なのかは私にも分かりません(笑)。
 作品名は『トレイレイアウト 工場ジオラマ』といいます。台座にお盆を使用しているので、このような作品名になってます。トレイレイアウトは他に3作品あります」

――これはどのように制作されたのですが?

「製作はプラバンで建物を作り、3DCADでプラント部分をデザインし、光造形式3Dプリンターでパーツを作成しています。動力に関しては、トランジスタを使用したパワーパックを自作し組み込んでいます。なのでキットといわれるものは使用していません。
 最初からフルスクラッチだったので、実はキットは買ったことがありません。線路や1/150の人形なんかのパーツを購入して使うことはあり、本作でも、線路、車と人形は市販パーツを加工して使用してます」

――この作品において一番のこだわりは?また、一番苦労したのは?

「一番のこだわりは照明です。繊細な光を表現するために極小LEDを使用しました。1mm程度のLEDにハンダを行い、それをバランスよく配線するのに苦労しました。これはこの作品だけでなく、ジオラマを制作する際に気を付けていることですが、作品全体の構図や色のバランスに気を付けています。ストラクチャーの配置でも作品の善し悪しが変わると感じているので、そこにも結構時間をかけるようにしています」

――ジオラマを作る際に信念にしていることはどんなことですか?

「信念というと大袈裟ですが。最近は、共感を得られる作品を作ろうと心掛けています。ジオラマには『作る楽しみ』と、『見る楽しみ』があると思います。『作る楽しみ』は十分味わったので、『見て楽しんでもらえる』とを意識しています。そもそものきっかけが、『息子が夢中になったものを作ってみよう』」だったので、見て前向きな感情になってもらえるような作品作りをしたいと思っています。
 YouTubeでメイキング動画を公開しているのですが、最近その再生回数が伸びて人気の様子です。『見て楽しんでもらう』ことが伝わっているのかなと思います」

――藤平翔さんにとってジオラマとは?

「『自分の得意が活かせる楽しい分野』です。私の人生は不得手なことの連続で、苦労ばかりでした。ジオラマは作り始めたころから、結構上手に作れたので得意な分野なんだと感じています。何もない中年が、こうして取材のお話しを頂けたのも、ジオラマ制作が得意分野だったからだと考えています。人生の後半戦にはなってしまいましたが、自分の特技と言えるものが一つ出来たのはとても嬉しいことです。
 ジオラマは眺めて楽しむだけでも趣味として成立すると思っています。ジオラマの小さな世界を覗き込んで、妄想を広げて楽しんでもらえればうれしいです」

このニュースに関するつぶやき

  • そういえば夜の工場内は独特な雰囲気だったな。 自販機でパンを買うのがちょっぴり楽しかった。
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  • 小児科と歯科はこれは必需品じゃないか!!これは子供が夢中になるよ!寧ろこれを見たさに医者に行きたいと言い出すかもしれない。
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