TikTokで「香水」がヒット、瑛人とは何者か? サビの“ドルチェ&ガッバーナ”の秘話も明らかに

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2020年07月11日 12:11  リアルサウンド

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瑛人

 〈君のドルチェ&ガッバーナのその香水のせいだよ〉。TikTokを中心にヒットしている「香水」のサビ部分の歌詞は一度耳にすると忘れられない。同楽曲はシンガーソングライター・瑛人によるもので、リリースされたのは2019年4月だが、TikTokのBGMに使われているだけでなく、今なお多くのアーティストたちからカバーされている。現在23歳の瑛人とは何者なのか。「香水」の制作秘話や音楽活動への思いも聞いた。(編集部)


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■19歳から始めた音楽活動
ーーリアルサウンドには初登場ということで、改めてキャリアや音楽遍歴を聞ければと思います。まず、音楽に興味を持ったきっかけは?


瑛人:物心ついて少し経った時から音楽に興味があって、小学生の時からずっと歌うことは好きでした。


ーー特に印象的な曲はありますか?


瑛人:大塚愛さんの「さくらんぼ」。CDで流して、一時停止しながらノートに歌詞をメモってました。それが覚えている一番小さい時の思い出ですね。そんなふうに、以前から歌うのは好きだったんですが、実際に音楽を始めようと思ったのは19歳のころです。それまで「音楽をやりたい」というのは心の片隅にはあったんですけど、歌ったらすぐに声が枯れるし、自分は歌手にはなれないなと思っていて。で、19歳のときに大学受験に失敗して。でも大学にどうしても行きたいわけじゃなかったので特に焦らなかったし、他の大学も受けなくて、とりあえず高校卒業してからの1年間は自分のやりたいことを見つけようと思ったんです。1年間「何ができるかな」って考えながら働いていて、僕の友達のKANというダンサーが、すごくアーティスティックで、自分をダンスで表現しているのを見て感動したんです。他のシンガーソングライターの曲を聴いても、「すごいな」って鳥肌が立つし、前から歌が好きだから、僕も曲を作ってみようっていう気持ちで、19歳のころに音楽を始めました。


ーー曲を作ってみようと思って、すぐに制作が進んだんですか?


瑛人:最初は音楽学校に1年間通ったんですね。そこで、シンガーソングーライターのルンヒャンさんに出会って、曲の作り方を教えてもらいました。良いアイデアが出てきたらルンヒャンさんのところに持っていって、「これで曲できるよ」「ほら、一曲できたじゃん!」みたいなやりとりは今も続いています。


ーー周りの方に恵まれた部分もあったんですね。先ほど大塚愛さんの「さくらんぼ」が最初の記憶という話がありましたが、影響を受けたアーティストは?


瑛人:平井大さんと清水翔太さんです。


ーーなるほど。特に思い出深い曲はありますか?


瑛人:清水翔太さんの「HOME」! 僕が小学生の時に兄貴が歌っていて好きになって、カラオケで絶対歌う曲です。


ーー今も歌われたりするんですか?


瑛人:今でもたまに歌います。カラオケはわりと行きますね。


■失恋で落ち込んだ気持ちをセッションで吐き出した「香水」
ーー「香水」はTikTokを中心に多くの方に知られた曲になりましたね。改めて制作の経緯について教えてください。


瑛人:この詞を作ったのは、恋人と別れて3カ月くらい経ったときだったんですね。落ち込むというか、落ちぶれているというか、ダメダメになっている時期で。そういう時の想いが全部入っているんです。なんでサビが〈ドルチェ&ガッバーナ〉になったかというと、僕が働いているハンバーガー屋のオーナーがドルガバの香水をつけているんですね。一緒に渋谷で朝まで遊んでて、オーナーに「香水持ってて」って言われて預かって、オーナーは帰ったんですけど、僕は渋谷で友達とセッションみたいなことをしていたんです。それは、誰かがギターを弾いて、僕がフリースタイルで言葉を歌っていく、という感じなんですけど。その時になんとなく「オーナーの香水つけちゃえ」ってつけたんですよ。「うわ、初めてドルガバつけた!」と思って、セッションしていたときに、落ち込んでいる気持ちとかを全部バーッと吐きだして。そうしたら、匂いについて歌う部分で、〈ドルチェ&ガッバーナのその香水のせいだよ〉という歌詞が自然と出てきたんですよね。「うわ、これすごいハマった!」と思って、プロデューサーのルンヒャンさんに「こういうアイデアがあるんですけど」って持っていったら、「めっちゃいいじゃん、面白い!」と言ってくれて。そこからどんどん詰めて一緒に作ってきました。


ーー最初にサビができて、そこからどんどん広がっていったんですね。セッションという作り方も面白いですね。


瑛人:セッションは曲を作るというか、自分の気持ちを吐きだす場所みたいな感じで。今も仲間たちと会うときはやってます。


ーー最近は『スッキリ』や『ミュージックステーション』などテレビ番組でも取り上げられています。


瑛人:録画して見ました。もうびっくりですね。『Mステ』も嬉しかったです。あとBillboard JAPANチャートにランクインして、西武新宿駅の前のユニカビジョンに「香水」のMVが流れたので、写真を撮ってきました。


ーー最近だとチョコレートプラネットさんのMV再現の動画を見て、また新しい層に広がっているなと思いました。


瑛人:あれは最高ですね! あの「香水」で何人が笑ってくれたんだろうって考えると、チョコレートプラネットさんには大感謝です。MVに出ているダンサーの人から「私、真面目にやりすぎたわ」って連絡が来て(笑)。あと『Mステ』にも出たんですけど、ドンキとかで売ってる、お腹を押すと鳴る鳥(びっくりチキン)でカバーしたバージョンも面白かったです。でもやっぱり、チョコレートプラネットさんのカバーは友達と電車で大爆笑しちゃいました。


■人と話したり、刺激的なことがあったりした時に曲ができる
ーー様々なアーティストの方もカバーしていますが、ヒットを実感したタイミングはいつごろでしたか?


瑛人:「ちょっとバズったかな」って思ったのは、今年の4月中旬くらいです。YouTubeで10万再生いったんですよ。そこで「みんなに10万いったぜ!」って言って、ちょっとバズったなって思ったら、そこから300万、500万ってなって、もう訳がわからない状況で。TikTokでもみんな歌うようになって……そこからですかね。気にし始めたのは。


ーーどんな部分がヒットにつながったと思いますか?


瑛人:僕はメロディと歌詞、やっぱりサビの〈ドルチェ&ガッバーナ〉がハマっているかなと。内容としてはちょっと昔に戻りたいという、みんながどこかで持っているような気持ちを歌っていて、そういうところで引っかかってくれたのかな、と思ったり。あと匂いってすごく記憶に残るものだからかな。でも、匂いをテーマにしたことがいいのかどうか、僕はわからなかったです。


ーー匂いってふと嗅いだ時に思い出すと思うので、多くのリスナーに刺さる内容だなと思います。「香水」のリリースから一年くらい経ちますが、その間に音楽に向き合う姿勢や制作に何か変化はありましたか?


瑛人:前までは全部自分のペースでやっていて、歌いたい時に歌う、思いついたときにやる、遊びながら音楽をする、というような感じでした。今は事務所に入って、周りのみんなに協力してもらったりして、もっと強くなった気がしています。「香水」のヒットがあるまでは、音楽でお金を稼いで頑張るって、もちろん心のどこかにはあったんですが、現実的に25歳までに何も届かなかったら普通に働こう、って。今はそういう気持ちが一切なくなりました。もう一生やっていこう、頑張りたいなと思っています。


ーープロとしての覚悟や決意が生まれたんですね。


瑛人:はい。ずっとソロでというより、バンドとか、何でもやりたいです。まだ自分のスタイルがわかっていないので。でもやっぱり自分で曲は作っていきたいです。


ーー瑛人さんの曲は、「香水」はもちろん、歌詞だけでなく「HIPHOPは歌えない」や「シンガーソングライターの彼女」などタイトルも視点が独特だと感じました。過去にラブコメ映画をよく見ていたこともあったということですが、制作の際にインスピレーションを受けているものはありますか?


瑛人:人と一緒にいるときに生まれることが多いです。「HIPHOPは歌えない」という曲は、僕が働いているハンバーガー屋のオーナーの言葉を受けて書いた曲で。オーナーはすごいHIPHOPな人で、“漢”という感じがしてかっこいいんですよ。僕はオーナーから「お前はリアルじゃねえんだよ」みたいなことをよく言われるので(笑)、HIPHOPは本当に“漢”で、ワルっていうイメージがあって、僕はそうじゃないな、と。だから「HIPHOPは歌えない」と、本当にそのまま思ったことです。そうやって人と話したり、何か刺激的なことがあったりした時にできることが多いです。ほぼほぼ自分の経験からですね。


ーーなるほど。友達と遊んだりしている中でも、音楽が生まれることがあるのでしょうか。


瑛人:音楽をやっていない人と一緒にいても生まれるし、音楽をやっている人たちと音楽で遊んでいるときも生まれるし。でもまだ曲は少ないですし、そんなにいっぱいやってきた感はないんですよ。勉強中ですね。


ーー「香水」は今TikTokを中心に流行っていますが、制作時にSNSを意識することはありますか?


瑛人:今まで全く意識していなかったですね。TikTokは普段あまり見なかったので、流行っていることに気がつくのがすごく遅かったです。YouTubeはたまに見るんですけど。Instagramでいっぱいタグづけされるようになって、友達から「この人が歌ってたよ」って言われて、「うわやば!」みたいな。


ーー制作の際に大切にしていることや、軸になっていることはありますか?


瑛人:仲間とのセッションだったり、音楽で遊んでいる時間を一生忘れないでいきたいなと思っています。背伸びせずに。


ーー今後やってみたいことはありますか?


瑛人:大きいところでライブをしたことがないので、観客がたくさんいる前でライブがしてみたい。あとは、全国のみんなに挨拶をしにいきたい。フィーチャリングも色んな人としたい……無限大です、こだわりはありません。


ーー今は色々とライブも制限がある中ですが、ぜひ大きいところで観たいですね。


瑛人:今までは自主企画で横浜のバーみたいなところを借りて、50人くらい呼んで、お酒を飲んでやる、みたいなのが多くて。ライブハウスで一回だけやったことがあるんですが、ステージが高い位置で照明があって……もうガクガクになっちゃいました(笑)。


ーーいわゆる“ステイホーム”期間中はどんな風に過ごされていましたか?


瑛人:実はあまり制作はしていなくて、お酒を飲んで昼まで寝てコンビニに行く、みたいな生活で(笑)。でも、振り返るとほとんど毎日リモートで色々な方たちと音楽について話してましたね。ルンヒャンさんも一緒で。僕は音楽業界の大人の人と話したことがなかったので何もわかっていなかったんですよ。それでルンヒャンさんが助けてくれたり、「なんかワクワクするね」と言ったり。ちょっと疲れましたけど、楽しかったですね。思い出です。


ーー色々と新しい経験もあったと。これからオンラインのイベントやフェスへの出演も増えてくるかと思いますが。


瑛人:ちょうどこの間オンラインフェスに出ましたが、みんなが温かくて、いいスタートダッシュを切れたと思っています。


ーーここからどういう曲が生まれるのかも楽しみなところですよね。


瑛人:どういう曲が生まれるかは……まだわかりません(笑)!


ーー可能性は無限大ですね。


瑛人:そうです! うわー優しい(笑)!


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  • この曲のどこが良くてヒットしたのか未だにわからん。
    • イイネ!7
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