観客“ブチギレ”で大混乱も… 夏の甲子園、地方大会で起きた信じがたい「大誤審」

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2020年07月11日 16:00  AERA dot.

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写真不利な判定にも負けず試合に勝利した小山台の選手たち (c)朝日新聞社
不利な判定にも負けず試合に勝利した小山台の選手たち (c)朝日新聞社
 誤審に怒ったスタンドのファンがグラウンドに乱入するという、高校野球にあるまじき騒動が起きたのが、1980年の埼玉大会決勝、川口工vs熊谷商だ。

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 事件が起きたのは、1対2とリードされた川口工の5回の攻撃中。1死から6番・瀬川誠が中前安打で出塁し、次打者・坪山耕也の2球目に二盗を試みた。

 捕手・石塚順一が二塁に送球し、クロスプレーとなったが、ベースカバーに入ったショート・福島雅也が落球したことから、セーフと思われた。

 ところが、二塁塁審の判定はなぜか「アウト!」。川口工の大脇和雄監督は、国府田等主将を二塁に走らせ、「落球しているからセーフ」とアピール。いったんベンチに引き揚げかけた瀬川も二塁ベース上に戻ったが、審判団が協議した結果、「タッチ後に落球したのであり、タイミングはアウト」という理由で却下した。

 だが、塁審は福島の後方に立っていて、死角で落球が見えなかったことに加え、福島は落球後に遅れて空タッチにいっているように見えるので、落球がなくてもセーフのタイミングだった。

 納得のいかない判定に、スタンドから空き缶や紙くずが投げ込まれ、激昂した3、4人のファンがグラウンドに乱入し、一、二塁間で審判に食ってかかった。緊迫した好ゲームが一転して大荒れの事態に。この騒ぎで試合は約10分間中断した。

「これが高校野球です。商売でやっているわけじゃないんですから(判定は受け入れるべき)」というテレビ中継解説者のコメントもなかなか味があった。

 そして、再開直後、皮肉なことに、坪山は右翼線に二塁打を放つ。もし、二盗がセーフだったら、2対2の同点になっていたところだった。

 結局、この回は無得点に終わり、その裏、気持ちの整理がつかないエース左腕・関叔規が力み、球が高めに浮くところを連打されて2点を失った。「冷静になれ。落ち着くんだ」という大脇監督のアドバイスにもかかわらず、選手たちは二塁封殺プレーに際してスパイクを上げて滑り込んだり、本塁上のクロスプレーでも喧嘩腰に近い強引なタッチの動きを見せるなど、怒りに任せたようなラフプレー、接触プレーも相次いだ。

 2対7で敗れ、3年ぶりの甲子園出場を逃した試合後、国府田主将は「5回表で瀬川が生きていたら、同点だったのに、あのときから流れが変わり、チームが力んでしまった。熊谷商は甲子園で頑張ってほしい」とエールを送りながらも、「でも、5回のジャッジは納得できない」と悔しそうな表情だった。

 川口工とは対照的に、一度は敗戦(ゲームセット)を宣告されながら、思いがけず誤審が覆ったことによって奇跡の逆転勝利を引き寄せ、甲子園への道が開けたのが、77年の酒田工だ。

 山形大会準々決勝の米沢商戦、3対4で迎えた9回表、酒田工は1死満塁のチャンスに兵頭守が右飛を打ち上げた。三塁走者・高橋保がタッチアップからホームイン。土壇場で同点に追いついたかにみえた。

 ところが、三塁を狙った二塁走者・青塚司が中継のセカンドからの送球でタッチアウトになったことから、球審はタッチアウトが高橋のホームインより早かったと判断。酒田工の得点を認めず、ゲームセットを宣告した。

 だが、スタンドから見ても、ホームインのほうが早かったのは明らか。一部始終を見ていた控えの審判が誤審を指摘し、協議の結果、4対4の同点で試合続行となった。

 そして、この判定変更で九死に一生を得た酒田工は延長10回2死一塁、本多昭洋の右中間二塁打で5対4と勝ち越して逆転勝ち。この勢いで準決勝、決勝も勝ち抜き、見事甲子園初出場。初戦の都城戦では青塚がヒーローとなり、甲子園初勝利を挙げた。

 前年10月の大火で中心街が広範囲にわたって焼失する被害を受けた酒田市は、春のセンバツで酒田東、夏は酒田工と連続して地元校の快挙に大きな勇気をもらうことになった。

「ファウル」の判定が「ホームラン」に変わったと思ったら、再び「ファウル」に訂正。こんな二転三転の判定に右往左往させられたのが、18年の東東京大会準々決勝、小山台vs安田学園だ。

 1対1の同点で迎えた8回表1死、小山台の1番・松永和也が左翼ポール際に大飛球を打ち上げた。ホームランかファウルか際どい弾道だったが、三塁塁審は「ファウル」とジャッジした。

 ところが、福嶋正信監督が「ポールを巻いていませんか?」と再確認を要請すると、4人の審判団は協議の末、最終的に球審が「本塁打」と判定。直後、松永はダイヤモンドを1周して勝ち越しのホームを踏んだ。

 すると、今度は安田学園・森泉弘監督が「ファウルだと確信したので、納得できません」と選手をベンチに引き揚げさせ、控え選手を通じてジャッジの説明を求めた。

 そこで、左翼ポールがよく見える一塁側ベンチ横で観戦していた控えの審判も加わり、5人で再協議したところ、「ファウルではないか?」という控え審判の意見が決め手となり、当初の「ファウル」判定で落ち着いた。

 とはいえ、協議のたびに二転三転する判定にスタンドも目を白黒。「リプレー検証はできないのか?」の声も出た。

 打ち直しとなった松永は、フルカウントから清水雅孝のカーブを見逃し、三振に倒れたが、試合は延長10回の末、小山台が6対4で勝利。判定では負けたが、試合には勝った。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

このニュースに関するつぶやき

  • プロもアマも審判をそれだけ悪し様に言うなら言うなら自分たちが審判になればいいのに名乗り出る人間はいない。ブラックを通り越し奴隷労働かというくらいの酷い条件だから。
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  • バカヒ新聞は、勝手に政権を裁こうとして、いつも大誤審ばかりやらかしてるやん。バカヒの世論調査も、いつも選挙結果とリンクせんから大誤審だな(笑)
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