W不倫相手の子を産む決断をした女性。いけないこととは思うけれど…

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2020年07月14日 09:21  女子SPA!

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女子SPA!

写真写真はイメージです(以下同じ)
写真はイメージです(以下同じ)
<亀山早苗の不倫時評>

 不倫相手の子を産む決断をした既婚女性がいる。すでに安定期に入り、あとは生まれてくるのを待つばかり。この決断をするまで大きな葛藤があった。そしてそれ以前から、彼女はかなり過酷な人生を歩んできた。

◆初めての女の子だとわかって

 少しふっくらとしたお腹に、ほんわかとした笑顔。レイコさん(40歳。以下、登場人物は仮名)は、おっとりとした雰囲気を醸しだしながら待ち合わせ場所にやってきた。

 結婚して13年、12歳を頭に男の子が3人いる。今度は4人目、初めての女の子だとわかっている。

「ただ、この子は夫の子ではないんです。私が生まれ初めて心から愛した人の子。だから産みたいと思った」

 夫はもちろん、そのことを知らない。初めての女の子だから楽しみにしている。不倫相手もまた、子どもをともに育てることはできないけれど楽しみだと言ってくれているという。

 だが、この決断をするまで、彼女にはもちろん、大きな葛藤があった。

「私は自尊心というものがまったくといっていいほどなかったんです。彼に会って初めて、自分が生きていていいんだと思えた。それくらいめんどうくさい女だったと思います」

◆父からの虐待、母は見て見ぬ振り

 幼いころから父親に暴力をふるわれた。父は何かあると母を怒鳴りつけるタイプだったが、その母が父を避けて夜は近所の飲み屋に入り浸るようになると、父は幼い娘をターゲットにした。高校を卒業するくらいまで、彼女は「殴られて育ったようなもの」だという。

「母は知っていながら知らんぷりでしたね。自分が狙われるのがイヤだったんでしょう。7歳離れた妹がいたんですが、妹に危害が及ばないよう私が黙って殴られるしかなかった。グレてやろうと思ったこともありますが、そうしたら負けだという意識もありました」

 家を出るには勉強して、父が黙るようないい大学へ行くしかない。彼女は必死に勉強し、見事に合格。父は学費は出してくれたが、暴力はやまなかった。

「今になって思えば、父は母、つまり自分の妻への苛立ちを私にぶつけていたのかもしれません」

 耐えられなくなって家を出た。それからは住み込みのバイトをしながら大学に通った。だが、結局、自分で学費を払い続けることができなかった。

「友だちもいなかったし恋愛もしたことがなかった。何のために生きているんだろうといつも考えていましたね。私なんていてもいなくてもいい存在だし、誰か必要としてくれる人がいるわけでもない。何かを変えたい。痛烈にそう思いました」

 そのために彼女が足を踏み入れたのが風俗の世界だった。お金を貯めて、もう一度大学に行こうと思っていたのだが、お金が貯まるとひきこもって過ごした。結局、4年近くたってようやく目標の数百万円が貯まった。

◆過去を詮索しない男性と結婚

「そんなとき、夫となるタイチと知り合ったんです。彼は2歳年下で、ちょうど就職が決まったところでした。彼と知り合ったのは偶然。街で私がちょっと過呼吸気味になったところを助けてくれたんです」

 そこからつきあいが始まった。彼女が風俗店に勤めていたことも話したが、彼は動じなかった。エンジニアとして仕事が決まっていた彼は、「ちょっと変わったオタク系の人」だという。

 彼にとって、彼女は初めての女性だった。そして何も詮索せず、すべてを受け入れてくれた。

 彼女は予定を変更して、ある専門学校へ入学、2年後に資格をとって仕事を始めると同時に、彼のプロポーズを受けて結婚した。

「私は親と疎遠になっていましたから、結婚式などは挙げたくなかった。彼はそれでもいいと言ってくれて」

 そこから彼女の人生は、大きく開かれていくはずだった。だが、仕事をしながら子どもを3人、産み育てていく中で、彼女はいつも息苦しいような鬱屈感を抱いてた。

◆夫と表面上はうまく行っていたけれど

「ヘンな言い方ですが、夫は仕事も順調で、それなりに出世もしていきました。結婚して4年後には家を買ったし、何もかもうまくいっていた。ただ、どこか夫とは心が行き交わない。

 夫はいついかなるときも頭の中は仕事でいっぱいなんです。家に帰ってきても、子どもと遊んでいても、実は仕事のことを考えている。

 私が、夫にそのことを言えればいいんだけど、私は私で自分に自信がなくて、とにかく『私なんていてもいいの?』という気持ちが抜けないわけです、どんなに子どもを産もうが、その根っこの部分が消せない。

 夫とは表面上、うまくいっていたけど、たぶん夫は私の中にある自分でも『めんどうくさい』と思う面を、どこかうっとうしく思っていたんじゃないでしょうか」

 自分でも、自分の性格を持て余し、ときにつきあいきれないと思っていたと、レイコさんは笑う。だが、そんな彼女が3年前、ある男性に会って驚くほど変わっていった。

◆彼との出会いで最初から惹かれた

 レイコさんが、9歳年上のショウイチさんと出会ったのはネット上だった。仕事に関係した、あるコミュニティのオフ会で初めて顔を合わせた。

「たくさん人が来ていたんですが、彼とはネット上でやりとりをしていたので、顔がわからないのに、あ、この人だと思ったんです。彼のほうもすぐにわかったって。最初から惹かれ合うものがあったんだと思います」

 その日は携帯の電話番号を交換しただけで別れた。だがレイコさんは、翌日すぐ、ショウイチさんに連絡をとっている。非常に積極的だ。

「私、モテたこともないし女として自信もない。それなのにそのときは、どうしても彼に会わなければいけないような気持ちに駆られたんです。電話すると彼はすぐ私だとわかって、その日に会うことになりました」

 お互いに、その日、結ばれることがわかっていたような段取りだった。あとから知ったのだがショウイチさんは非常に多忙な人で、その日に時間がとれることなどめったにない。レイコさんも、その日はたまたま夫が早く帰って子どもたちのめんどうをみてくれると言ったので彼に会うことができたのだ。

 ふたりは会ってすぐホテルへ直行した。ひとときもムダにできないような気持ちだった。抱き合ったあとは帰らなくてはいけない時間が来るまで、話し続けた。夫があまりおしゃべりなタチではないので、レイコさんは久しぶりに「会話をする」楽しさを味わった。

「たった1回でもいいと思いました。夫以外の他の男性と関係をもてば、夫への視点も変わるかもしれない。そんな期待もあった。だけど実際には、ショウイチさんに会う前より惹かれてしまった。だからこの先、どうしたらいいんだろうと帰宅途中で考えていました。

 だけどショウイチさんのほうは、帰り道で、私とのつきあいは長くなるだろうと思っていたそうです」

◆向き合って話してくれる彼

 そして関係は、ショウイチさんの思ったとおり、続いていく。最初は戸惑っていたレイコさんも、だんだん「身も心も」ショウイチさんになじんでいった。

「私、それまでセックスなんていいものだと思ったことがなかったんです。男性との関係においても、やはり父のことがあるからでしょうね、大声を出す人は苦手で、基本的に男性が怖かった。

 夫はまじめだけど、ときどき大きな声を出すことがあるんです。仕事でせっぱ詰まっているときなんだと思うんですが、それが私は怖くてたまらなかった。夫自身、すぐ気づいて『ごめん』と言うんだけど。

 ショウイチさんは話し方も穏やかで、言葉数が多い。私が拗(す)ねたりいじけたりすると、きちんと向き合って話してくれる。ショウイチさんと話すと、私はいつも心の中がすっきりするんです」

 愛情が募(つの)っていくと、自分も彼も既婚であることが悲しくなっていった。

◆彼の子どもがほしい

「彼も既婚で、奥さんとふたりの息子さんがいる。とても幸せそうです。ただ私、彼を本気で好きになればなるほど、だんだんせつなくなってしまって。

 奪いたいなんて思ったことはありません。彼の大事にしている奥さんに敬意を抱いています。万が一、自分が奪うような言動をとったりしたら、そのときは舌を噛んでしまおうと決めているんです」

 この言葉には驚かされた。自分がコントロールしきれないもうひとりの自分が潜んでいて、彼や彼の家族を傷つけることを畏れているのだろう。彼女の不倫話にまったく嫌みがないのは、彼女自身が自分を客観視しているからだ。言い換えれば、それだけ自分の過去と、現在の苦しい恋に向き合って考えてきたのだろう。

 そして彼女はひとつの結論を出す。

「彼の子どもがほしい」

 最初、それをショウイチさんに話したとき、彼はすぐに拒否はしなかった。拒否ではないが、「状況的に無理かもしれない」とつぶやいた。そうだよね、と彼女は納得したが、しばらくしてから彼のほうから「認知もできないけど、それでもいいの?」と言ってきた。

 1年間という期限をもうけて、ふたりは避妊するのをやめてみた。期限ぎりぎりで彼女の妊娠が発覚したとき、彼は涙ぐみながらはしゃいだ。

◆気持ちが安定し、夫が優しくしてくれるようになった

 彼女は彼と出会って、自分で自分を認められるようになって過去から脱皮した。そして、自分の意見を率直に言える人間に変わった。同じように、おそらく彼のほうも自分が変わったことを実感していったのではないだろうか。

「それでも実際に妊娠してつわりがひどかった時期、私はけっこう彼に当たり散らしちゃったんです。自分が望んだことなのに、これでいいのか、本当にいいのかと思ったし、先行きが不安でたまらなくて」

 その間、自分の子だと信じている夫は非常に優しくしてくれた。ショウイチさんとつきあうようになって気持ちが安定したレイコさんのことを、夫は結婚当初のように愛してくれるようになっていったという。

「不思議ですよね。一時はセックスレスだったのに私とショウイチさんがうまくいけばいくほど、夫ともうまくいくようになっていって。

 私にとって夫がいちばん好きな人からはずれたから、夫はプレッシャーを感じなくなったのかもしれません。もちろん、夫は私がこんな関係を外でもっているとは知らないけど、私の態度が以前と違ったことは意識下で感じ取っているのかなと思うことはあります」

 あと数ヶ月で、待望の子どもが生まれてくる。揺れていた心は現在、非常に透明に凪(な)いでいるそうだ。

「夫もショウイチさんも子どもたちも、みんなを全力で愛したい。全力で向き合っていきたい。今は強くそう思っています」

 レイコさんの顔をふと見ると、仏像のような微笑みをたたえている。こういう関係はもちろん公にはできない。今後、何があるかもわからない。それでも彼女なら、乗りこえていくのではないか。全身全霊で人を愛することを知ったのだから。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

このニュースに関するつぶやき

  • 記事にするのに美化のフィルターいらなくない?まぁ、時が流れれば結果は出るでしょう。けど、生まれてくる娘は気の毒だなぁ。大声出した時にすぐに自分で気づいて謝ってくれる旦那さんもいい人なのに。
    • イイネ!0
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  • 旦那さん可哀想に。4人目の子どもを育てるのね!
    • イイネ!15
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