「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」プロデューサーが仕掛ける話題づくりの“妙”【インタビュー】

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2020年07月16日 07:52  アニメ!アニメ!

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写真『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』場面カット(C)筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥
『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』場面カット(C)筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥
謎に包まれたキャラクター、先の読めない展開、最新鋭のガジェット、ユニークな宣伝手法……。
数多くの“仕掛け”で話題をさらったテレビアニメが2020年4月にスタートした。その名も『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』。

原作は筒井康隆が1975年から1977年にかけて発表したミリオンセラー『富豪刑事』(新潮文庫刊)。原作の世界観やキャラクターを生かしつつ、全く新しい要素を取り入れ、“現代版”にアレンジしている。



本作についてアツい想いを語るのは、企画の発起人となったフジテレビの松尾拓プロデューサー。作品に盛り込まれた数多くの“仕掛け”の発起人でもある。

松尾プロデューサーと2話放送時点までの仕掛けを振り返るとともに、作品への想いやTwitterにトレンド入りした宣伝戦略、『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』の見どころなどを伺い、本作に込めた情熱に触れた。

[取材・文=阿部裕華 ]

原作へのリスペクトを込めながら“新しい作品”をつくる作業

―― 松尾さんは筒井康隆さん(『富豪刑事』の原作者)の作品が学生時代からお好きだったそうですが、今回『富豪刑事』のアニメ化に踏み切った理由について教えてください。

松尾:アニメの企画を出す際、映像化して魅力が大きい作品を手掛けたいという考えが前提にあります。“ノイタミナ”枠は深夜アニメのため、GP帯(ゴールデン・プライムタイム)の放送枠ほど多くの視聴者に一斉に見られるわけではない。だからこそ、パンチ力のある派手な作品で“登場感”を演出したいと思っていました。

これは僕の好みでもありますが、アニメは派手なことが起きてナンボだと思っていて。映画『MISSION:IMPOSSIBLE』シリーズや『007』シリーズのように派手なアクションや、何が起こるか分からない展開の作品は、日本で実写制作するとなると相当大規模な映画でないと難しい。

でも、アニメなら何でもできるんですよ。宇宙に行ったり、動物が話したり……派手なことを起こしやすい。だから、派手な世界観の作品をつくりたかったんです。

また、カリスマ性を持つキャラクターにとても憧れがあって。『富豪刑事』の主人公である神戸大助は使い切れないほどの資産を持つ大富豪です。そんな彼が、警察という泥臭い組織の中で派手にお金を使って事件を解決していく姿は、とても魅力的で面白い。



―― 『富豪刑事』の「お金で事件を解決する」設定やキャラクターは、たしかにド派手です。

松尾:とはいえ、原作通りに進めることは放送枠の関係上難しかった。原作は4つの短編エピソードで構成されているため、そのままやると1クール(11話分)はもたないんです。であれば、原作の魅力をリスペクトしながら、考え得る“おもしろ要素”を最大限詰め込んだものをつくってみたいというのが今回の企画の流れですね。

―― 原作の設定を取り入れてはいるものの、アニメでは新しい要素が満載ですよね。

松尾:「神戸大助」という圧倒的な魅力を持つ大富豪が、泥臭さを良しとする警察組織の中で華麗に大胆に事件を解決するというのが『富豪刑事』の面白さのコアになる部分だと思います。
今回、舞台を現代に変更し、アニメとしての魅力を最大化するためには……というアプローチで、バディとなる加藤春も、AI執事のヒュスクも、現代犯罪対策本部準備室も、原作にはない要素をいろいろと詰め込みました。
さまざまな提案を何もかもご快諾頂いた筒井先生には感謝の気持ちでいっぱいです。

―― 原作者の筒井先生や出版元である新潮社さんには、どのように企画を伝えたのでしょうか?

松尾:最初に新潮社さんに提出した企画書にはこのように書いています。

「原作の持つ大きな魅力である設定の大胆さや面白さ、そしてキャラクターの痛快さを活かしつつ、最先端のガジェットを盛り込み、オリジナルキャラクターや設定を加えながら、現代にリバイバル。ジェームズ・ボンドはMI6(イギリスの情報機関)を後ろ盾として活躍しますが、神戸大助は桁外れの個人資産をバックに、大胆にそして豪快に事件を解決していきます。大いなる個の力を活用し、時には華麗に、時には力技で事件解決を進める、新世代のヒーローを描いていきたいと考えております」

これはつまり僕たちが原作『富豪刑事』に宛てたラブレターだと思いますが、この内容でOKを頂き、筒井先生はこれ以降も、シナリオや絵コンテなど含め、全てを我々がやりたい通りにやらせてくださいました。自分が本当に筒井先生の大ファンなので、これは本当に嬉しいことです。



―― 原作の魅力を活かしつつ、新しい作品として企画を固めていくのは、かなり大変な作業だったのでは……?

松尾:世界観やキャラクターの設定づくりといった、シナリオの前段階となる「土台」の部分ではだいぶ苦労しました。伊藤智彦監督と、シリーズ構成・脚本の岸本卓さんと僕の3人で1年半くらい、歌舞伎町の喫茶店でずっと本打ち(シナリオ打ち合わせ)していましたね。楽しいですけど、なかなかスパッと決まらず……現代の設定にするとしても、作品の世界観や大助というキャラクターに対して「こんなアプローチがあるんじゃない?」と、アイデアを出しては考える作業を繰り返していました。

―― アイデアがあり過ぎて、まとめていくのが大変だったんですね。

松尾:そうかもしれません。案が出ないという大変さではなく、いろいろな案がどれも魅力的だったからどうしようという感じでした。

タイトルの『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』も悩んだうちのひとつです。現代版にリブートするならどういうアプローチが良いだろう?とたくさんの案を出しました。タイトルは作品の顔なので、それこそ100個以上のアイデアをチームで出し合って決めましたが、作品全体の雰囲気がビシッと伝わる素敵なタイトルになったと思っています。

今放送しているものが僕たちの選んだ「一番面白いバージョン」なのでもちろん世の中には出せませんが、クリエイティブに関してはさまざまなアイデア案がありました。僕の『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』フォルダに入っている資料類は、売ったら少しお金になるかもしれませんね(笑)。

ギズモードのシビアな審査を通過した、“リアル”なガジェットたち



―― 伊藤さん、岸本さんとはアニメ『僕だけがいない街(以下、僕街)』でもご一緒されていますよね。やはり「安定感がある」という感じですか?

松尾:「安定感がある」どころの騒ぎではないぐらい安定していますね。
僕たちプロデューサーを含むスタッフ陣で「こんなシーンが見たい」「こんなやり取りが見たい」と、ああでもないこうでもないとアイデアを出し倒して、岸本さんは自分のアイデアも含め、「その素材ならこう仕立てていくとお客さんは喜びますよ」と多種多様な料理方法を都度ロジカルに提案していく。
よく喋り、会議のムードメーカーでもある岸本さんとは対照的に、伊藤監督は基本的にとても寡黙なのですが、みんながワーワー喋り終わったあと、最後に「ならこれだね!」と、出揃った素材と調理方法を基に、自身の膨大な引き出しからもオリジナリティのある素材やスパイスを加えて最高の料理をテーブルにのせるという雰囲気です。
岸本さんと伊藤監督はお互いを信頼しあっている素晴らしいバディだと感じますし、なんなら僕はふたりの関係性に嫉妬しています(笑)。

もちろん僕もアイデアを出しますし、魅力あるキャラクターを生み出してくれたキャラクターデザインの佐々木啓悟さんや副シリーズ構成の村上泉さん、アニメーションスタジオのCloverWorksさんなど、スタッフが固まってからはチーム一丸となっていろいろな素材を出して、それを伊藤監督が凄腕のシェフとしてボンボン調理していく。
とても雰囲気が良く活気のあるシナリオ打ちだったので、この時点で、すごくいい作品になると思いました。

―― 佐々木さんやCloverWorksさんも『僕街』の制作チームですよね。一方、本作からの新しい顔ぶれに、ガジェットコーディネートとしてギズモード・ジャパン(以下、ギズモード)さんがいらっしゃいます。なぜ、ギズモードさんをチームに招いたのでしょうか?

松尾:作品の中に「大富豪が資金力を生かして最新鋭のガジェットをつくり活躍する」という要素を取り入れたいと思いました。この時代に自分が大富豪で事件を解決するなら、新しい秘密兵器を開発しないわけにはいかないですよね?(笑)。

とはいえ、世の中にどういうガジェットがあって、どこかの国立研究所で開発されている最新の技術はこれで、映像的にも映える形で具体的にガジェットに落とし込むには……と僕らだけで考えるのは難しい。餅は餅屋というか、力を貸してくれる人たちとチームを組みたいと思いました。そこで、世界中の最新技術やガジェットに関して日本で一番精通しているギズモードさんに、お声がけさせていただきました。

「新兵器を秘密裏に開発できる立場にある大富豪の大助が、困ったときにどういうガジェットで解決するか」と、ガジェットから物語のアプローチを考えてアイデア出しをしてくれました。



―― そういった役割の方には「監修」や「考証」といった肩書きがこれまでは一般的だったと思うのですが、なぜ今回「ガジェットコーディネート」というクレジットに?

松尾:ギズモードさんが参加してくださることが決まってから、企画書をアップデートするタイミングでふと思いついた言葉です。
実際にそんなことはないのですが、「監修」や「考証」って、肩書きとしての文字だけを見ると「受け身な立場」というような印象を個人的には受けると前から少し感じていたこともあり、今回のギズモードさんの「さらにやってくれている感」をどうしたらクレジットで出せるかなと思ってのことでした。

「ガジェットコーディネート」……ふと思いついた言葉ではありますが、異常に語感がいいというのもチャームポイントですし、彼らからもアイデアのボールを放ってくれている印象がつくかなと考えました。

ギズモードさんも非常に気に入ってくださっているようです。「ガジェットコーディネーター」という肩書きを、別の場所でも使ってくれています。この作品で生まれた言葉が、今後もギズモードさんの肩書きとして使っていただけると思うと、嬉しいですし面白いですね(笑)。

―― 作中に登場するガジェットはギズモードさんからのアイデアなんですか?

松尾:僕らから発信したアイデアもあれば、ギズモードさん発信のアイデアもあります。ただ、すべてのガジェットはギズモードさんのアイデアを足してブラッシュアップしています。

『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』のガジェットたちは、ギズモードさんのかなりシビアなチェックを経て登場していますよ。

―― シビアなんですね。

松尾:非常にシビアです(笑)。というのも、僕らはギズモードさんに「嘘を描きたくない」と最初に伝えているからなんです。神戸家の莫大なお金を使えば、10年先のテクノロジーに到達できると仮定して、ガジェットを考えています。10年先のテクノロジーで開発できるリアリティラインを教えてほしいとギズモードさんに伝えているので、彼らはプロフェッショナルとして話をしてくれる。

たとえば、SF映画でよく見かける、ホログラムが空中に浮かび上がるようなシーン。あれは、ギズモードさんからNGが出ました。「映像を投写するには、何もない空中では不可能です」と(笑)。スクリーンや壁に投写する以外だと、チンダル現象(ほこりなどの微小な粒子に光を通し、光を散乱させる現象)を利用しないと難しいし、清潔な空間だとそれすらも不可能だと。

そういう話をとうとうとされるわけですよ。「人間が何のサポートも無しに宙に浮くのは10年先でも無理です」とか。彼らと話していると「質量保存の法則に基づくと……」「〇〇の法則ってご存じですか?」みたいな、ザ・理系の方向からリアリティを正してくれて、僕なんかは全然分からないので「つまり●●ってことですか?」と全然的外れなことを言って苦笑いされたり……(笑)。そんな過程を経てシナリオやコンテはシビアなチェックを通過しているので、今後出てくるシーンで「えぇ!?」と思っても、「10年後は到達できるってギズモードさんのお墨付きなんだなぁ」という目で見てください(笑)。

→次のページ:【さまざまな“バディ”要素が作品の魅力を引き立てる】

さまざまな“バディ”要素が作品の魅力を引き立てる


―― 本作に登場するガジェットの中でも特に活躍している、ピアス型AI執事“ヒュスク”のアイデアはギズモードさん発信ですか?

松尾:ヒュスクはギズモードさんが入ってきてくれる前からアイデアを出していました。もちろんギズモードさんにはアドバイスをいただいていますし、“ヒュスク”という名前も考えていただきました。

でも、大助の片耳にピアスをつけたいというのは、たしか僕が言ったような気が……。片耳だけピアスをつけている男って、悪そうでカッコよくないですか?

―― 分かります! セクシーですよね。

松尾:そうなんです!
加えて、大助には人間ではないパートナーがほしかった。『ナイトライダー』では “ナイト2000”、『スター・ウォーズ』では“R2-D2”、『インターステラー』では”TARS”……そんな感じで大助にもクールなパートナーがほしいと。



「片耳のピアスが実は相棒だった」というのは、そこまで非現実的ではないし、何より主人公のビジュアルとしてもすごくカッコいい。そんなアイデアからきていたと思います。

―― 神戸大助を含め、本作に登場するキャラクターはかなり個性的です。キャラクターを考える上で意識されたことはありますか?

松尾:原作の大助は大富豪なのにものすごく感じのいい上品な好青年、というギャップがあるユニークなキャラクターですが、アニメにするなら「俺の言うことには黙ってついてこい!」みたいなタイプにしたいと思っていました。これは僕の好みです(笑)。

そして、大助の異常性を引き立たせるために、視聴者の目線であるキャラクターを横に置きたいと考え、原作にはいない加藤春というキャラクターが生まれました。何より“バディもの”って面白いですしね。

―― たしかに、視聴者からすると加藤のほうが感情移入しやすいキャラクターかもしれません。

松尾:加藤というキャラクターは、伊藤監督や岸本さん、村上さんなど、いろいろな方のアドバイスを含めて組み上げていきました。

また、加藤春に限らず、佐々木さんが描いてくださったキャラデザのビジュアルを見て、「こういう見た目の人はこういう考え方をしそうだね」と把握していく作業もしていましたね。



―― キャスティングについてはいかがでしょうか。大助役の大貫勇輔さんはテレビアニメでの声優は初挑戦ですよね。

松尾:声優さんのキャスティングは伊藤監督が考えています。声の好みというか、こだわりが強いと僕は思っていて。有名な声優さんを使うのではなく、作品の中にオリジナリティを加えたいのだと思います。

今回も、監督から「絶対に大貫さんがいい」と要望がありました。大助は唯一無二で存在感がある人にしたいからキャラクター性を立たせたい。大貫さんの声はそのイメージにとても合っていたんだと思います。普通に喋っているだけなのにすごくお金を持っていそうだし(笑)、自然と声にリバーブ(残響)がかかっている感じですよね。

―― 一度聴いたら耳に残る声です。加藤役に宮野真守さんをキャスティングされたのは?

松尾:宮野さんのキャスティングもキャラクターに合わせ、話し合って決めた記憶があります。大助はユニークなキャラクターで視聴者が感情移入しづらいけど、加藤は視聴者のカメラなので、ベテランというか安定感のある方がいいんじゃないかと。



―― アフレコなどでのおふたりの印象はいかがでしょうか?

松尾:大貫さん、宮野さんのアフレコは素晴らしいという一言に尽きます。

おふたりでよく宣伝稼働をして頂いているのですが、お互いにリスペクトし合って仲良しですし、実際のふたりの関係性もすごく素敵だなと思いますね。本当にバディのようです。

Twitterトレンド入りを果たした、OPテーマ“SixTONES”の戦略とは

―― 『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』のOPテーマはSixTONESの新曲「NAVIGATOR」ですが、第1話放送前にアーティスト名の発表は一切なく、OP映像でもアーティスト名の記載はありませんでした。なぜ、このような仕掛けを取り入れたのでしょうか?

松尾:通常のタイアップでは、アニメ放送前に主題歌楽曲を使用したPVを制作し、「主題歌は〇〇(アーティスト名)に決定!」と情報解禁し、そこで視聴者のみなさんに楽曲と作品を同時に楽しみにして頂くという流れがほとんどだと思います。

ですが、“いま最も勢いのあるアーティスト”であるSixTONESさんということで、彼らであれば一般的な情報解禁ではなく、少し違う仕掛けをしてみようという話になりました。

1話の前に曲を解禁しない、1話で流しても誰が歌っているか分からない、かなりトリッキーなボールを放ったんです。非常にイレギュラーな提案だったのですが、アーティストサイドも話に乗って調整してくださって。

―― Twitterではトレンド入りするほど大きな反響がありましたよね。

松尾:アーティストサイドや宣伝チームとも戦略を練り、ほかにも話題になるためのタネを蒔きました。アーティスト名を公表しなくても勘がいい人なら気づくのではないかと、SixTONESファンの方への挑戦状として、スマホ広告を打ちました。

広告には、“型破りの御曹司 × バディ × 事件 × 「10億入れておいた」 × AI執事 × 残高無限大 × COOL&HOT=『富豪刑事』”と作品の魅力ポイントを7つ記載。広告に記載されている6つの「×」を第1話放送前はモノクロにしていたのですが、第1話が放送された瞬間にSixTONES6名のメンバーカラーに変更したんです。アーティスト名は明かさずに、この広告を打ち出し、世の中の“バズ”を生む期間をあえてつくりました。



―― 面白い仕掛けですね……!

松尾:アーティストサイドの皆様も面白がって協力してくださって、実現できました。アーティストファンの方々はメンバーカラーにとても敏感だと伺ったので、この仕掛けをしようという話になったのですが……結果、すごくバズりました。面白い試みだったと思います。

あとは、仕掛けだけではなく、何より本編の顔となる楽曲自体がものすごくカッコいい。基本ではありますが、やはりここは一番重要なところだったと思います。

『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』プロデューサーが語る3つの見どころ

―― さまざまな仕掛けもあり、現時点でかなり注目を集めている作品だと感じています。プロデューサーの視点から、視聴者のみなさんの反応をどのように捉えていますか?

松尾:思っていた遥か上をいく反響の大きさです。本当に嬉しい。

僕としては企画に自信があったし、「『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』は絶対にキますよ!」と放送前から、社内外各所でずっと騒ぎ続けていました。とはいえ、連載中の大人気コミックが原作とかでない限り、視聴者さんからしたら、どんな作品なのかは分からない。自分の中で絶対の自信があっても、お客さんの中で受け入れてもらえるかどうかは蓋を開けてみるまで分かりません。

情報解禁や放送開始直前は夜も眠れないほどでしたし、情報解禁直後は1週間ぐらい、ずっと1日10時間くらいエゴサーチをしていましたね(笑)。『富豪刑事』でツイートしてくれている方の呟きは冗談抜きで全て見ていました。最近はファンアートの数やツイートの数が増えすぎて、追いつかなくなってきましたけど……それでもほとんど見ていると思います。

―― どんなファンの方が多いのでしょう?

松尾:熱量の高い女性ファンが多いですね。女性向けアニメとして企画したわけではないですが、女性の視聴者さんにも楽しんでもらいたいと思って、積極的に女性スタッフからアドバイスを聞いていきました。

歌舞伎町の喫茶店でひたすらブレストを繰り返していたという意味で、シナリオの中心メンバーは、伊藤監督、岸本さん、僕、と全員男性なので、男性の視聴者さんに楽しんでもらう自信はあったんです。

でも、男性だけで進めると女性に楽しんでもらうための加減がわからなくなる場面も多々発生しますので(笑)、アニプレックスのプロデューサー松本さん、アニメーションプロデューサーの賀部さんなど、さまざまな女性の皆さんから「女性だからこそ熱狂できるポイント」の意見を伺って、こっそり反映しています。
僕が出すアイデアは「それはちょうど25年前のセンスですよね!」的な袈裟切りに遭うこともありましたし、やはりいろいろな人の意見を聞くべきだなと改めて思いました。

また、原作ファンの方や、さらに海外の方からの反響が非常に大きいと感じています。みなさん『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』の世界観やキャラクターへ魅力を感じてくださっています。



―― 国内外問わず人気を集めているんですね。

松尾:アメリカ、ロシア、タイなどのトレンドにも入りました。2話までしか放送していませんが、Twitterのフォロワー数は8.4万人(※2020年7月時点)、Instagramのフォロワー数やLINEの登録者を合わせると約10万人なので、昨今のアニメの中でも話題だと感じます。

今後もさらに面白くなっていくから、かなり沼が深い作品ですよ……!

―― 一視聴者として楽しみです! では最後に、7月の放送再開を待ち望んでいる視聴者のみなさんに向けて、改めて『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』の見どころをお願いします。

松尾:本作の魅力は大きくフェーズ1〜3に分けられていると思っています。

フェーズ1は、佐々木さんのキャラクターデザインの強さ。最初に大助と加藤のふたりが並んでいるキービジュアルの情報を解禁したとき、キービジュアルだけなのにものすごい熱量の反応がありました。おそらく、いい意味でキャラクターを分かりやすくしたからかもしれません。大助はどう見ても金持ちだし、加藤はどう見ても大助に振り回されそうな人だし……キャラクターがパッと見で分かるという、絵の力があります。

フェーズ2は、伊藤監督のクリエイターとしての力が炸裂しているところ。伊藤監督の手掛けるアニメーションの快感は、当代随一だと思っています。テレビアニメで世の中の人がどうやったら熱狂するか、飛びぬけたセンスはもちろん、それに加えての客観的な視点を持ってモノづくりをしている方です。そんな監督が派手な世界観、ぶっ飛んだ主人公、振り回されるバディの関係値を描いたら、確実にハマる。本作でも世界観や演出など、アニメとしての面白さを感じるお客さんはかなり多いのではないでしょうか。



そして、フェーズ3は岸本さんのシリーズ構成力です。1話で大助のキャラクター性が、2話で鈴江という謎の女の正体や神戸家の財力が分かる。実験ラボ、ヘリコプター、バンカーバスターをぶっ飛ばす……何でもアリなことが分かったと思います。

このあと、同じような展開で進んでいくかと思いきや、僕たちはあえて狙って裏切り続けていきます。3・4話、全く失速せず、むしろ「このアニメどうなっていくの!?」という展開になる。シリーズ構成の力強さが炸裂するんです。それ以降も展開が波打っていくので、ぜひこの波を一緒に楽しんで頂けますと嬉しいです!

【作品情報】
『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』

<放送スケジュール>
放送再開7月16日より毎週木曜24時55分〜
フジテレビ"ノイタミナ"ほか各局にて放送(第1話より放送。初回は25時10分より放送)

<キャスト>
神戸大助:大貫勇輔
加藤 春:宮野真守
神戸鈴江:坂本真綾
清水幸宏:塩屋浩三
仲本長介:神谷 明
亀井新之助:熊谷健太郎
佐伯まほろ:上田麗奈
湯本鉄平:高橋伸也
武井克弘:小山力也
星野 涼:榎木淳弥
ヒュスク:興津和幸

<スタッフ>
原作:筒井康隆『富豪刑事』(新潮文庫刊)
ストーリー原案:TEAM B.U.L
監督:伊藤智彦
シリーズ構成・脚本:岸本 卓
キャラクターデザイン:佐々木啓悟
サブキャラクターデザイン:田辺謙司
美術設定:藤瀬智康/曽野由大/末武康光
美術監督:佐藤 勝/柏村明香
色彩設計:佐々木 梓
メカデザイン:寺尾洋之
CG監督:那須信司
撮影監督:青嶋俊明
編集:西山 茂
音楽:菅野祐悟
音響監督:岩浪美和
音響制作:ソニルード
スタイリングアドバイザー:高橋 毅
ガジェットコーディネート:ギズモード・ジャパン
アニメーション制作:CloverWorks
(C)筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

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