今季「J1全順位」を改めて予想。急浮上、急降下するチームはあるか

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2020年07月17日 11:31  webスポルティーバ

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◆あのブラジル人Jリーガーたちは今?>>

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、2月末から中断していたJ1リーグ。7月4日、およそ4カ月の中断期間を経て、ついに再開されたものの、今季リーグ戦はこれまでとは違って、異例な形で行なわれることになった。

 なかでもクローズアップされるのは、過密日程、降格なし、交代枠増といった、今季限りの特別な条件やルールである。これらによって、各チームがさまざまな影響を受けることは間違いない。

 もちろんそうしたことは、開幕前には想定していなかったこと。とすると、開幕前に行なった「順位予想」など、あまり意味をなさないのではないだろうか。

 そこで、リーグ戦が再開し第4節を終えた時点で、5人識者に改めて今季J1の全順位を予想してもらった。現状を踏まえて、開幕前からどれだけの変化があるのか、注目である――。

頂点に立つのは、川崎か横浜FMか。
鹿島は常勝軍団の呪縛にハマった印象

杉山茂樹氏(スポーツライター)

 よいサッカーをしたチームが優勝する。とすれば、川崎フロンターレを1番手に推したくなる。鬼木達監督就任4シーズン目の今季は、優勝した2017年、2018年、さらに言えば、風間八宏監督時代より、いいサッカーをしている。

 昨季、よりよいサッカーをした横浜F・マリノスが優勝。川崎は4位に後退した。チームは下り坂にさしかかったかに見えたが、実際はそうではなく、逆にサッカーの質をワンランク上げた印象だ。長年見てきたなかで、今季のサッカーが一番いい。

 しかし、横浜FMとの差は僅かだ。川崎がよいサッカーを最後まで貫いても、競り負ける可能性は排除できない。今季のJリーグは、両者が競り合う展開になると見る。

 優勝した昨季に比べると、サッカーはまだ雑然としているが、横浜FMは選手層が厚くなり、選択肢が増えている。余力を感じさせる。

 川崎か横浜FMか。よいサッカーをしたほうが優勝すると思いたい。

 3番手はFC東京。昨季、横浜FMに競り負けて2位に終わり、雪辱を期して臨む今季、レアンドロとアダイウトンを獲得。決定力を高めているが、それは言い換えれば、外国人選手のポテンシャルに頼るサッカーだ。

 川崎、横浜FMとは若干異なる。よくいえば縦に速いサッカーだが……。その一方で、橋本拳人を放出することになった。痛手になると見る。

 4番手以降は混戦。名古屋グランパス、浦和レッズの”金満系クラブ”は順位を上げそうだが、開幕4連敗を喫した鹿島アントラーズは、大幅に順位を落としそうだ。「常勝軍団」の呪縛にハマり込んでいる印象。監督交代も裏目に出ている。病状は重いと診る。

 今季は降格がない。残留争いのないシーズンだ。その点をどこまで割り切って戦えるか。順位にこだわるチームより、こだわらずのびのびと戦ったチームのほうが、結果として上にくると思う。 

ロティーナ監督率いるC大阪が一歩リード。
FC東京は橋本拳人の移籍が大きな痛手

小宮良之氏(スポーツライター)

 コロナ禍の再開後は、明快な流れがある。たとえばリーガ・エスパニョーラでは、精密な攻撃コンビネーションで評判が高かったレアル・ソシエダ、ベティスの両チームが苦しんでいる。一方、戦力的に優れ、単純な堅守カウンターを採用するレアル・マドリード、アトレティコ・マドリードは躍進中だ。

 戦術的に細かいことに挑むチームは、それだけの時間的猶予がなく、不利と言える。厳しい日程で、修正も難しい。疲労は何より、判断力を奪うのだ。

 選手層とソリッドな守備、それにまつわる采配力が、キーワードになるかもしれない。

 その点、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が率いるセレッソ大阪が、手堅さで一歩リードする。ロティーナ監督は、守備戦術でスペイン時代も名を馳せているが、昨シーズンも守りは堅く、カウンターの精度も高かった。

 戦力的にも、積極的な補強を敢行しリーグ上位。FWだけでも、ブルーノ・メンデス、奥埜博亮、都倉賢、柿谷曜一朗、豊川雄太など、より取り見取りだ。

 次は、FC東京だろうか。長谷川健太監督は、守りをベースにした”負けない”チームを作り上げた。昨シーズンは堅守カウンターで優勝を争い、選手層も薄くはない。

 とすれば、本来なら優勝候補に推したいところだが、MF橋本拳人(→ロストフ)のロシア移籍は痛すぎる。勝ち点で言えば、(1シーズンで)10〜15点の減少に匹敵。戦い方の変更を余儀なくされるほどだ。

 アンジェ・ポステコグルー監督がスタイルを突き詰めてきた王者の横浜F・マリノスは、フィットしたら他を寄せ付けない。今は”試運転”の状況で、とくに守備面の脆さは心配だが、連覇も十分に可能。湘南ベルマーレ戦では、3人の交代選手が決着をつけたように、戦力は随一だろう。不確定要素となるのは、大会方式も変更されて、10月に延期されたAFCチャンピオンズリーグがどう影響するか……。

 ヴィッセル神戸は、MFアンドレス・イニエスタ次第だろう。イニエスタは、Jリーグで唯一無二。チームが勝とうが負けようが、彼が出るだけでスペクタクルだ。

 降格候補とされていたチームは、思い切った選手起用でプレーモデルを熟成させるシーズンにするかもしれない。

 サガン鳥栖は、昨シーズンのチームを刷新。19歳のMF本田風智は大成するか。他にも面白い素材がいて、興味は尽きない。ただ「若手主体」と決めてしまうと、健全な競争は失われる。勝負で若さを露呈し、不調が続くと自信を失い、成長どころではない。

 厳しいプロの世界。勝敗を突き詰めなければ、強さは永遠に失われる。

意外にも的を射ていた開幕前の予想。
それでも浦和と名古屋の評価を少しアップ

原山裕平氏(サッカーライター)

 意外と的を射ていたのではないか。まだ4節を終えたに過ぎないが、開幕前に振り絞った順位予想は、今のところ”いい線いっている”と、我ながら思う次第であります。

 現在首位の川崎フロンターレを優勝とし、開幕3連勝と好スタートを切ったセレッソ大阪を2位予想。FC東京、サンフレッチェ広島もしっかりと上に置いている。

 川崎を推した理由には「新陳代謝」と「システム変更による攻撃力向上」というキーワードを挙げ、C大阪と広島は「守備の安定」を指摘している。

 なかでも核心を突いたのは、鹿島アントラーズに関するコメントだ。

『読めないのが、鹿島アントラーズだ。アントニオ・カルロス・ザーゴ監督を迎え、新戦力も数多く補強。戦力的には優勝に推してもいいチームだが、方向転換による弊害が生まれてくる可能性も否定できない。改革による痛みが伴うシーズンとなるかもしれない』

 まるでゲッターズ飯田のごとく、この苦戦を予知していたのである。

 もっとも「かもしれない」と断言せず、予想も7位と振り切れなかったあたりに、自信のなさが表れている。「あの鹿島が」という想いが、どこかにあったのだろう。ところが蓋を開けてみれば、「あの鹿島が」まさかの開幕4連敗。ここまでの苦戦は、さすがに予想できなかった。

 とはいえ、日ごろから「一度決めことは最後まで貫け!」と息子たちに説いている立場としては、「予想を変えてもいい」という編集部の誘惑にも、しっぽを振って飛びつくわけにはいかない。男に二言はないのだ。成功者の条件に「グリット」というものがある。信念をもってやり抜く力を備えた者こそが、成功をつかみ取るのだ!

 と、息巻いてはみたものの、謙虚にミスを認めて、方向転換していく「修正力」もまた成功者には求められるものだ。なので、やっぱり、ちょっとだけ、変えさせていただきます。

 やはり予想をはるかに超えた鹿島を大幅ダウンせざるを得ないだろう。開幕から調子が上がらない横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸、柏レイソルもやや下落。逆に意外な(?)安定ぶりを発揮している浦和レッズと名古屋グランパスを少しだけ上に。今季見たなかでは最も印象的なサッカーをしていた横浜FCも上方修正させていただいた。

 降格なし、交代枠の増加、AFCチャンピオンズリーグの変則日程など、今季のJリーグは未知の部分があまりにも大きい。そんな未曽有のシーズンを過ごすなか、各チームに求められるものは何か。

 信念の下で貫く「グリット」と、苦境時に試される「修正力」なのかもしれない(断言せず)。

外国人助っ人は質・量ともにリーグ1。
選手層厚い浦和が異例のシーズンを制す

中山 淳氏(サッカージャーナリスト)

 約4カ月の中断と、新たに決まった超過密日程は、通常のシーズンとは異なる、さまざま現象を引き起こすことは間違いないだろう。

 とくに、10月下旬から集中開催で行なわれるAFCチャンピオンズリーグに臨む3チームは、日程がより過密になるため、大きなハンデを背負うことになる。開幕前に優勝と予想したFC東京をはじめ、横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸が最後に笑うことになったら、それは”奇跡”以外の何物でもない。

 そこで急浮上してくるのが、新外国人選手が大当たりした浦和レッズだ。点取り屋レオナルドの活躍は想定内として、当初はフィットするまでに時間がかかると見られていたDFトーマス・デンの、再開後のパフォーマンスの高さは、チームにとってはうれしい誤算と言える。

 そのほか、DFマウリシオ、MFエヴェルトン、MFマルティノス、FWファブリシオと、外国人助っ人に関しては、質・量ともにリーグ屈指。日本人選手も含めた選手層の厚さは申し分ない。

 たしかに、チームのクオリティと完成度は、川崎フロンターレに軍配が上がるが、東日本大震災があった2011年は、昇格組の柏レイソルが優勝。それと同じく、”異例のシーズンは予想外の結果”が待ち受けているとすれば、浦和の優勝の目は十分にあるはずだ。

 チーム戦術を変えながら、世代交代を推し進める大槻毅監督が、豊富な戦力をうまく使い回すことができるかどうかが、最大の課題であり、見どころでもある。

 一方、再開後に大きく”株価”を下げたのが、鹿島アントラーズだ。中断期間を上手に利用できなかったのか、アントニオ・カルロス・ザーゴ監督のサッカーが浸透している様子はなく、内部に不満が溜まれば、途中解任も考えられる。

 その鹿島を含め、今季は「降格なし」という特別ルールがあるため、序盤に競争から離脱すると、そのチームは坂を転がり落ちるように、一気に下位に低迷する可能性は高い。その意味で、優勝争いにとどまる上位チームと、それ以外の下位チームとが、例年よりも早い段階で2つに割れることになるだろう。

選手層厚く、完成度高い川崎が独走も。
FC東京、横浜FMはACLが気になる材料

浅田真樹氏(スポーツライター)

 ようやく再開された今季J1は、週2試合ペースでの連戦が多い過密日程。メンバーを固定することで、チームの熟成度を高めていく手法は、通用しにくいだろう。しかも、1試合の交代枠は3から5に拡大されている。例年以上に、選手層の厚さが物を言うシーズンになるはずだ。

 少数精鋭で練度の高いサッカーを目指すよりも、(多少の粗さが残るサッカーでもいいので)メンバーを入れ替えても、チームの出来を大きく上下させない。そうした戦い方ができるクラブが有利と見る。サプライズ的な伏兵の躍進は起こりにくい。

 優勝候補筆頭は川崎フロンターレだ。選手層の厚さはもちろん、サッカーの完成度でも高いレベルにある。AFCチャンピオンズリーグに振り回される心配もなく、場合によっては独走もあるかもしれない。

 対抗の一番手はFC東京。選手層の厚さでは川崎に劣るが、能力の高い選手がレギュラークラス+αでそろっている。昨季、中3日以下の試合で好成績を残しているように、戦術に幅があり、状況に応じた戦い方ができることも、過密日程ではプラス材料だ。

 対抗の二番手は横浜F・マリノス。昨季は中3日以下の試合で成績が悪く、日程面に不安がある。そのため、開幕前の優勝予想から3位へと順位を下げたが、選手層は厚く、サッカーの質も高い。連覇の可能性はある。

 ただし、FC東京、横浜FMに共通して気になるのは、ACLがどうなるか。今後の日程と開催方式が発表されたが、例年以上に負担は重い。本当に再開されれば、大きなマイナス材料になるだろう。

 そのほか、大まかな序列は開幕前の予想からさほど変えてはいないが、大きく順位を上げたのは、浦和レッズと名古屋グランパス。いずれも充実した戦力を評価した。対照的に下げたのは、鹿島アントラーズ。今ほどの低迷がずっと続くとは思わないが、それでもひと桁順位が精一杯だろう。

 例年はシーズン終盤までもつれる下位グループも、今季はJ2降格の心配がないことで、よくも悪くも平常心で戦える。”火事場の馬鹿力”は発揮されにくく、あっさり順位が固まる可能性もあるのではないだろうか。

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