「ユニクロ参入で布マスクバブル崩壊」「人気アパレルでセクハラ辞任」2020年上半期ファッションニュースベスト3

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2020年07月19日 19:03  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月から全国の百貨店やファッションビルが軒並み時短営業・休業となり、店舗売り上げが大激減……そんな危機的状況に陥っている現在のファッション業界。今年上半期には、コロナ禍関連以外にもさまざまなファッションニュースが報じられたが、今回はファッションライター・南充浩氏に、特に印象深かったトピックをベスト3形式で紹介してもらった。

第1位:不買運動も勃発! ストライプ社創業社長がセクハラ問題で辞任

 「アース・ミュージック・アンド・エコロジー」などのブランドを展開するストライプインターナショナルの創業社長・石川康晴氏が、複数の女性社員にセクハラを行っていたと、3月上旬に「朝日新聞」ほかで報道されました。以前には、前身会社で過労死疑惑もありましたが、その後は福利厚生の充実に努めるとともに、石川氏の打ち出すエシカルなビジョンが社会的には評価されていたので、驚かれた人も多かったのではないかと思います。

 しかし、衣料品業界においては、以前から石川氏のセクハラ問題は、割合に広く知られていましたから、個人的には「ついに」としか感じませんでした。石川氏本人は「疑惑」を否定していましたが、報道に対して法的措置を取るわけでもなく、突然社長を辞任。この直後に、新型コロナによる非常事態宣言が発令されたので、世間的にはやや忘れ去られた感がありますが、一部女性の間では不買運動が起こり、それがボディブローのようにジワジワと同社の経営に効いてきていると言われています。

 同社は過去に二度、株式公開を延期しています。これはつまり、公開できないそれ相応の理由があるということで、その判断基準は業績の良し悪しだけではないのです。もう少し噛み砕いて言うと、株式公開は、その企業の公的要素が強まるということなので、違法行為はもちろん、倫理や道徳にもとることがある場合、公開はできなくなります。そう考えると、株式公開が二度も延期というのは、「ちょっとおかしい」と言わねばなりません。ちなみに、2回目の延期理由は「新規事業が軌道に乗るまで」「中国事業が軌道に乗るまで」というものでしたが、本当の理由の一つはこのセクハラ問題だったのではないかと、個人的に見ています。

 老舗アパレルのレナウンが5月中旬、ついに経営破綻し、民事再生法の適用を申請しました。2013年に、経営難から中国のアパレル企業・山東如意科技集団の子会社になりましたが、ずっと業績は回復せず。昨年末には、山東如意の香港子会社から、売掛金53億円が回収できないという事態に陥っていたため、コロナ禍の影響がなくても、早晩、レナウンは破綻したと言えます。

 特徴的なのは、親会社の山東如意も経営が行き詰っており、資金繰りがかなり悪化していることです。その理由は、ダボハゼ的に、レナウンをはじめとする国内外のブランドやアパレル企業を買いまくっていたから。この点は、昨今、大赤字に転落したライザップと非常に似ています。しかし、もともとは紡績などの繊維製造業からスタートした山東如意に、ブランドを運営する力はありませんでした。レナウンを買収した直後は、同社の持っている「シンプルライフ」というブランドを中国で直営店化しようとしましたが、結局売れないままに撤退しました。

 またレナウンの構造的な問題として、所有しているブランドの知名度が低すぎたことと、顧客層が60代半ば以上の高齢層に偏っていたことも致命的でした。新しいスポンサーが決まらなければ、レナウンは会社清算ということになりますが、今のところ、新規スポンサー探しは難航。個人的には、ブランドごとに切り売りされることになると予想します。

 新型コロナの感染拡大によって、マスクの需要が2月下旬頃から急増。また、これまでマスクの生産はほとんど中国まかせだったのですが、同国で新型コロナのオーバーショートが起こると、輸入がストップしてしまいました。この2つの要因によって、深刻なマスク不足となり、それまで50枚で700円前後だったマスクが、3月のピーク時には4,000円くらいにまで値上がりしたのです。

 そこで、相次いで国内外のアパレルブランドがマスクの製造販売に参入しました。その理由は「マスク不足を解消するという社会貢献のため」「衣料品が売れない中、会社を存続するため」の2つです。

 しかし、4月に入って、興和やシャープ、アイリスオーヤマといった大手企業が月産数千万枚単位でマスクを供給し始めると、あっという間にマスク不足は解消。値崩れを起こし、5月末にはほぼ元の価格に戻ってしまいました。大手企業がマスクの生産に乗り出すことは早くから発表されていましたから、近いうちにこのような事態になることはわかりきっていました。にもかかわらず、参入する企業があまりにも多いことに驚いたものです。それほどにひっ迫した状況だったのでしょうか。

 6月19日には、ついに国民的ブランドとも言えるユニクロが「エアリズムマスク」の販売を開始。3枚990円という低価格で、発売後数時間で完売してしまうほどに注目を集めました。また無印良品も6月上旬に2枚990円の布マスクを発売しています。よほどデザインや色・柄にコダワリがなければ、布マスクが欲しい人は、ユニクロか無印良品で十分でしょう。そういう意味では「布マスクバブルははじけた」と言えます。継続して布マスクの販売を続けるブランドは「社会貢献」のことだけを考えるべきでしょう。
(南充浩)

このニュースに関するつぶやき

  • >5月末にはほぼ元の価格に戻ってしまいました。 ほんとに?こっちでは、まだ50枚1,480円くらいするけど・・・。因みにユニクロ参入前から、布マスクは店頭で飽和状態でしたよ。
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