昨季「新人王」を争った男たちの今 明暗が分かれている理由とは…?

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2020年07月21日 12:34  ベースボールキング

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ベースボールキング

ヤクルト・村上宗隆 (C) Kyodo News
◆ 昨季の新人王、おぼえてる?

 開幕から1カ月が経ったプロ野球。各選手の状態の良し悪しも徐々に見えてきたところで、少し気になったトピックについて触れていきたい。


 セ・リーグの個人成績表、その一番下に名前があるのが阪神・近本光司。ルーキーイヤーの昨季はいきなり142試合に出場して打率.271・9本塁打・42打点の活躍。リーグの新人記録を更新する159安打をマークし、36盗塁で盗塁王のタイトルも獲得した。

 しかし、今季は開幕から不振が続いている。19日の中日戦で2安打を放ったが、打率はいまだ.182と2割にも届かず。もがき苦しむ日々を送っている。

 一方、近本と対照的なのが、ヤクルトの村上宗隆。高卒2年目の昨季は143試合に出場して打率.231・36本塁打・96打点の大暴れ。近本とのデッドヒートの末、新人王に選出された。

 大ブレイクを果たした“令和の怪童”は、今季ここまで25試合に出場して打率.380・3本塁打・28打点と絶好調。得点圏打率は.500と驚異的な勝負強さを発揮しており、また三振のペースを減少させるなど、あらゆる面で進化が見て取れる。


 昨年の新人王レースを盛り上げた2人で分かれた明暗…。これはパ・リーグも同じ事が言える。

 セ・リーグほどの僅差ではなかったが、パ・リーグで新人王に輝いたのはソフトバンクの高橋礼。プロ2年目の昨季は23試合に先発して12勝(6敗)を挙げる活躍。チームの日本一3連覇に大きく貢献した。

 今季は開幕前の故障もあり、ここまではリリーフとして12試合に登板。それでも、2勝・7ホールドを挙げて防御率は1.13。安定した投球でチームを支えている。

 その高橋に次ぐ、新人王投票で2位だったのがチームメイトの甲斐野央。昨季はルーキーイヤーながらチームトップの65試合に登板するなどフル回転。2勝5敗、8セーブ・26ホールドを記録する大車輪の活躍でブルペンを支えた。

 しかし、今季はその奮闘が祟ってか、2月のキャンプ中に右肘の故障で離脱。7月に入ってようやくシート打撃への登板を果たしたが、復帰時期は未定のままとなっている。


◆ “下積み”が重要?

 昨季、セ・パ両リーグで新人王を争った4人の“明暗”…。実は共通点がある。

 新人王に輝いた村上と高橋は、昨季がプロ入り2年目だった。ともに1年目から一軍の出場はあったものの、大半は二軍で過ごし、みっちりと鍛えられた末の昨季だった。

 対して、近本と甲斐野は昨季がプロ1年目という正真正銘のルーキー。ほかの年であれば新人王でも何らおかしくない活躍を見せた2人は、当然ながら二軍の試合に出場することなく1年目を終えている。その中で、甲斐野はシーズン終了後も侍ジャパンの一員としてプレミア12に参戦。シーズン中と変わらぬフル回転で投げまくり、近本は人気球団に出現したスター候補とあって、メディアなどに引っ張りだこ。ともに気の抜けないオフを過ごしていた。


 当然、1年目から大活躍をして結果を残すに越したことはない。ただ、長い目で見た時には、村上や高橋のように二軍である程度の“下積み”を経験することも、重要な要素なのかもしれない。

 いずれにしても、彼らのプロ野球人生はまだ始まったばかり。今は苦しい想いを強いられている2人も、この苦境を乗り越えた末の輝きというのは、1年目のそれを上回ってくることだろう。

 彼らが今後どのような成長曲線を描いていくのか、楽しみに見守っていきたい。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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  • ちょっと待て。近本がメディアに引っ張りだこ? そんなことあったか?
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