EXIT・兼近大樹、「甘え上手」という天性の才能――私が「吉本のマッチ」と呼びたいワケ

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2020年07月24日 01:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「オレを可愛がらないのは、おかしいんですよ」EXIT・兼近大樹
『ダウンタウンDX』(日本テレビ系、7月16日)

 「目上の人に失礼な真似をしてはならない」と教えられた人は多いだろう。会社員の場合、自分の査定をつける人の不興を買うような真似をしても、何のトクにもならないからだ。

 しかし、芸能界の場合、「失礼な真似」をしたとしても、それを上回る「甘えの才能」に恵まれているのなら、それはプラスになるのではないだろうか。

 例えば、マッチこと近藤真彦。彼が昭和の芸能界の至宝、美空ひばりさんに狼藉を働いたことがあることをご存じだろうか? マッチは『あさイチ』(NHK)でこんなエピソードを披露していたことがある。15歳のマッチは、NHKの『ばらえてぃテレビファソラシド』に出演していたが、音合わせの際も手を抜かず、本番さながらに歌うひばりさんに対し、「あのおばさん、歌うまいね」と周囲のスタッフに漏らした。単なる日常会話のつもりだったが、その場が静かだったために、マッチの発言はひばりさん本人に聞こえてしまったそうだ。マッチはその後、楽屋まで謝りに行くが、ひばりさんは「率直に15歳の少年が聞いてうまいと言ってくれたことがうれしかった」と語り、その後マッチを可愛がってくれるようになったという。

 デビューしたばかりのアイドルにとって、芸能界を代表する大御所は、たとえ同じ番組に出演したとしても、おいそれと口を利ける存在ではないだろう。しかし、「失礼な真似」をして謝罪することで、距離はおのずと近くなる。許してもらえるかどうかは、大御所の判断にかかっているが、一般的に言うのなら、いいオトナが子ども相手をに真剣に罰すると「おとなげない」と言われるので、許すことが多い。

 しかし、ひばりさんがマッチをただ許すだけではなく、可愛がってくれるようになったのはなぜか。2019年7月に所属事務所の社長(当時)であるジャニー喜多川氏が亡くなった時に、彼は「長男でいながら、何度も泣いちゃいました」というコメントを出していた。分別のある長男的存在であるマッチが、人目を気にせずに涙を流すことで、ジャニー氏への強い愛と別れのつらさを表現しているように私には感じられ、マッチって相当な「甘え上手」だと思った。マッチのように、謝罪する側が「甘える才能」に長けている場合、最初の悪印象を覆して「面白い子ね」と可愛がってもらえるのではないだろうか。

 お笑いの世界で、「失礼な真似」と「甘え上手」の二つを使いこなす才能を持っているのが、EXITの兼近大樹だろう。

 まず、「失礼な真似」についての例を挙げると、『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)に出演した兼近は、MCの明石家さんまに「おしゃべりシーフード」というあだ名をつけていた。共演者である今田耕司は「シーフード兄なんてちょっと言えない」、麒麟の川島明は「よく壁ぶち破ったな」と兼近の失礼な言動に驚いて見せたが、さんま側から見れば、後輩が多少失礼でも物怖じせずに絡んでくることで、新鮮な笑いを生み出せるとあって、兼近を許さないわけはないだろう。

 一方、兼近はお笑いの世界に限らず、「甘え上手」ぶりを発揮しているようだ。7月16日放送の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)に出演した兼近は、歌手・大黒摩季と同郷であることから親しくなったことを明かしている。相方であるりんたろー。と3人のグループLINEもあるそうだが、りんたろー。いわく「兼近のことが可愛いのかな」と感じられる節もあるそうで、大黒が行きつけのレストランに兼近が訪れると、お店の人に「大黒さんからお会計もらっていますから、好きなものを頼んでください」と言われて、全額ご馳走になったといいうが、一方のりんたろー。は、「自分で会計した」そうだから、やはり兼近は可愛がられるのがうまいのだろう。

 さらに兼近は、「失礼な真似」と「甘え上手」を同時にこなすこともできるようである。同番組で兼近は「正直、オレが一番可愛がってほしい芸人は、浜田(雅功)さん」と甘えるが、「オレを可愛がらないのは、おかしい」と上から目線の失礼な言い方をすることも忘れない(そうでなければ、単なるおべんちゃらになってしまうからだろう)。兼近が、浜田に「自分を可愛がるべき」と主張するのにはワケがあり、誕生日が一緒、浜田の息子と兼近が同い年、浜田と兼近の父親の職業が一緒(ペンキ屋さん)と“運命”を強調したうえで、「こんな共通点あって、よく可愛がらないでいられるな」と、またも失礼な言い方をして浜田を笑わせていた。同番組に出演していた千鳥・ノブによると、「浜田さんは可愛がっている後輩を増やさない」そうだが、もし誰かを新規メンバーとして誘うなら、兼近のように笑いを伴ってアピールしてくる後輩のほうが、誘いやすいのではないだろうか。

 そんな兼近だが、「失礼な真似」「甘え上手」を使いこなす以外にも、芸能人としてプラスに働きそうな一面を持ち合わせている。『あちこちオードリー 〜春日の店、あ開いてますよ?〜』(テレビ東京)に出演した際、「テレビ見てたら、イライラするチャラ男コンビになりたかった」兼近が、りんたろー。に声をかけてコンビを結成したと明かしていたが、実際の兼近はチャラ男的要素が少ない。お酒をほとんど飲まず、飲み会があろうとなかろうと家には夜12時には帰ることにしているそうだ。その理由は「体調崩したら、相方とかマネージャーさんとか、いろんな準備した方に迷惑がかかるから」と真面目そのもの。

 また、『ダウンタウンDX』では、売れた今も芸人3人でルームシェアをしていると明かし、地に足のついた生活をしていることを感じさせた。さらに、人気者だけに、女性関係も派手そうな印象を受けるが、同番組でりんたろー。に「こいつ、女性経験が少ない」と言われていた。

 兼近の「実は真面目」という一面と、「目上の人に失礼な真似をしても、甘え上手ゆえに可愛がられる」一面が生むギャップは、人気のポイントになるのでないだろうか。特に「モテたほうが勝ち」という恋愛至上主義にうんざりしている今の若い人にとっては響くように思う。

 兼近の甘える力は完全に才能で、吉本のマッチと呼んでもいい気がする。そんな中、気になるニュースが飛び込んできた。「週刊フラッシュ」(光文社)に、兼近の父親が経営する工務店が、顧客とのリフォーム工事で裁判沙汰になっていると報じられたのだ。

 兼近の父親は、息子がテレビに出ていることや、バックにヤクザがいることをちらつかせていると記事には書かれている。真偽のほどはわからないが、芸能人が家族に足を引っ張られることがよくあるのは事実。そのあたりに気を付けて、才能を思う存分発揮し、芸能活動に邁進していただきたい。

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