JR東日本、高輪ゲートウェイ駅にロボット大集合! 実証実験を実演

JR東日本は27日、高輪ゲートウェイ駅で行うロボット実証実験にて実験予定のロボットを報道関係者らに公開した。同駅ではすでに清掃・警備ロボットやAIによる音声ガイドが導入されているが、2024年に予定されるまちびらきに向け、手荷物・軽食・飲料搬送ロボット、消毒作業ロボット、パーソナルモビリティの実験を行うという。

今回の報道公開では、まず手荷物運搬ロボットとパーソナルモビリティの実演が行われた。手荷物運搬ロボットは京浜東北・根岸線E233系1000番台をほうふつとさせるデザインで、前面に液晶ディスプレイが備えられ、広告を表示できる。背面の荷台に荷物を置き、ロボットから離れると自動でゆっくりと動き出し、目的地まで荷物を運ぶ。

パーソナルモビリティは立ち乗りタイプと車いすタイプの2種類がある。前者は誰でも乗りこなしやすい三輪車型の機体で、足場に乗り、ハンドルにつかまって構内を移動する。後者は座って移動するタイプだが、障害物を検知すると自動で減速・停止を行うなど、安全に配慮している。先行する別のロボットを自動で追いかけることもできる。

続いて軽食・飲料運搬ロボットの実演が行われた。軽食・飲料運搬ロボットは3種類あり、最初に人間の腕に似た形状の「SEED-Mover」がアイスコーヒーを運ぶ様子を実演。台にカップを置き、蓋をすると動き出し、自力でエレベーターに乗って3階の会議室(Gate03)へとコーヒーを届けた。なお、今回は実験段階のため、エレベーターのボタンは人の手により操作された。

山手線E235系を模したデザインの「DANDY AUTO-PILOT」も、飲み物や軽食を運ぶロボットとして導入される。軽食運搬ロボット「FREUTERA」(フルテラ)は、会議室内に入り、軽食を届けた。「FREUTERA」はキャビネットのように作られており、ロボットが到着すると利用者自身が商品を選び、取り出すしくみになっている。

最後に消毒作業ロボット3種類による実演が行われ、順番に手すりに消毒剤を噴霧しながら消毒作業を進めていった。最初に走行した「PATORO」(パトロ)は、無人警備・消毒ロボットとして導入され、表情と音声によるコミュニケーション機能も備える。正面の液晶画面に目を表示しているが、走行開始する際、歌舞伎風の表情になるというユニークな一面も見せた。

2番目に走行した「Whiz」(ウィズ)は、床清掃を目的とした乾式バキュームの清掃ロボット。清掃したいルートを事前に記憶させることにより、清掃ルートを作成することもできる。消毒作業の際は機体に向かって左側の細いノズルの向きを調節し、各部に消毒剤を噴霧する。

3番目の「CLINABO CL02」(クリナボシーエルゼロ2)は、吸塵型清掃ロボットとして導入される。機体に各種センサーが搭載され、周囲の情報を取得しつつ、建物内部の形状や清掃ルートを認識・記憶できる。3種類とも人間の歩行とほぼ同じ速度で、手すりに少しずつ、ていねいに消毒剤を吹き付けていく様子が印象的だった。

JR東日本技術イノベーション推進本部データストラテジー部門の佐藤勲部長は、今回の実証実験で挙げられたような最新のテクノロジーを駆使することにより、利用者が安心して利用できる駅づくりが求められていると説明した上で、「ここで実証実験した成果を早く社会に実導入していきたいと考えています」と前向きに話した。

今回のような運搬・清掃・消毒作業は、いずれも人の手だと労力がかかるものの、安心・安全のために必要不可欠な作業であり、「ロボットができる部分はロボットで行うことで、安心感を上げることと、仕事の効率向上の両面で実証実験を行っていくことが必要ではないか」と佐藤部長。今後、高輪ゲートウェイ駅で検証した上で、結果が得られ、かつ導入可能なロボットについては他の駅でも展開していくとのこと。最新のテクノロジーが今後の駅づくりにどう生かされるか、期待したい。

この日の報道公開で実演されたロボットは、いずれも駅構内の通常非公開のエリア・時間帯で実験を行っている。ただし、立ち乗りタイプのパーソナルモビリティに限り、9月6日まで開催中の「Takanawa Gateway Fest」で体験できる。（若林健矢）