大学入試で進むオンライン化 面接もオープンキャンパスも…東洋大、実践女子大、東京都市大などが導入

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2020年08月03日 08:00  AERA dot.

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写真実践女子大では職員と学生によるオンライン面談を実施。受験生の相談に個別で応じている(写真:実践女子大学提供)
実践女子大では職員と学生によるオンライン面談を実施。受験生の相談に個別で応じている(写真:実践女子大学提供)
 大学入試でもオンライン化が広まりを見せている。AERA 2020年8月3日号は、現場担当者から導入背景や受験生への思いなどを聞いた。

【写真】東洋大学の総合型選抜のWeb体験授業型入試で使われた動画の一場面

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 新型コロナウイルス感染予防対策で、来年の2021年度入試にオンラインを導入する大学が出始めている。文部科学省が6月に発表した「大学入学者選抜実施要項」でも、入試にオンラインの活用を推奨。7月現在では、明治大が文学部の自己推薦特別入試でオンライン口頭試問を採用した。麗澤大も総合型選抜で、面接やプレゼンテーションをオンライン上で行う。ICT環境が確保できない受験生には、Wi‐Fiルーターやノート型パソコンを貸し出す。

 実践女子大では、今年の4月下旬から検討を始めたという。学生総合支援センターの上原信幸副センター長は、経緯を次のように話す。

「3月のオープンキャンパスをオンラインにした時点で、入試の実施もリスクがあると考えた。自宅で受けることで新型コロナのリスクを軽減し、地方の受験生や保護者にも安心して受験してもらえるように配慮しました。教員からも受験生のためならば、と同意を得られました」

 オンラインで行うのは、総合型選抜I〜III期のうちのI期。1次選考で小論文を課し、エントリーシートや調査書などで総合的に判断し、パスすれば10月17・18日の2次のオンライン面接を受ける。全入試のうち、初回の総合型選抜I期でオンライン面接を実施し、緊急事態宣言が出たら、他の面接にも展開していく予定だ。

「オンライン面接は初めての経験。準備はしていますが、やってみないとわからないところもある。一番気を使ったのが、いかに不正を防止するか、アドミッションポリシーをオンライン入試にどう反映するか、この2点でした」(上原さん)

 不正防止として、受験生に誓約書を提出してもらう。当日は面接前に注意事項を確認。受験生は面接中、イヤホンで対応する。面接は録画することで不審な行動を抑止し、相互に納得できる入試を実施する。アドミッションポリシーを生かすために、面接の内容は学科ごとに定めた。グループディスカッションをしたり、模擬授業を事前に受けてリポートを書いたりするなど、学科の学びに即した入試を実施する予定だ。

 同大では在学生が中心となって、高校生を支援する「Jスタッフ」を組織し、5月20日から毎日交代し、オンラインで、受験生の個別相談に応じている。

「新型コロナの影響でさまざまなイベントが中止になり、大学の生の姿を発信することができなくなった。学生とも協力し、できるだけ受験生に情報を届けていきたい」(上原さん)

 新型コロナに、いち早く対応したのが東京都市大だ。文科省の通知を受け、7月8日に入試変更を発表。入試部入試センターの小澤亮賀課長は言う。

「入試変更は通常、入学センター運営会議や教授会などの会議体を経て承認されます。事前に変更パターンを数多く想定し、文科省の発表後、速やかに対応できるよう準備していました」

 6月下旬にはオンラインでオープンキャンパスを開催。1千人以上の受験生からアンケートをとったところ、情報がないことを不安に感じていることを実感したという。今回、東京都市大がオンラインで行うのは、学校推薦型選抜の面接だ。

「大学生ならパソコンを1人1台持っている前提で考えられますが、高校生は果たしてそれでいいのか、スマホで代用できるのかなど、学内でもいろいろと検討しました」(小澤さん)

 オンライン面接では、志望動機などをプレゼンテーションしてもらい、その後質疑応答。公募制は面接のほかに、事前に提出した小論文や、志望理由書、活動報告書などに基づいたプレゼンを行う。各学部が「オンラインで実施する特色ある入試」として、学部の学びが見えるようにしていく。詳細は8月中に発表の予定。

「本来であれば受験生をよく知るために、対面式で行いたいのが本音。しかし新型コロナがどうなるかわからない状況で、受験生の感染リスクを減らそうという思いもある」(同)

 ネット環境を整えられない受験生に配慮して、大学で受験することも可能とした。公平を期して大学で行う場合でもオンラインを使用。一般選抜の対策として、従来の学外試験場に加え新たにキャンパス近隣に試験場を増設し、受験生の密集化を避け、移動リスクを軽減する。

 ことオンラインの活用で先をいくのが、東洋大だ。13年には紙のパンフレットを廃止、すべてオンラインに変えた。5年ほど前からは各学部の模擬授業をネットに公開。現在は640本の授業を閲覧できる。東洋大の専任教員は約770人で、8割以上の教員の模擬授業をオンラインで体験できる。その狙いを、入試部の加藤建二部長は言う。

「この模擬授業は、教員が、なぜこの研究が必要なのか、高校生にも理解できるように作っています。大学の学びは高校生にはわかりにくいが、模擬授業を体験することで大学生になった自分をイメージできる。いわば、大学の究極の広報ツールです」

 昨年はこの模擬授業を利用して、「Web体験授業型入試」を7学部11学科(夜間部含む)で実施。やり方はこうだ。まず指定された授業を視聴。出された課題について解決法を調べて考察する。試験当日は、試験官と相対し自分の考えを発表する。オンラインのほかに、大学で対面で行うことも選べる。

「地域格差をなくしたかった。地方から上京すると費用もかかり、ホテルに泊まることで精神状態がいつもと違う。オンラインで行うことで公平な入試に近づくことができた」(加藤さん)

 近隣の学生は大学で受けることが多く、北海道の離島や沖縄など、交通の便が悪い地方の受験生がオンラインを利用。今後、緊急事態宣言が出た場合に備え、面接のオンライン化の準備も進めているという。

「オンライン入試は、実はかなり手間がかかります。一人ひとりの応答時間を設定し、事前の接続テストも必要です。ネットワークの不調や機器のトラブルで画面が映らなかったり、音声が聞こえなければやり直さなければならない。本学は外国にいる受験生にオンライン入試を行っておりノウハウがありますが、初めてやる大学は大変だと思います」(同)

 大学も手探りの状態だが、受験生もオンライン入試は初の体験。どんな点に気を付けたらいいのか。東京都市大の小澤さんは、「服装や態度は、基本的に対面式の面接と同じと考えて挑んでほしい」と、アドバイス。自宅にいると気も緩みがちだが、服装はきちんとしておこう。キョロキョロ視線を動かすのも、あらぬ疑いを掛けられることになりかねない。お茶を飲むのもNGだ。本番の状態を設定して家族や友達にテストしてもらい、映像の加減や音声が聞こえているか確認しておこう。

 東洋大の加藤さんは言う。

「(面接やプレゼンは)人物重視という点では就職試験に似ています。どういう経験をしてきて何をしたいのか。そのまま大学入試にもあてはまるのではないでしょうか」

 新型コロナの影響で、大学入試は学科から総合型、推薦型への移行が早まりそうだ。(ライター・柿崎明子)

※AERA 2020年8月3日号

このニュースに関するつぶやき

  • 良い面多くもあると思うけれど、ディジタルディバイドが気になるところ。パソコン持っているかというのもあるし、小論文などはタイピングスピードも問われる
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  • 大学も学生がいなけりゃ経営できないから、必死で募集してください。
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