駅に振られた「駅ナンバリング」 そもそも何の順番? 路線の増減で困りごとも発生!

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2020年08月03日 09:00  AERA dot.

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写真前面の行先表示器に行先(写真は中目黒行き)の駅名とともに駅ナンバリングを表示した、東京メトロ日比谷線の13000系(C)朝日新聞社
前面の行先表示器に行先(写真は中目黒行き)の駅名とともに駅ナンバリングを表示した、東京メトロ日比谷線の13000系(C)朝日新聞社
 21世紀に入ると、日本の鉄道の多くは訪日外国人にもわかりやすく案内することを目的に、駅ナンバリングが導入されている。主に路線記号と数字を組み合わせたもので、なかには苦悩がにじみ出たものもあるほか、新たな展開へ進んだケースもある。

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■日本初採用は横浜市交通局

 駅ナンバリングが初めて導入されたのは、横浜市営地下鉄だ。2002年のFIFAワールドカップの決勝戦が横浜国際総合競技場(現在はネーミングライツにより「日産スタジアム」と呼称)で開催されることに伴い、2002年4月15日から実施された。

 当時、路線はブルーラインのみで、西の湘南台から順に数字のみを振っていたが、2008年3月30日のグリーンライン開業に伴い、路線記号入りに変更された。

 ところが、ウィキペディアでは日本初の駅ナンバリングを長崎電気軌道と明記。それも「昭和末期」と断言している。同社に確認したところ、『ふりかえる二十年のあゆみ』という年史で、1983年の電停表示板には番号が振られているが、どの年に付番したのかという記録がないという。当時は「駅ナンバリング」という認識もなく、なんのために付番したのかも不明らしい。

 現在は駅ナンバリングと認識しているそうで、東から順に11から付番しているが、私は「日本初の駅ナンバリングは、公式記録が残り、目的がはっきりしている横浜市営地下鉄だ」と断言しよう。

■東京メトロと都営地下鉄の一斉導入以降、普及へ

 東京の地下鉄の大半を運営する営団地下鉄(帝都高速度交通営団)は、民営化により2004年4月1日から東京メトロ(東京地下鉄)として新たなスタートを切った。その目玉という位置づけなのか、都営地下鉄と共同で、地下鉄全路線全駅に駅ナンバリングを導入することになった。

 表示は「路線記号+ハイフン+数字」の組み合わせとなり、数字は西から順に振り、路線記号は原則としてローマ字の頭文字からとった。ただし、は行(H)、ま行(M)が重複する路線について、は行は日比谷線が「H」で半蔵門線が「Z」、ま行は丸ノ内線が「M」で都営三田線が「I」に落ち着いた。また、丸ノ内線分岐線の中野新橋〜方南町は小文字の「m」、都営大江戸線は「お」のローマ字「O」が数字のzeroに間違いやすいことから「E」とした。

 駅ナンバリングは同業他社も追随し、関西では大阪市営地下鉄(現・Osaka Metro)および、相互直通運転を行う北大阪急行電鉄、大阪港トランスポートシステム(2005年7月1日より大阪市営地下鉄に一元化)が最初に導入した。将来の新線建設に備えたこと、相互直通運転との兼ね合いから数字は11から振られている。また、英語自動放送でも「Station No.」と案内することで、訪日外国人客にもわかりやすいように配慮されている。これは関東地方にはなく、関西地方の特徴といえる。

 相互直通運転を行う北大阪急行電鉄、大阪港トランスポートシステムは10から順に下げることで一体感を醸し出す。ただし、ハイフンが省略され、関西地方ではこれが一般的となる。

 参考までにJRグループのうち、JR東日本とJR東海はハイフンのある関東方式、JR北海道はハイフンのない関西方式を採り入れている。全国の中小私鉄も含め、ハイフンの有無は各鉄道事業者の裁量にゆだねられているようだ。

■駅ナンバリングあれこれ

 駅ナンバリングが普及すると、路線記号の付け方、番号の振り方などで、さまざまな課題などに直面するようである。その数々を取り上げてみよう。

(1)路線記号のエピソード

●東武鉄道
 2012年3月17日のダイヤ改正で、駅ナンバリングを導入することとなった。このうち伊勢崎線浅草・押上〜東武動物公園に「東武スカイツリーライン」の路線愛称付与に伴い、同区間および亀戸線、大師線の路線記号を「TS」、東武動物公園以北を「TI」とした。

 なお、野田線の路線愛称「東武アーバンパークライン」は駅ナンバリング導入後の2014年4月1日に付与されたため、路線記号は現在も「TD」のままである(な行の路線が複数あるため、日光線は「N」、野田線は「D」にあてた)。

●新京成電鉄
 2014年2月23日に駅ナンバリングを導入する際、当初「Shin−Keisei」の頭文字「SK」を使う構想を立てていたが、すでに西武鉄道国分寺線で使われていたため、新京成線の「Shin」と「Line」の頭文字を組み合わせた「SL」に落ち着いた。

●JR西日本
 2014年度に関西と広島エリア、2016年春に岡山と福山エリアに路線記号のみを導入した。当時は一部の路線で新駅の検討や建設工事が行われていた関係で、ナンバリングを設定しなかったことが考えられるが、2018年3月17日のダイヤ改正で、東海道本線にJR総持寺駅、おおさか東線に衣摺加美北(きずりかみきた)駅が開業したことに伴い、駅ナンバリングを追加した。

●東京メトロ
 丸ノ内線の分岐線は当初「m」としていたが、本線(池袋〜荻窪)の「M」ともども「エム」なのでわかりにくい点があった。

 2016年、英語自動放送に駅ナンバリングを追加することになり、発音上の区別をつけるため、「Mb」(bはbranch line<支線>の頭文字)に変更された。

●JR東日本
 2016年10月から首都圏で駅ナンバリングを導入する際、主要乗換駅を対象にアルファベット3文字のスリーレターコードを初めて採り入れた。例えば山手線、京浜東北線、総武線が交わる秋葉原は「AKB」を表示する。

(2)ナンバリングのエピソード

●長崎電気軌道
 駅ナンバリング認識前の1998年5月、交通渋滞緩和対策として昭和町通電停付近の歩道橋が撤去された際、長崎駅前方面ホームが廃止されたため、残った赤迫(あかさこ)方面ホームのナンバリングを13から13A(Bは長崎駅前方面を指す)に変更した。

 代替として、千歳町電停を新設し、13を振ることで若葉町以西のナンバリング変更を避けた。また、42と49は縁起の悪い数字のせいか欠番である。

●南海電気鉄道
 2012年春に導入する際、二大幹線である南海本線と高野線(岸里玉出<きしのさとたまで>〜極楽橋)を分岐する路線については、「接続駅のナンバリング+α」とするかたちをとった。例えば、南海本線の和歌山市駅の駅ナンバリングは「NK45」。ここで分岐する和歌山港線の終点・和歌山港駅は「NK45−1」と表示する。

●東武鉄道、東京メトロ
 東武鉄道は2017年に鬼怒川線・東武ワールドスクウェア駅の開業に伴い、鬼怒川温泉〜新藤原の3駅の駅ナンバリングを1つずらした。

 また、東京メトロは2020年に日比谷線・虎ノ門ヒルズ駅の開業に伴い、日比谷線は霞ケ関〜北千住の16駅の駅ナンバリングを1つずつずらした。

■駅ナンバリングは車両にも波及

 駅ナンバリング最大の発展は、車両の行先表示器にも表示されるようになったことだ。その嚆矢(こうし)は東武鉄道の100系スペーシアで、2014年にフルカラーLED表示器に換装された際、停車駅の英字表記に併記されるかたちでスクロール表示された。

 2016年に登場した東京メトロ日比谷線の13000系では、行先の左側に駅ナンバリングを添えた。この方式は東急電鉄2020系などにも波及した。

 今後は駅や車両だけではなく、きっぷなどにも駅ナンバリングを表示するなど、より一層わかりやすくなるだろう。(文・岸田法眼)

取材協力/横浜市交通局・長崎電気軌道

岸田法眼(きしだ・ほうがん)/『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『論座』(朝日新聞社刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)がある。また、好角家でもある。引き続き旅や鉄道などを中心に著作を続ける。

このニュースに関するつぶやき

  • 一度決めた駅番号を変えるなんて大変よろしくない。地下鉄虎ノ門ビバリーヒルズ駅は「H22」にすべきだった。そうすれば他の駅の駅番号を変更する必要なかった。
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  • 日本語を覚えづらい外国人が助かるんだろ。ナンバリングが普及すれば、中韓のアナウンスや行先表記はなくしてほしい。電車に乗り込む際に、行先がハングルだとイラッとする。
    • イイネ!23
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