『私の家政夫ナギサさん』ドラマと原作漫画の違い 母娘の物語はどう昇華された?

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2020年08月04日 11:01  リアルサウンド

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 家政婦さんに来てもらいたいくらい忙しい! 多くの働く人にとって、家事と仕事の両立は永遠のテーマだろう。「家事は潔くアウトソーシング」と割り切る人も増えてきた中、四ツ原フリコのコミック『家政夫のナギサさん』が家政婦(夫)という職業にフォーカスする。


 本作は国内最大級の電子書籍サイト「コミックシーモア」発の漫画であり、現在放送中の多部未華子主演ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)の原作にもなっている。WEBコミックがTBS連続ドラマの原作となるのは初めての試みであり、「家政夫のナギサさん」は紙媒体を飛び越えて、文字通りの“実写化”となった。そんな『家政夫のナギサさん』の魅力に注目しつつ、ドラマ版との違いについても紐解いていきたい。


関連:【写真】ドラマ『私の家政夫ナギサさん』場面写真


 実は原作コミックとドラマ版は現時点で既に大きく異なる点があるのだ。ドラマで、メイの仕事のライバル兼恋人予備軍でもある田所優太(瀬戸康史)は原作にはいない。


 さらにはメイに言寄る医師や、気の利いたイケメンの後輩も登場しないのだ。コミック版での核となるのはメイと母親の確執であり、ナギサさんとメイの心の交流を描く中で、母娘の物語が浮き彫りとなる構成になっている。一方でドラマの方はラブコメとしても見応えのある内容に昇華されている。


 原作と現在放映中のドラマとは内容が大きく異なることから、どちらを先に観ても、新鮮な気持ちで楽しめるだろう。実は『家政夫のナギサさん』は「コミックシーモア」において全11巻で既に完結しているのだが、現在放送中のドラマの展開から見ると、原作とは異なる結末が用意されている可能性も感じられた。


 原作でのハートフルな展開も捨てがたいが、ドラマではまた違った『ナギサさん』を描くことで、メイと母の関係の落とし所を変えてくるアプローチでも面白いだろう。本作の読者がドラマを楽しむ際には、是非とも今後の展開を予想してみてほしい。


 さらに原作ならではのナギサさんの魅力が詰まったコミック版では、家族の温かさや「愛」がふんだんに描かれた。それは母性であり、仕事における愛であり、様々なかたちでメイに向けられている。ナギサさんがいるからこそメイは数々の困難に立ち向かい、乗り越えることができた。


 原作ではドラマ以上にスピード感を持ってナギサさんとメイの関係が深まっていくので、漫画を読む際にはその点においても注目してほしい。ドラマでは大森南朋演じる柔らかく優しい“ナギサさん”がお出迎えするが、コミックでのナギサさんはもう少し男性らしさが強調されており、厳しい表情をしている。


 印象の違う2つの作品からは、同じ題材でも受け取り手の感じ方が大きく変わってくるだろう。結末のネタばらしは避けるが、本作の描くテーマが「母性」であることに変わりないことだけは主張したい。究極のマザコン・メイが辿り着く先を楽しみにコミックを読んでほしいと感じた。


 ちょっと仕事に疲れた日、癒されたいと感じる日、ナギサさんの存在は多くの読者の心を包み込む。スマートホンから気軽に読める作品なので、ぜひ通勤時間などに手にとってみてはいかがだろうか。


(文=Nana Numoto)


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