阪神・大山の「大化け」は起用法次第? ドラフト時の“屈辱”から真の主砲へ…

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2020年08月05日 17:00  AERA dot.

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写真阪神・大山悠輔の覚醒は本物なのか? (c)朝日新聞社
阪神・大山悠輔の覚醒は本物なのか? (c)朝日新聞社
 阪神・大山悠輔がチームを牽引している。

 優勝候補と言われながら、開幕から調子に乗れなかった阪神。しかし評判通りのチーム力を発揮して順位を上げてきた。原動力は4番定着の大山であることに異論を挟むものはいないだろう。

【ファンが選んだ平成で最もカッコいいバッティングフォームはこの選手!】

『和製大砲』の覚醒はホンモノなのか?それとも……。

 7月の成績は打率2割9分9厘、8本塁打、20打点と主砲としての役割を完全にこなしている。

「驚くことはない」と語るのは阪神OB。

「身体も恵まれており(181センチ88キロ)アマチュア時代を知っているものならプロ入り時点から大きな期待をしていた。打撃練習を見ていてもスイングの強さや、飛距離は球界トップクラス。もっと早く出てきて欲しかったというのが本音やね」

 昨季は108試合で4番を務めるなど、143試合出場で14本塁打76打点。周囲の期待に少しずつ応え始め、打線の核にもなりつつあった。

 今年はオープン戦首位打者の打率.378をマークしていたが、新型コロナウイルスの影響でシーズンスタートが遅れ、その間に調子を落とした。開幕当初はジャスティン・ボーアやジェフリー・マルテに遅れをとった格好だった。

 16年ドラフト1巡目指名で、『背番号3』を与えられ、契約金や年俸などでも最高条件を提示されてのプロ入りだった。伝統球団として最上級のもてなしだったが、実はドラフト指名時に大きな事件も起こっている。

 09年から一般公開となったドラフト会場には、この年も各球団のファンが詰めかけたが、阪神が大山を指名した瞬間に大きなどよめきが起こり、中にはブーイングをする人間すらいた。

「阪神は投手力が弱く、事前に桜美林大・佐々木千隼(ロッテ1位指名)を公言していた。ファンも球団の強化方針に納得していた中での掌返し。またもや行き当たりばったりの指名だ、と呆れているファンもいた。我々マスコミ関係からも、驚きの声が上がったほどでした」

 在阪阪神担当記者が語るように、まさかのサプライズ。誰もが思いつきもしなかった野手の1位指名に場内はざわついた。

 大学時代のリーグ戦では通算98試合に出場、119安打16本塁打93打点を記録した。4年時の日米大学野球では日本代表の4番を任された実力者。1位指名でもおかしくない素材だが、取り巻く状況もファンの行動の一因になった。

「白鴎大学は野球関係者には強豪校として知られているが、よほどの野球好き以外には、その名前はまだ浸透していない。当初、指名を公言していた佐々木の桜美林は、附属高校が高校野球の名門としても知名度がある。大山のアマチュアでの実績は文句なしなのだが、出身大のネームバリューなどブーイングの一端になったのではないか。かわいそうでした」(在阪阪神担当記者)

 入団後に「指名されたとき、ええーっと言われた。それは忘れられない」と大山もコメントしているほど忘れられないトラウマだ。

 大卒1位指名に期待されるのは、即戦力として結果を残すことだ。

「最近の若者とは思えないくらい真面目。考え過ぎてしまうのが欠点で殻を破れない」

 球団関係者は人の良さがマイナスに感じることもあるという。

「1つ1つのプレーを引きずることがある。打撃の調子が良くない時などは、声のトーンも低くなる。俯き加減に歩いているようにもなる。調子が悪くても1軍に置いてもらい、それがプレッシャーという悪循環になっているような感じに見えた」

 印象的だったのが18年開幕直後のこと。大山は開幕戦で巨人のエース菅野智之から本塁打を放つなど、順調なスタートをきった。しかしそれ以降は三塁守備でミスを連発し打撃も下降線を辿った。

「ベンチに帰ってくるとグラブをはめたまま、しばらく守備のことを考えていた。気持ちの切り替えができなかった。ある試合ではチェンジ後ベンチに座ったままで、周囲に言われてネクストサークルに向かったこともあった」

 どの競技でもそうだが、性格的に多少クセがあるくらいの方が大成すると言われる。純粋で素直過ぎる大山の場合、多少は利己的になった方が良さそうだ。

「阪神の中心になれるかは首脳陣の使い方次第」

 阪神OBは今後の起用法が大山の未来を大きく左右すると語る。

「打撃が大好きで自信を持っている選手なので、結果が出ている間は気分良く野球に臨むことができる。今は調子が良いが必ず、打てない時期もやってくる。この時に我慢して使えるかどうか。4番を外さないで使い続ければ、大化けする可能性は大きい。経験が選手を育てるのは、巨人・岡本和真を見ればわかる。大山の場合、昨年の起用方法を見る限り、まだ信用されていないからどうなるか」

 巨人前監督・高橋由伸は、打てなくとも岡本を試合で起用した。在任中、チームは低迷したが現在首位を走るチームの4番は岡本。結果論になるが、高橋の眼力と忍耐力が育てたと言っても過言ではない。

「守備位置はどこでも良いから、4番だけは外さない。1試合を通じて4〜5打席は必ず打たせる。守備でミスをしても打って返せ、くらいの気持ちを持って起用し続ける。矢野燿大監督にできるかどうかやね」

 昨年にようにチーム状況が悪いからと言って4番を外しているようでは同じことの繰り返しだ。

「試合に出るのは賛成だが、悪影響を及ぼす危険性もある」

 大山を試合に出すため守備の基本陣形すら決まらなくなる、とは阪神担当記者。

「今は打線も打てているが、調子が落ちればどうしても1発の魅力がある外国人優先になる。大山は器用な選手で内外野すべてをこなせる。守備位置が重なった場合、普段やっていない外野などをやらせることにもなる。7月1日の試合では当時不調だったの近本光司の代わりに、公式戦初となる中堅の守備位置についた。オープン戦ではない、と阪神OB中心に批判が巻き起こったほど」

『センターライン』と呼ばれる守備の骨子を守らせたのは、確かに驚きであった。今後もこのようなスクランブルが起こりうるのだろうか。また、慣れない守備位置でミスした場合、性格的に打撃に影響が及ぶ可能性も考えられる。

 昨年9月16日DeNA戦、1イニング2発を含む6打数6安打3本塁打7打点。ハマった時の爆発力は魅力であり、打線の中心として賭けてみたいのは誰もが思うことだ。

 例年通り一時期の好調だけで終われば、これまで同様の起用方法になる。そして頂点を目指す阪神の戦い方にもブレが生じる。

 大山が覚醒したかはまだわからない。しかしそうならなければ「阪神の未来がない」というのも確か。打ち続け結果を残すしかない。その先には固定されたレギュラーポジションがあり、チームの戦い方も必然的に決まってくる。

このニュースに関するつぶやき

  • 大器の育成は指導者の我慢も大事ですから https://mixi.at/acZYfJK
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  • 1時期調子が落ちていたけど復調気配。OPS945は立派。このまま4番を外してはダメ。
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