コロナ禍で批判浴びるホスト業界、「クラスター経験したからこそ」現状とホストの“素顔”伝えたい

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2020年08月06日 06:30  ORICON NEWS

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写真歌舞伎町のホストたち
歌舞伎町のホストたち
 東京をはじめ、再び新型コロナウイルスの感染者が増加している昨今。報道などにより “夜の街関連”、なかでもホストクラブのクラスター発生に多くの批判が集まっている。だが一方で、「ホストが積極的に検査を受けたから、陽性者が明らかになった」という見方もある。新宿・歌舞伎町でホストクラブを経営し、コロナ対策にも尽力する手塚マキ氏は、現状をどう見るのか? 感染防止の知識はもちろん、これまでもホストたちに教養を身に着けさせるべく奮闘してきた手塚氏に、現状とホストたちの“素顔”を聞いた。

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■「クラスター発生を経験した業界として、現状を世間に伝えたい」

 ホストクラブ『スマッパ!グループ』会長であり、新宿区繁華街新型コロナ対策連絡会のメンバーでもある手塚マキ氏。世間からの厳しい目、「クラスターが発生しているホストクラブはいかがなものか」という指摘をどう受け止めているのか?

 「『クラスターが発生している』という指摘は、まさにおっしゃる通りです。僕らの想いとしては、クラスターが起こったことをどう真摯に受け止め、どう対処していくか、それに尽きます。僕の店でも徹底した感染対策を行ってきたのですが、ホストたちを店の中では管理できても、店外では管理できなかったところがある。店の外に出たら、居酒屋やカラオケで遊ぶホストも中にはいたようです。そういった状況では、批判を受けるのももっともなことだと思います」

 手塚氏が行ってきた感染対策は、店内や来店者のアルコール消毒、30分に一度の換気、ソーシャルディスタンスの確保など。ホストたちの検温はもちろん、少しでも具合が悪ければ出勤停止を命じ、感染予防の意識を高める啓蒙活動も行った。そこまで対策をしても陽性者が多く出た背景には、潜在的な感染者がいたことは前提ながら、彼らが積極的にPCR検査を受けたこともあるだろう。「ホストクラブという性質上、お客さんには連絡がつきやすい」こともあり、店内外の感染の可能性のある人を割り出しやすかったという。

 現在、手塚氏は感染研究所や厚労省の実地調査に協力している。クラスターが発生したことで、コロナの真相を確かめられる場所としてホストクラブは重要な検査地だからだ。

 「クラスター発生を経験した業界として、現状を世間に伝えたいと思っています。ですが、あまりに叩かれてしまうと、検査を受けることや調査に協力することに尻込みしてしまうホストも出てきてしまい、感染防止の対策を遅らせてしまうのではないかと。もちろん、ホストたちの軽率な行動は慎むべきですし、しっかり対策をしていない店には厳しく対応すべきだと思います」

 ホスト業界がとくに批判を浴びた理由には、実際にクラスターが発生したこと以外にも、もともとのホストの“イメージ”があるように思われる。「怖い」「悪い人ばかり」「客を騙して大金を得ている」…世間からそんな負のイメージを持たれているため、実際以上に取り巻く目は厳しいものになる。

 「一般社会でも良い人、悪い人がいるように、ホストも同じで色々な人がいる」と語る手塚氏は、コロナ禍に際し、感情で動きがちなホストたちを啓蒙すべく、作成した動画を閲覧させるなど、様々に活動してきた。「動画を通じて、健康や公衆衛生の大切さを教えてきました。未知のウイルスですし、目に見えないから不安になる。ですが、正しい情報があれば不安は少しでも払拭できると思うからです。専門家と共に対処法を考え、それを伝える。頭で理解できればパニックにはなりませんから」。

 手塚氏は、コロナに限らず、ホストの負のイメージを払しょくし、彼ら自身に教養を身につけさせようと奮闘してきた人でもある。本を読まないホストたちに、もっと読書をして“言葉”を知ってほしい。そんな思いから、2017年には歌舞伎町初の本屋『歌舞伎町ブックセンター』も開店させた。

 「本を読むと感情の幅が広がる。自分自身の思いに気づけるし、もちろん他人の想いにも気付けるようになる。お客さんがうれしいときに一緒に喜べて、悲しいときには一緒に泣ける。これは、ホストとしてとても大切な資質となるのです」

■「一人一人、そこに人間がいる」、歌会で詠まれた300首が“万葉集”に

 2年ほど前には、歌舞伎町ブックセンターで行われた歌人・小佐野彈の歌集『メタリック』発売記念イベントのワンコーナー『ホストとはじめる短歌入門』に参加。これをきっかけに、ホストたちによる出勤前の月一の歌会がスタートし、自粛期間中もZoomで続けられた。この歌会で詠まれた歌は2年間で実に900首。この7月には、そこから厳選された300首を収録した歌集『ホスト万葉集』(短歌研究社)が発売された。本書には、若手歌人の小佐野彈、野口あや子のほか、ベストセラー『サラダ記念日』の著者・俵万智も選歌・指南で参加している。

 「ホストというと、どうしても一括りに悪いイメージを抱かれがちですが、ホストだって政治家だって、良い人もいれば悪い人もいる。一人一人、そこに人間がいるということが想像されていいように思えます。いろんな人がいて、いろんな考え、思いがある。『ホスト万葉集』を読んでいただければ、様々な彼らの素顔も見えてくるのではないでしょうか」

 実際、驚くことにホストに短歌は合っていたという。

 「お酒の場では、複雑な会話よりも、短い単語、その行間、応酬を楽しむ部分がありますよね。だから、31文字という短い文字数の中で想いを伝えるのは、ホストたちにもある程度はできるだろうとは思っていたんです。でも実際は、想像以上にホストたちの歌がうまく、歌人の先生たちからも評価を得たことには驚きましたね(笑)。しかも、声に出したときに音の響きやリズムが良くて、韻が踏まれている歌まであった。ホストは文字を読むより、言葉を音として聞くような、聴覚認知に優れていると思いました」

 『ホスト万葉集』に収録された中から、印象的な歌についても語ってもらった。

 『最終日 LINE開いて 文字打てず 知りすぎた君に もう頼めない』

 「月末に売上を上げなきゃいけないホストの想いを詠んだものです。お客さんに営業しなければならない、来てほしい、ナンバー1になりたい。だがお金はお客さんが払うわけですから“お願い”なんですよ。でも知りすぎているからこそ、不躾なお願いはできない。売上だけを考えているわけではないホストの心情がわかって、これは僕もすごくいい歌だと思いました」

 『見つめ合い あ、これダメだね 照れ笑い カラダは離すも ココロは密で』

 「コロナ禍の今だからこそ、詠まれた歌ですね。あと数ヵ月もしたら、体を離すのは当たり前すぎて、意識することではなくなるかもしれない。体に染み付いた、距離を近づけてしまう感覚が残っている今ならではの心情。その時代や瞬間を切り取れるのも、短歌の魅力かもしれません」

 原因はあるにせよ、コロナ禍で批判を集め、厳しい立場に立っているホスト業界。だが、これらの歌から見えるように、そこには一人一人、生きている人間がいる。それを知ることで、また違う景色が見えてくるのではないだろうか。

(文:衣輪晋一)

手塚マキ氏プロフィール
1977年、埼玉県生まれ。96年から歌舞伎町で働き始め、ナンバーワンホストを経て26歳で起業。現在は歌舞伎町でホストクラブ、BAR、飲食店、美容室など十数軒を構える『Smappa! Group』(https://www.smappa.net/)会長。歌舞伎町商店街振興組合常任理事。ホストのボランティア団体『夜鳥の界』を仲間と立ち上げ、深夜の街頭清掃活動を行う。17年に歌舞伎町初の書店『歌舞伎町ブックセンター』をオープン。18年には接客業で培ったおもてなし精神を軸に介護事業もスタート。近著『裏・読書』。

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  • 入院した中等症以上のホストが、回復期に看護師さんに「ラーメン買ってこい!」とか言っている話を聞いて、ホストを軽蔑するようになった!
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