「エコバッグ万引き」女の厚かましすぎる犯行! スーパーのポリ袋も丸ごと盗み「レジ袋として使おうと思って」!?

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2020年08月08日 19:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

 こんにちは、保安員の澄江です。

 レジ袋が有料化されて以降、被疑者と遭遇しない日は減少して、現場に出れば捕捉がある日々が続いています。事務所で話を聞けば、新型コロナウイルスの影響により失業したと話される方が目立ち、会社の寮を出されてホームレス状態になってしまった方までおられました。まだ若く、働き盛りと言える方々が、職はおろか寝床まで失い、さらには食うに困って万引きしてしまい、警察の世話になる。そんな現実が重く、自分に何かできることはないかと、日々考えさせられています。結局は、お金で解決する以外の方法は思いつかず、その原資を持たない自分の無力さを痛感して、情けなく思うこともありました。SNSなどで、お金をプレゼントしているZOZO創業者の前澤友作さんや、元「青汁王子」こと三崎優太さんのような方々が、社会に追い込まれて万引きしてしまう人たちに目を向けていただけたら、少しは救えるのかもしれません。その一方、少しでも得をしたいと考える卑しき人の犯行は相変わらず頻発しており、あまりの図々しさに呆れることばかりです。今回は、とある女性の厚かましすぎる犯行について、お話ししたいと思います。

 当日の現場は、関東郊外のベッドタウンに位置するスーパーマーケットA。郊外店舗にありがちな無駄に広い売場と広大な駐車場を有する店舗で、古くから導入いただいている馴染み深い現場です。周辺にライバル店がないため、立地を問わず来客の絶えない人気店となっており、この日も梅雨空にかかわらず、多くのお客さんが来店されました。お客さんの多い店では、入店の様子をチェックすることで不審者を割り出し、その行動を見守るのが私の常套手段。この日も、メインの入口が見渡せる位置に陣取ってアンテナを張り巡らせていると、入店と同時に、カートにのせたカゴの上に、大きな袋を広げた女が目に止まりました。貧しく、不幸な女性の役を演じる際の女優・もたいまさこさんのような、どんよりとした雰囲気を持つ40代と思しき女です。

 その様子を見守れば、レタス売場に直行した女は、備え付けのロールから1枚ずつ切り取る形で、大量のポリ袋をカゴに放り込みました。そして、最後に手にした1枚を大きく広げると、ポリバケツに捨てられているレタスの外葉を、詰め放題チャレンジのような勢いで詰め始めます。人着を覚えるために容姿の細部を確認すれば、昭和感漂う茶系のジャケットは秋冬物で、現在の季節に合うものではありません。一つに結わかれたポニーテールは、汗をかいているためなのか脂気強く縮れていて、なかなかの不潔感が漂っていました。髪を束ねるゴムにも毛玉が溢れており、使い古された感じが伝わってきます。

(まだ若いけど、ホームレスの人なのかしら?)

 レタスの外葉を詰め終えた女は、それを持参の袋に入れると歩き始めて、次に精肉売場で足を止めました。そこでいくつかの牛脂をわしづかみにしてポリ袋に詰めると、自分の袋に投げ入れて、総菜売場へと向かって歩いていきます。そこでさらに備え付けのしょうゆとわさびを、同じようにポリ袋に詰めて自分の袋に入れた女は、次に商品であるサラダや総菜、おにぎり、サンドウィッチ、菓子パン、お弁当などを手にして、それも一つずつポリ袋に入れてから自分の袋に入れました。いわば堂々と、エコバッグに商品を隠している状況と言え、あまりの大胆さに我が目を疑う気持ちになったことは言うまでもありません。持参の袋を大きく膨らませて満足したらしい女は、わざわざサッカー台に立ち寄って財布を取り出し、あたかも精算済ませたと言わんばかりの演技を披露しています。最後に、サッカー台に備え付けられたポリ袋のロールを、設置台から丸ごと抜き取って自分の袋に入れた女は、出入口に設置されたアルコールをたっぷりと手に振りかけてから外に出ました。どうやら、ただで使えるモノは、余分に利用しなければ気が済まない人のようです。つけすぎたアルコールを振り払いながら、平然と店を出ていく女の後方から、そっと声をかけました。

「こんにちは、お店の者です。そのバッグの中、全部お支払いいただかないと……」
「いえ、違うんです。いま、財布を取りに出ただけで……」

 女の手元を見れば、手垢で薄汚れた薄いピンクの折り畳み財布が、しっかりと握られています。

「お財布は、手にお持ちのようですけど、どちらまで取りに行かれるんでしょうか?」
「あ、いえ、そうじゃなくて、銀行に行こうかと……」

 しどろもどろになった女の袖口を掴んで、否認するなら警察を呼ぶと伝えると、途端に狼狽した女は財布から1万円札を取り出して押し付けてきました。

「お釣りはいらないので、これで許してください! 次はないって、こないだ言われたばかりなんです!」
「ええっつ? ちょっと前にも捕まったってことですか?」
「はい! だから本当に困るんです。これで許してください!」

 虚実が交錯する話にウンザリさせられながらも、お支払いと謝罪は店長にしてくれるよう進言します。爪先を立てて、歩きたがらない女の背中を強めに押して事務所に連行して、お決まりのパイプ椅子に座らせて盗んだ商品を出させると、計11点、合計2,600円ほどの商品が出てきました。身分を確認させてもらえば、小さな会社の事務員だという彼女は42歳で、この店の近くに家族4人(父母弟)で暮らしているとのこと。店長に報告するため、被害にはならないレタスの外葉やポリ袋、醤油、わさび、牛脂なども出していただくと、その量に驚かれた店長が顔色を変えて言いました。

「これは、ひどいな。何も買ってないみたいだし、何しに来たの?」
「ごめんなさい! もうしませんし、二度と来ませんから、これで許してください」
「ポリ袋は、何に使うの? こんなにたくさん、使い道ないでしょ? これだって、安くないんだよ。お店はね、あんたと違って、全部お金払って仕入れているの。わかる?」
「ごめんなさい、レジ袋の代わりに使おうと思っていました。これで許してください! お釣りは要りませんから!」

 その場に土下座をして、両手で1万円札を献上する女を一瞥した店長は、すぐに警察を呼びました。臨場した警察官が、まもなくして女の犯歴照会をかけると、直近に扱いがあったことが判明。俳優の中野英雄さんに似た顔馴染みの班長が、その結果を幹部室に電話で知らせて、女の扱いをどうするか相談しています。

「今日は、3階になっちゃいますけど、お付き合いいただけますよね?」

 ここの警察署の3階は、刑事課。すなわち、女が逮捕されることを意味しており、警察署に同行することを求められます。相当な時間がかかりますが、お店が被害届を出される以上は、警察に協力しないわけにいきません。

「はい、大丈夫です。それも仕事ですので」
「では、実況見分からお願いします」

 商品の位置や見ていた場所など、店内で実況見分を進めていると、2キロの米を手にした40代と思しき男性が目につきました。そのまま何気なく見ていると、手にある米をバッグに隠して出口に向かって行くので、そばにいた警察官に報告します。

「あの人、お米をバッグに隠していました」
「なんだって!?」

 外に出ようとする男を呼び止めた警察官が、バッグの中身を強制的に確認すると、当たり前にお米が出てきました。警察官に腰元を掴まれながら、事務所に連れて行かれた男は42歳で、所持金は500円ほど。アパートで独り暮らしをしているそうで、商品代金を立て替えてくれる人や、迎えに来てくれる人はいないと話しています。班長さんに、盗んだ理由を尋ねられた男は、切羽詰まったような顔で言いました。

「派遣社員をやっていたんですけど、コロナで仕事がなくなって切られちゃって……。とりあえず米だけあれば生きていけるかなって思ったんです」

 最近は、コロナ不況やレジ袋の有料化に関係する事案が増え、普段は万引きしないような人が万引きしなきゃいけない状況に陥っているような事案が散見されます。彼の境遇に同情したらしい店長は、初犯だったこともあって、今回は被害届を出さないと話していました。しかし、警察官が声をかけた以上、事件化しないといけないということになり、事態は一転。結局、その夜は、2件分の書類を作成して、深夜すぎの帰宅となります。

「この人、おれと同い年ですよ。コロナさえなければ、こんな風になってないでしょう?」
(この人の話に、嘘がなければね)

 米泥棒に同情するお人好しの店長を前に、すっかり他人を信用できなくなっている自分の本音に接して、我が身の汚れ具合を再認識した次第です。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)

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  • 万引きを前澤のせいにするのは筋違い。初犯の時点で二度と万引きできないように両腕を切断してあげればいいだけ。
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