懐かしい「豆本」なぞなぞ…子どもたちを夢中にした「遊べるキーホルダー」観光地みやげから、たまごっちへ

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2020年08月10日 07:00  ウィズニュース

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写真「豆本」と呼ばれる懐かしいキーホルダー
「豆本」と呼ばれる懐かしいキーホルダー

 バブル〜平成初期に、全国の観光地で売られていた懐かしい「ファンシー絵みやげ」を集める「平成文化研究家」山下メロさん。今はもうほとんど売られていないこの「文化遺産」を、保護する活動をしています。なぜ当時の子どもたちが「ファンシー絵みやげ」に夢中になったのか、そこには子どものニーズを捉えた商品展開があったのです。キーホルダー型の豆本やバズルなど、懐かしい商品を山下さんに解説してもらいました。

【画像】なぞなぞ「豆本」やおみくじ、温度計やパズル、銀玉まで…懐かしい「遊べるキーホルダー」の数々

「ファンシー絵みやげ」とは?
 「ファンシー絵みやげ」とは、1980年代から1990年代かけて日本中の観光地で売られていた子ども向け雑貨みやげの総称です。地名やキャラクターのセリフをローマ字で記し、人間も動物も二頭身のデフォルメのイラストで描かれているのが特徴です。

 バブル時代がピークで、新しい商品を「出せば売れる」と言われたほど、修学旅行の子どもたちを中心に買われていきました。バブル崩壊とともに段々と姿を消し、今では探してもなかなか見つからない絶滅危惧種となっています。

 しかし、限定的な期間で作られていたからこそ、当時の時代の空気感を色濃く残した「文化遺産」でもあります。私はファンシー絵みやげの実態を調査し、その生存個体を「保護」するため、全国を飛び回っているのです。

「出しゃ売れた」時代、売れない理由考える方が非効率
 その販売期間にバブル時代をまるまる内包するファンシー絵みやげは、国内観光の隆盛とともに大量生産されました。当時の土産メーカーの方に話を聞けば「出しゃ売れた」と言われることが多く、毎年来る常連さんを飽きさせないようにと、どんどん新しいアイテムや新しいデザインを発売していたそうです。

 それだけ景気が良くても、中には人気が出ずに売れ残るものもあったそうですが、売れなかった理由を考える暇があったら、また新作を売り出したほうが効率的だったと聞きます。「出しゃ売れる」という状態では、冷静に市場を分析しても上手くいかないことが多く、だったらどんどんトライしたほうが利益を生んだのかもしれません。

 とはいえ、まったくターゲットである子どもたちの需要を無視しているわけではないのです。モータースポーツのイラストや、英字新聞デザイン、ビックリマン風ホログラムなど色々な流行が取り入れられていることからもそれは分かります。

 中でも特にマーケティングがされていると感じるのが、学校に持ち込める工夫がされているファンシー絵みやげです。

キーホルダーが人気だった理由
 ファンシー絵みやげで最大の種類が存在するのがキーホルダーです。

 キーホルダーは和製英語ですが、基本的にはその名の通り鍵につける目的です。しかし、当時「かぎっ子」などと呼ばれた家のカギを持つ子どもに限らず、キーホルダーは使われていました。

 その使い方は、ランドセルにつけることです。

 「勉強に必要のないものは持ってこないこと」と指導する学校も多いですが、ランドセルの側面にはフックが付いており、そこにキーホルダーを1つや2つ付けることは多くの学校で許されていたようです。

 観光地のお土産、中でも自分用に買うものは、その土地へ行ったことの証拠という意味が強くあります。かつては地名の書かれた観光ペナントを買って持ち帰り、部屋に飾るという文化もありました。ペナントでも「これだけの土地を制覇した」という証拠になり得るのですが、部屋に来た人にしか自慢できないという難点があります。

 しかし、それを克服したのがキーホルダーです。夏休みの登校日に、地名の入ったキーホルダーをランドセルに付けて学校へ行けば、さりげなく「〇〇へ連れて行ってもらった」という自慢ができたのです。

 これが、キーホルダーの種類がひときわ多い理由の一つです。

「勉強に必要ない」と言っても…
 キーホルダーが勉強に必要ないといっても、観光地と深く結びついたお土産だからこその解釈もできるのが面白いところです。

 たとえば、史跡などに出かけて「白虎隊」や「新選組」と書かれたキーホルダーを買って付ければ日本史に、文学の舞台で「伊豆の踊子」や「坊っちゃん」と書かれたキーホルダーを買って付ければ国語に、関係あると言えるかもしれません。地名が入っていればぜんぶ地理だと主張もできるでしょう。

 しかし、そんなキーホルダーを作っているのは、学校指定の業者ではありません。白虎隊が恋愛に夢中になっているイラストなど、史実に関係なく子どもが喜ぶように翻案した商品を作ってしまう土産メーカーです。

 キーホルダーが堂々と学校に持ち込めることを逆手にとって、さまざまなアイテムを「キーホルダー化」していったのです。勉強に必要ないけど、子どもが学校に持ち込みたいの……、それは授業中や休み時間に遊ぶ玩具やゲームです。

「キーホルダー化」していったおもちゃたち
 ではどんな商品が生まれたのか、懐かしいキーホルダーのおもちゃを紹介していきます。

◆占い・おみくじ系
 1979年に雑誌『My Birthday』が創刊されるなど、ファンシー絵みやげが多く作られた80年代は占いブームでした。そんな中、占いができるキーホルダーというものがいくつかありました。おみくじタイプのものやルーレットタイプのものがあります。

◆なぞなぞなどの「豆本」
 さらに「豆本」と呼ばれる小さい本のキーホルダーも流行しました。中でも実際に休み時間に遊べるのは「なぞなぞチェック100」というキーホルダー。こちらはロングヒット商品で、2020年現在でも販売されています。

◆あみだくじ
 テレビ番組「おれたちひょうきん族」のアミダババアなどが流行しました。

◆パズル
 他にも、パズルができるキーホルダーも登場しました。ジグソーパズルを持ち歩くと紛失してしまうので、ピースをスライドさせるタイプの絵合わせパズルになっています。

◆銀玉を使ったゲーム
 銀玉をゴールまで運ぶ迷路や、キャラクターをはじくジャンピングゲームのキーホルダーが思い出深い人も多いのではないでしょうか。

◆ルーレットタイプの応用
 ルーレットタイプでも、漫画の最後のコマが変化するようになっていたり、点数を稼ぐようなゲーム性を持たせていたりと、子どもが喜びそうな仕掛けが工夫されています。

◆温度計
 温度で色が変化する液晶印刷技術を用いたフィルム状の温度計や、体温チェックなども流行しました。中でも人気だったのは、このラブチェックカードです。2人で両端を押さえて、ハートが同じ色になると「アツアツ」ということが分かるのです。


 もちろんこれらは、授業中に遊んでるのがバレて、休み時間以外に使用禁止になったり、遊び過ぎて持ち込み禁止になったり、学校によって色々と対策されました。それでも土産メーカーは子どもが欲しがるアイディアを次々と商品化しましたので、ある意味で観光地と小学校でいたちごっこが繰り広げられたとも言えます。

キーホルダーからストラップへ
 その後、バブルが崩壊し、だんだんとファンシー絵みやげの時代が終わります。1990年代末期には携帯電話の普及ともに、観光地みやげの主力商品もキーホルダーからケータイストラップへと変わっていきました。携帯電話を持ちはじめ、流行を作り出していた高校生が主役の時代です。

 90年代後半、観光地ではストラップにその座を明け渡したキーホルダーも、玩具業界において躍進しました。ビデオゲームの名作パズルゲーム「テトリス」を小型化したキーホルダーや、バンダイの「たまごっち」などデジタルペットを育てるキーチェーンがヒットしたのです。「遊べるキーホルダー」の分野を、小型化・低価格化を実現したデジタルゲームが牽引し、独自の進化を遂げていきました。

 遊びといえば、ファミコンなどのデジタルゲームがあった時代ですが、学校で隠れて遊ぶキーホルダーのアナログなゲームは、たとえ単純な子供だましであっても、背徳感も含めて子どもたちを夢中にさせました。

 ファンシー絵みやげが活躍したのは観光地、そして学校です。当時子どもだった人は、誰かのファンシー絵みやげで一度は遊んだ経験があることでしょう。

 「出しゃ売れた」

 そんな好景気の中でも、「学校で遊びたい」という子どもの願いに寄り添い、気持ちを汲みとり、その需要を読み取って作られた商品があるのです。

   ◇

【山下メロの「ファンシー絵みやげ」紀行】
 山下メロさんが「ファンシー絵みやげ」を保護する旅はまだまだ続きます。withnewsでは原則隔週月曜日、山下さんのルポを配信していきます。

このニュースに関するつぶやき

  • あぁ懐かしい。私も集めてたなー
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  • 写真の「なぞなぞチェック100」は全く同じもの持ってたexclamation確かに学校持っていってた(笑)
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