田中、弘中コンビに松本まりかも参戦… 芸能界で勃発した「あざとかわいい」ポジションの争奪戦

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2020年08月10日 11:30  AERA dot.

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写真左から田中みな実、弘中綾香アナ(C)朝日新聞社
左から田中みな実、弘中綾香アナ(C)朝日新聞社
 あざとかわいい、という最近の流行語がある。昔の「ぶりっこ」のニューバージョンといったところだろうか。実際、当時のぶりっこブームを知る男・秋元康も日向坂46に「アザトカワイイ」という作品を書き、7月末からローソンのCMソングとして使用されている。

【写真】女優・松本まりかの“あざとかわいい”ショット

 また「あざとくて何が悪いの?」(テレビ朝日系)という番組も好調だ。すでに3度のパイロット版が作られ、10月からのレギュラー化が決まった。「山里亮太×田中みな実×弘中綾香の3人が“あざとさ”について語り尽くす!」(公式HPより)という趣向のバラエティーである。

 田中・弘中といえば、あざとかわいい女子アナのツートップ。そんなふたりを、パイロット版第3弾(7月25日放送)であぜんとさせたのが、女優・松本まりかのインスタライブだった。

 2本紹介されたうち、1本は息づかいのみの無言で10分間じらしたあげく「満月、見る?」とささやくというもの。もう1本は配信ボタンを間違って押してしまったとして2分間くらいやめるかどうか戸惑いながら「ちょっとだけ話そっか」と始めるというものだ。

 スタジオでは「なんかのぞき見しちゃってるみたいな」(弘中)「そういう気持ちにさせてるの?こっちを」(山里)といった感想が出たが、本人にそのつもりはないらしい。無言や戸惑いは「(しゃべることが)すごい恥ずかしい」からだという。それでも、インスタライブをやる理由がまた、あざとかわいいものだった。

「つながってみたい。さびしさの埋め合い?」

 そんな松本は芸歴20年の35歳。ここ数年は「ホリデイラブ」(2018年・テレビ朝日系)で不倫をする主婦を演じたり、ソフトバンクのCM(19年)で「白戸家」のお父さん犬を手玉にとったりと、独特の甘えた猫なで声を生かした怪演ぶりでプチブレークしている。

 今期の連ドラでも、レギュラー出演作が2本。「妖怪シェアハウス」(テレビ朝日系)と「竜の道 二つの顔の復讐者」(フジテレビ系)だ。このうち、前者では怪談で有名なお岩(現世での名は四谷伊和)役で準主演。妖怪仲間の座敷わらしいわく「伊和ちゃんの誘惑には誰も勝てないわよ」という魔性の女キャラでもある。

 また、腫れた片目を眼帯で隠しているところが「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系)で田中みな実が演じた役ともダブる。男女それぞれの色っぽさをいうことわざに「目病み女と風邪ひき男」というものがあるが、あざとかわいい女性にはこういう狙った演出も似合うのだ。

 しかし、そもそも、あざとさとは何だろう。その定義はむずかしい。たとえば、前出のツートップを比べても、そこには違いがあるからだ。

「あざとくて何が悪いの?」ではオリジナルソング「あざとい夜はもう来ない? feat. ジュリ」も作られ、7月25日の放送でも紹介された。見どころは、田中・弘中によるあざとかわいいダンスだ。

 ただ、最近はフリーアナというより、何でもありのタレントと化している田中のそれはやや過剰というか盛り過ぎというか、かわいさよりあざとさが勝ってしまっている印象。これに対し、弘中のそれには局アナとしての照れが感じられる。そこが自然なかわいさにも見えるが、深読みするならよけいにあざといともいえるわけだ。

 そういえば、その2日後の「痛快TV スカッとジャパン」(フジテレビ系)では小林麻耶と竹内由恵がミニドラマで共演していた。小林は田中と同じ元TBS。竹内は弘中のいるテレ朝からフリーになった人だ。

 物語的には、超ぶりっこの先輩OLが自然体の後輩OLにも同じ営業方法を押しつけ指導するものの、逆に大失敗して客にやりこめられるという内容。もはやお家芸というべき小林のぶりっこがバラエティー的な「ネタ」として重宝されていることがよくわかる。

 そう、ぶりっこもあざとかわいいも突き詰めすぎると笑いの「ネタ」でしかなくなるのだ。だからこそ、松田聖子は春やすこ・けいこによって漫才のネタにされたし「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)で中居正広がやったコント「計算マコちゃん」もウケた。

 ネタとして消費されるレベルのあざとさには誰も引っかからないし、そうなった時点でもう、あざとくないともいえる。だとしたら、最近の松本まりかもビミョーなところだろう。

 ちなみに現在、松本が14年前に出たNHKの朝ドラ「純情きらり」が再放送中だ。彼女は宮崎あおい扮するヒロインの親友役で登場、ヒロインの幼なじみである美男子に恋をしたりする。その仲立ちをヒロインに頼んだりするものの、振り向いてはもらえない。やがて、ヒロインも幼なじみを好きになり、結ばれるというありがちな展開だ。

 それが違和感なく進行するのは、宮崎の圧倒的なヒロイン性によるところが大きい。幼なじみに対する言動やしぐさが、本人が意識しているかどうかにかかわらず、いかにも効果的なのだ。

 このドラマに限らず、宮崎はヒロインとしてのオーラがいつもすごい。たとえば、6年前からやっているはごろもフーズのCM。彼女は「シーチキン食堂」のマドンナ的な女将役として料理を出したり、地元のバンドと一緒に歌ったりする。そこで男たちに「うまい」とか「愛しい」とか言わせずにおかない圧が段違いなのである。こうした天然に限りなく近い「あざとかわいい」こそ本物なのではないか。

 ただ、これほどの人でも完璧ではない。私生活での高岡蒼佑との結婚、離婚、そして、不倫旅行も報じられた岡田准一との再婚だ。天性のかわいさの持ち主とはいっても、イケメンを次々と落とすのはあざとさの露呈につながり、女性の一部からは確実に嫌われる。

 これと対照的なのが、同学年でもある蒼井優だろう。子役出身の宮崎ほど早くはなかったが、こちらも中学時代にデビューし、実力派美人女優というポジションに君臨してきた。と同時に「恋多き女」として、役者やミュージシャンとも浮名を流してきたものだ。

 しかし、昨年、結婚相手に選んだのは、ブサイク芸人の山里亮太。これにより、誰からも嫌われない好位置を今もキープし続けている。もしかしたら、いちばんあざといのは蒼井のような人なのかもしれない。

 そんな女優を妻にした山里がこの「あざとくて何が悪いの?」を仕切っているのも興味深いところだ。そして、彼は番組のレギュラー化にあたり、こんなコメントをしている。

「僕は今後、勢ぞろいした“あざとオールスター”に奪い合われたい(笑)。そういう夢をもっている男の人って実は多いと思うんですよ。『あの技を実際に食らってみたい!』みたいな(笑)」

 どうやら蒼井にも、山里しか知らない「あざとい技」がありそうだ。

 ただ、最後に個人的な好みをいうなら、完璧にあざといより、ちょっと抜けたところもある女性がいい。また、最近の田中みな実のように、需要に応えようとしすぎて無理している感じなのもせつなくて愛しい。なお、この番組ではあざとかわいい男子の代表として千葉雄大も出演している。このジャンル(?)の魔力は性別を問わず、世の中を侵食しつつあるようだ。
 
●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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