耐え忍ぶ春を乗り越えて…帰ってきた阪神・盒桐攷佑痢伐己屬掘

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2020年08月11日 12:04  ベースボールキング

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ベースボールキング

写真今季初登板で勝利を挙げた阪神・盒桐攷 (C) Kyodo News
今季初登板で勝利を挙げた阪神・盒桐攷 (C) Kyodo News
◆ 3タテ危機を救ったヒーロー

 その存在の大きさ、何よりチームにもたらす勢いの強さを感じるカムバックだった。

 8月6日の巨人戦(甲子園)。今季初登板した阪神タイガース・高橋遥人のパフォーマンスは対戦相手、そして見る者も圧倒した。

 序盤から奪三振ショーを披露し、5回までに自己最多を更新する11個の“K”を量産。最速150キロを計測した直球はもちろんのこと、途中まで直球の軌道で「ピッチトンネル」を通過するため、打者には判別のしづらいカットボールとツーシームが冴えわたる。どれも勝負球にできる質の高いボールを織りまぜ、強力打線を沈黙させた。

 前日までの2戦は良いところなく、本拠地での同一カード3連敗の危機にあった猛虎。そんなチームを救う快投になった。


◆ 「借りを返す」ために

 「こういう早い段階で矢野監督に上げてもらって。ずっと期待していただいたので、まずケガで離脱っていうので申し訳なかったですけど、絶対抑えるぞと思って行った」

 24歳にとっては、“借りを返す”という気持ちが強かったのかもしれない。

 プロ2年目の昨年は、シーズン途中からローテーションに定着して18試合に先発。3勝9敗と黒星は先行したものの、一軍で多くの経験を積み、今季は左の柱として矢野燿大監督の期待も大きかった。

 しかし、3年目にして初めて参加した沖縄での一軍キャンプも完走し、開幕へ準備を整えていたところで、新型コロナウイルスの感染拡大によってチームは活動休止に。限られた環境でのトレーニングを強いられ、そこで調整に狂いが生じたのか、全体練習が再開された5月下旬にはコンディション不良を抱えていることが明らかになった。


 高い潜在能力を秘める一方で、今のところ、背番号29には“故障”の2文字がつきまとう。

 プロ1年目の2018年も、夏を前にして左肘痛を発症。長期の戦線離脱を余儀なくされ、そのシーズンは結局、1度もマウンドに上がることができなかった。

 投げられない辛さ、戦力に加われないもどかしさは3年目の若武者にとって大きな試練でも、同時にマウンドで力を振り絞るエネルギーになることにも気付けた。


◆ 支えてくれた人たちのために

 111球、8回を投げ切った後、力を込めたのは周囲への感謝だった。

 「1年目も3年目も、期待してもらってる中でケガして。申し訳ないっていうのがすごくあったんですけど、切り替えて鳴尾浜でいろんな人、トレーナーさんにもすごいお世話になったので。そういった人のために今日は思い切って行きました」


 1年目のリハビリでは「もうダメだ」「もう無理だ」と下を向いて弱音を吐き、ノースロー期間中にも関わらずボールを持ちだして周囲を慌てさせた。痛む左肘を「この野郎、この野郎!」と叩いたこともあった。

 そんな時、隣で励まし、時に叱咤してくれたのが、付き添ってくれたトレーナー、そして、脳腫瘍からの復活を目指していた横田慎太郎であり、左肩を手術した横山雄哉だった。再びグラウンドへ──。それぞれの歩みで、同じ場所を目指すチームメートにも刺激をもらい、投げられる喜びを実感した。


 「1試合、1試合ですけど、しっかり試合を作っていければと思います」

 耐え忍ぶ春を過ごし、夏に帰ってきた左腕が、立ち止まることなく秋まで腕を振る。


文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)

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