大きすぎる「歯の動揺」は要注意! 歯周病で歯を支える骨が減っている可能性

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2020年08月11日 17:00  AERA dot.

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写真健康な歯でも生理的な動揺は起こるが、歯周病で歯肉や歯槽骨の支えが減ると、動揺はさらに大きくなる(イラスト/渡辺裕子)
健康な歯でも生理的な動揺は起こるが、歯周病で歯肉や歯槽骨の支えが減ると、動揺はさらに大きくなる(イラスト/渡辺裕子)
 最近、歯が揺れるように感じるようになった人はいませんか? 健康な歯でも生理的な動揺は起きますが、歯周病で歯肉や歯槽骨の支えが減ると、動揺はさらに大きくなります。日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会は、国民に歯周病について正しい情報を伝える公式本『続・日本人はこうして歯を失っていく』を発刊しました。本書から、歯周病の検査について抜粋して届けします。

【表】歯の動揺度の判断基準とは?

*  *  *
 歯周組織のほとんどは肉眼では見えない部分にあるため、さまざまな方法で検査をする必要があります。検査には歯肉を触るものも含まれるため、腫れや痛みなどがひどい場合は応急処置(プラークコントロールや抗菌剤の投与など)をおこない、落ち着いてから実施します。

 治療を開始した後も「治療効果が上がっているかどうか」を確認するために検査をします。さらに治療が一段落した後もメインテナンスの際に定期的に検査をおこない、「再発をしていないか」を確かめていきます。

 代表的な歯周病の検査について、解説します。

■代表的な検査
 
(1)問診
(2)プラークの付着を確認(おもに赤色の染色液でプラークを染めて%で表す)
(3)歯周ポケットの検査(プロービング)
(4)歯の動揺度(ゆれ)の検査
(5)X線検査

(1)問診
 患者さんに受診の理由を確認し、気になる症状や異常について聞きます。問題の起こっている部位やその状況がいつ頃から起きているかなどを聞くことも大事です。

 例えば骨粗鬆症の患者さんの場合、服用している薬によっては、抜歯や歯周外科治療ができません。場合によっては、主治医に連絡をとり、薬の種類を確認することもあります。

 また、家族に歯周病の人がいるかどうかや、喫煙の習慣があるかどうか、喫煙している場合は1日あたりの本数、ストレスの状況なども聞き取ります。歯周病を悪化させるリスクがある場合、できるだけ軽減するようにアドバイスをします。喫煙者には、歯周病治療の効果が十分に得られないため、禁煙することをすすめます。

(2)プラークの付着を確認
 口の中の細菌の状態を検査します。患者さんにわかるようにプラークがあるところを染め出す「プラーク染色液」を使ったり、歯周プローブ(目盛りがついた先端が丸い針)などの先端で歯面をこすり、口の中全体のうち、どのくらいの割合でプラークの付着があるかを確認します。

 プラークが多いということは、歯肉の奥にも多くのプラークが潜んでおり、歯周病が進んでいる可能性が高くなります。

 このほか科学的に歯周病菌を調べる方法として、自費診療になりますが歯周ポケット内のプラークや唾液を特殊な方法で採取し、歯周病菌のタイプや数を特定する検査(歯周病原細菌検査)もあります。

 短期間で急速に進むタイプの歯周病が疑われる場合、この検査が役に立ちます。

(3)歯周ポケットの検査(プロービング)
 歯周ポケットの深さと歯周組織の炎症の程度をチェックする検査です。歯周ポケット(歯と歯肉のすき間)にプローブを挿入し、歯肉の縁からプローブ先端までの距離を測ります。通常、1本の歯につき、4か所または6か所を測定し、1ミリ単位で記録します。3ミリ以下はほぼ正常(歯肉炎はこの範囲にとどまる。なお、健康な歯肉溝の深さは1〜2ミリ)です。

 それ以上のポケットは深くなればなるほど、歯周病が進んでいる可能性を示しています。歯周ポケットが深いということは歯周病菌が歯肉の内側に入り、組織を破壊している証拠だからです。

 また、プロービング時に出血があるかどうかも大事なチェックポイントです。出血はポケット底部に炎症がある証拠で、すでに歯周炎へと進行中である可能性が高いためです。このため、歯周基本治療の後、再度、この検査をおこない、出血がなくなれば症状が安定していると判断します。

(4)歯の動揺度の検査
 ピンセットなどで歯をはさんで、歯がどのくらい動くのか、どの方向に動くのかを確かめます。炎症が急速に進んでいたり、歯の土台となる歯槽骨が破壊され減っていたりすると歯を支えるものがなくなり、ゆれが大きくなります。

 このほか、かみ合わせの問題がないか、ブラキシズム(歯ぎしりなど)がないかなど、歯の動揺度や歯周病の部位と関連しそうな異常がないかどうかを確認します。

(5)X線検査
 X線検査は歯槽骨の状態を見るために重要です。X線写真では骨の部分は白く写り、歯が失われている部分は黒く写ります。骨がどのくらい減っているかや残っている骨の形を見ると、歯周組織再生療法が必要かどうか、治療の適応かどうかなどが判定できます。

 また、「根分岐部病変」といって歯の根の分岐部(奥歯などで根が二股、三股にわかれている部分)に歯周炎が発症している場合、解剖学的形態から、進行すると治療がさらに難しくなるので、このような部位は清掃をより厳密におこない、歯周病の進行を防がなければなりません。また、分岐部だけに限りませんが、歯髄に病変がある場合もX線画像上で骨がなくなっていることがあるので、根管治療(歯髄の病気があるときにおこなう治療)が必要になります。

 なお、歯科治療で使うX線撮影方法にはいくつか種類がありますが、中でも多く使用されるものが「パノラマX線撮影」と「デンタル(歯科用)X線撮影」です。

 パノラマX線は上下の顎の骨を含めたすべての歯を撮影できるもので、親知らずの埋伏の状態など全体の様子がよくわかります。

 デンタルX線は一部分にフォーカスして撮影したものです。一度に3本程度までの狭い範囲に限定されますが、その分、虫眼鏡で拡大したように歯槽骨や歯根の様子が細かくわかります。最近では、立体像の構築ができるX線写真を撮影できる歯科用CTを使用しているところもあります。

※『続・日本人はこうして歯を失っていく』より

≪著者紹介≫
日本歯周病学会
1958年設立の学術団体。会員総数は11,739名(2020年3月)。会員は大学の歯周病学関連の臨床・基礎講座および開業医、歯科衛生士が主である。厚労省の承認した専門医・認定医、認定歯科衛生士制度を設け、2004年度からはNPO法人として、より公益性の高い活動をめざしている。

日本臨床歯周病学会
1983年に「臨床歯周病談話会」としての発足。現在は、著名な歯周治療の臨床医をはじめ、大半の会員が臨床歯科医師、歯科衛生士からなるユニークな存在の学会。4,772名(2020年3月)の会員を擁し、学術研修会の開催や学会誌の発行、市民フォーラムの開催などの活動をおこない、アジアの臨床歯周病学をリードする。

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