2020年、漫画賞をダブル受賞した『夢中さ、きみに。』の和山やま初連載!女子校の男性教師が主役のギャグ漫画、1巻発売

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2020年08月11日 17:42  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真『女の園の星(1)』(和山やま/祥伝社)
『女の園の星(1)』(和山やま/祥伝社)

 もし私が「2020年、要注目の漫画家は誰?」と聞かれたら、和山やまさんだと即答する。

いま、編集部注目の作家

 和山さんはWebで発表していた漫画作品が大ヒットしたことをきっかけに、男子高校生を主役にした8編の短編漫画が去年の夏『夢中さ、きみに。』というタイトルで書籍化された。電子版も含めた発行部数は現在10万部を突破。今年春には「第23回文化庁メディア芸術祭 マンガ部門 新人賞」と「第24回 手塚治虫文化賞 短編賞」をダブル受賞した。

 繊細な絵柄が特徴的で、最初に『夢中さ、きみに。』の表紙を見たときはシリアスな漫画を描く人なのかと思った。だが読み始めてすぐ、画風から連想するイメージとは異なるシュールなギャグの世界に呑み込まれた。

『女の園の星』(和山やま/祥伝社)はそんな和山さんの初連載作である。『夢中さ、きみに。』の主人公たちは男子高校生だった。打って変わって本書の舞台は女子校だ。

 と言っても主人公は女子校の生徒ではない。女子校に勤務する真面目な男性教師「星先生」である。星先生の同僚の小林先生も男性で、星先生の反応がどんなに薄くても星先生に話しかけ続けている。おとなしい星先生とは対照的な明るい性格の教師だ。この先生コンビを見て、最初は星先生がボケで小林先生がツッコミ、もしくは逆なのかと思った。だがすぐにこのギャグ漫画にそんな分け方は必要ないことがわかった。星先生と小林先生、両方がお互いの個性をより際立たせる存在だったのだ。

 例を挙げると1巻の中盤で居酒屋の場面がある。毎週日曜日放送の国民的アニメ『サザエさん』を録画し次の土曜日に観ていると言う小林先生に対し、星先生は不思議そうな顔をする。小林先生は逆に『サザエさん』を録画しない星先生に驚く。

“サザエさんって翌日の月曜の存在を感じてちょっと憂鬱な気持ちになっちゃうじゃないですか
でも土曜に見ると「俺は今サザエさんを見ているが実は明日も休みだぞ!」って自分で自分にサプライズを仕掛けて幸せになるんですよ“

 小林先生の発言は奇妙だが、わからないことはない。だが星先生は「…?」と真顔のままだ。まったく理解できない様子である。

 他のエピソードを読んでもわかるが本作の中で、この二人の先生の会話はとことんかみ合わない。静かな絵柄と合わさって、そのかみ合わなさが絶妙な面白さになる。

 そしてそこに絡むのが女子校の生徒たちだ。漫画家志望、星先生研究が趣味……個性的な生徒たちも多いが、誰と接しても、星先生の真面目な性格はぶれない。隣にいる小林先生の明るさも変わらない。二人は教師という立場から一歩もはみ出すことなく生徒たちに接する。もちろんドラマのように生徒と恋愛したり熱血教師になったりすることもない。

 そんななんてことのない女子校の日常が描かれているのに、気がつくと私は声を出して笑い『女の園の星』の世界にどっぷりと浸かっていた。

 本作が従来のギャグ漫画と異なるのは、主人公のプライベートが謎めいていることだ。1巻の途中で星先生のプライベートに関する台詞を見つけたとき、一瞬謎解きをしている気分になった。2巻以降も目が離せない漫画だ。

文=若林理央

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